一人ディズニー見聞録

ディズニーを切り口に世の中の出来事を紹介しています。ディズニーソングのコンサートレポートも書いています。

フリックは中川圭一!?

2022-02-28 19:41:52 | キャラクター
「アッタ様大変だ!アッタ様~!!」。


これは、1998年に公開されたピクサー作品『バグズ・ライフ』で主人公のアリ、フリックが天敵のバッタたちに授ける食料の台をひっくり返し、それらを全て川に流してしまったシーンで発せられたセリフだ。開始早々でやらかしたフリックは、慌てふためきながら「アッタ様~!!」と叫ぶ様子は、『こち亀』こと『こちら葛飾区亀有公園前派出所』に登場する中川圭一が叫んでいるようにしか聞こえなかった。



<『こち亀』の中川圭一>


そう思うのは、フリックの日本語吹き替えが中川の声を務める宮本充さんだからだ。充さんは、キアヌ・リーヴス、ブラッド・ピット、トム・クルーズといったハリウッド俳優から、『ライオンキング』(1994)のシンバの青年時代の声を務める等、主役クラスのイケメンの声を務めている声優さんだ。


普段からイケメンキャラたちの声を務めている充さんが、フリックのようなコミカルなキャラを演じるとキアヌやブラピにはならず、『こち亀』の中川になってしまうのだ。『こち亀』は日常のドタバタコメディアニメなので、充さんがフリックを演じると、時折パニックなっておかしなことを言い出す中川圭一になってしまうのだ。


「アッタ様~!!アッタ様~!!」と叫ぶシーンが、中川の先輩で『こち亀』の主人公・両津勘吉を呼ぶような感じで「先輩~!!先輩~!!」と叫んでいるように聞こえてしまった。そう思うのは、相当『こち亀』を観ている人じゃないと共感できないかもしれないが、吹き替え作品は声優さんが演じてきたキャラクターに聞こえてしまうことがあるのだ。


中川は長身イケメンな好青年だが、時折両津の影響でコミカルなキャラクターに変わることがある。前者は『ライオンキング』のシンバで、後者はフリックのキャラクターと言っても過言ではない(シンバは人間ではないが、イケメンな好青年ライオンだ)。


「シンバ+フリック=中川圭一」。その方程式が一般に知れ渡る日はいづれ来るだろう(多分来ない)。


猫のディズニー作品

2022-02-22 19:17:44 | キャラクター
「800年ぶりの奇跡」。朝のニュースではそのように報じていた。


本日2月22日は「猫の日」だ。猫の鳴き声が日本語では「にゃん」というらしく、2が3つ並んだ今日は「にゃんにゃんにゃん」の語呂合わせで「猫の日」となった。そして本日2022年2月22日は、2が6つ並ぶという1222年(当時は鎌倉時代)2月22日以来、実に800年ぶりの奇跡の日なのだ。


さらに「猫の日」にかけてウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社は、2月22日を『おしゃれキャット』(1970)に登場する子猫・マリーの記念日と制定した。日本でのマリー人気は凄まじく、キティちゃんに似ている見た目、じゃなくておしゃまで可愛いところがディズニー女子たちのハートに刺さり、絶大な人気を生み出した(実際、マリーグッズは飛ぶように売れている)。


ところで、あなたはマリー以外の猫キャラクターを言えるだろうか。『ピノキオ』(1940)のフィガロや『不思議の国のアリス』(1951)のチェシャ猫など結構いるのだ。そこで、ディズニー作品の猫たちを調べてみた。


・ピート(ヤマネコの船長):『蒸気船ウィリー』(1928)

・フィガロ(ゼペットの飼い猫)、ギデオン(正直ジョンの仲間):『ピノキオ』(1940)

・ルシファー(トレメイン夫人の飼い猫):『シンデレラ』(1950)

・ダイナ(アリスの飼い猫):『不思議の国のアリス』(1951)

・チェシャ猫(不思議の国の猫):『不思議