よくある異世界転生かと思ったら、異世界みたいになってた未来世界でした。

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よくある異世界転生かと思ったら、異世界みたいになってた未来でした。 第4話

2020-04-16 22:14:00 | 日記
「武器か…。確かに戦う時には、お決まりのパターンだよな
扉にもたれているおじさんが持っている銃を見つめて、俺は少し興奮気味に尋ねた。
「ってことは、おじさんが撃ってたその銃、貸してくれんのか?」
「いや、さっき見ての通りこのレーザーガンではヤツに決定的なダメージは与えられない」
「確かに怯んではいたけど、効いてるようには見えなかったな。てか、レーザーガンって言うのか。まんまだな。そんなん持ってていいのか?未来では銃刀法違反は改正されたのか?」
「うーん、まぁこれの所持が良いかどうかについては後で説明するよ。今の時代がどういう世界なのかってとこから説明する必要があるからね。今はヤツを仕留めることを考えよう」
「わかった」
おじさんの提案に俺は頷いた。確かに、まだ説明の途中だったし、短時間で説明出来そうな世界じゃなさそうだしな。
「で、どうすればヤツを倒せるんだ?」
「奴に確実にダメージを与えるためには、
もっと近付く必要があるね。遠距離では、あの厚い肉にダメージは与えられない。素早く近距離まで迫って攻撃を仕掛けないと駄目だ。ただ、この老体ではそれは少し厳しいんで…」
ポケットに手を入れるおじさん
「君にそれを頼みたいんだ」
おじさんの手には金属で出来たグリップのようなものが握られていた
「コイツを使ってね」
「それは?」
「フッ」
おじさんは子供のような無邪気な笑みを向けた
「男のロマンさ」



「グエエェェェエエエ!!!!」
左腕をぶった斬られたことを嘆いているのか、鳴き叫んでいる黒肉団子。口らしきパーツは見当たらないのに、この鳴き声はどっから出てるんだ…。
まぁとにかく、血こそ出ていないが、レーザーガンとやらと違って、目に見える明らかなダメージを与えられた…。これならいける!
手応えを感じた俺はライトセーバーを両手で握り、剣道でよく見る構えをとった。剣道なんてやったことねえからよくわかんねえけど…とりあえず一刀流の構えと言えば、こんな感じだろ。どこぞの銀河の戦いでも大体こんなだったしな。二刀流ならもっとバリエーションもあっただろうが…。三刀流なら………あの構えしか思いつかねえな…。顎痛くなりそうだから嫌だけど…。
どこぞの麦わら船長の右腕のことを考えていると、逆に右腕しかない黒肉団子は、怒っているのか先程より強めのバウンドでその場を跳ねていた。そして、そのまま怒りをぶつけるが如く、勢いをつけて飛び込んで来た。
その動きを見逃さまいと、軽く息を吐いて、集中し、ライトセーバーを振り上げる。
「残った腕もぶった斬ってやる…!」
しかし、黒肉団子の動きは思っていたより速く、セーバーを振り下ろすよりも先に懐に辿り着かれた。
「危ない!!」
おじさんの声が耳に届く頃にはすでに手遅れだった。サンドバッグにぶつかったような衝撃と重みが胸のあたりから全身に広がり、身体は後方へと吹き飛ばされた。
「カハッ…!ケホッ、ケホッ!」
地面に倒れ、息苦しさからのどに手をやり、咳込んだ。
「大丈夫かい!?」
心配したおじさんが駆け寄ってきた。
「痛ってぇ…ハァ、ハァ。一瞬息が止まったぞ…!」
身体の痛みと息苦しさからくる怒りで、睨みつけると、ヤツは再びバウンドを始め、次の攻撃の準備を始めていた。
「またかよ…!」
「やはり一人では難しいね。援護しよう」
そう言ってレーザーガンを構えるおじさん。しかし、俺はその銃口に手をかぶせた。
「いや、いい」
「え?でも…」
「考えがあるんだ」
「…わかった」
おじさんは俺の顔を見て何かを確認したように一歩引いた。そして、俺は立ち上がり再び剣道の構えをとった。
「さぁ、来い!」
その意思が通じたかのように、再び飛び込んで来る黒肉団子。
「来たよ!」
おじさんが声を掛けてくるも、俺は動かない。狙いは一つ…!
「まさか、カウンター!?」
「あぁ!」
その通り。速さに関しては向こうに分があるとわかったからな。こっちから突っ込んでもまた振り遅れる可能性がある。だから、待ち構えて突き刺す!これなら、ヤツの攻撃に合わせて、そのまま腕を前に突き出すだけでいいから振り遅れる心配はない。それに加えてあの勢いだ。わざわざ振らなくても威力は充分だ。
待ち構える俺に黒肉団子が迫った。
「ここだ!」
俺は腕を真っ直ぐに伸ばし、セーバーを突き出そうとした。
しかしその時、ほぼ同じタイミングでヤツもその長い腕を伸ばしてきた。
「なっ…!?」
体当たりじゃなく、今度は腕で攻撃!?まさか、動きを読まれた!?
そんな俺の焦りはおじさんにも伝わっていたようだった。
「駄目だ、セーバーよりヤツの腕の方が長い!向こうの方が先に届く!」
「クッ…!」だったら…!
両手で掴んでいたセーバーを、左手を離して右手一本でフェンシングのように持ち直した。
「これでどうだ!!」
『腕』vs 『腕+セーバー』リーチの差は歴然…。先に届く!
迫る長い腕を無視して、持ち直した右手を黒肉団子目掛けて突き伸ばした。
腕が届く前に、先に本体に刺してやる!!
こちらのセーバーの方が先に届くと確信したその瞬間、俺の目にあるものが映った。
先程切り落とした、肘までしかなかった左腕が本体に吸収されるように沈み込んだ。そして、押し込まれたかのようにその分だけ反対側の右腕が伸びたのだ。
「な…に…!?」
「リーチが伸びた!?」
俺もおじさんも驚きを隠せない。
なんだよ、そのところてんみたいな仕組みは…!!しかも、こんなギリギリで…いや、まさかわざとか!?コッチが腕を引っ込める隙を与えないために…?肉団子の分際で頭使いやがって…!!
「駄目だ、向こうの方が早い!止まるんだ!」
もう引っ込められないことを知らないおじさんが叫ぶ。
もう止まれねえんだよ!このまま行くしかない!
「クソッ…!間に合えぇぇえ!!」
「グエエェェッ!!」
俺と黒肉団子の間で、光の剣と黒い腕が交差する。
次の瞬間、それは突き刺さっていた。

黒肉団子の本体にライトセーバーが。

そして、黒い腕のほうは俺の目の前で止まっていた。
一瞬の静寂がその場を包み、最初に聞こえたのはおじさんの声だった。
「先に…届いた?でも、なんで…あっ…」
おじさんは、俺の右手に何も握られていないみことに気づいた。
「投げたのか!?ギリギリのところで…!でも、それじゃあ威力が…」
そうだ。ほとんど腕が伸びきっていた状態で投げたから、威力はかなり落ちている。ただ刺さったというだけで、多分ダメージはほとんどない。それでも、『攻撃を受ければ怯む』ということは知っていたからな、動きが止まるくらいのことがあるんじゃないかと思ったんだが…期待通りだ!
そして、黒肉団子自身もダメージが大したことないことに気づいたのか、少しずつ動き出し、止まっていた腕を伸ばし始めた。
「まだ動いてる!やはり致命傷にはなってないよ!」
わかってるよ、だから…
「今度のは痛ぇぞ…!!」
脇を締めて、左足を踏み込む。踏み込んだ左足を軸に腰を回転させ、全体重を乗せた右拳を、突き刺さっているライトセーバー目掛けて放った。
「ところてんには、ところてんを!!」
グリップに直撃した右拳がライトセーバーを勢いのままに押し込んだ。
「おらぁぁああ!!」
釘のように打ち込まれたライトセーバーが黒い肉を突き破り、貫通した背中から光の刃が飛び出した。そしてそのまま空中で静止したように鈍い音を立てながら落下した。
足下に転がるその姿を見た俺は、力みきっていた全身の力がフッと抜けるのを感じ、突き出していた腕を下ろした。
団子は団子らしく串に刺さってろ」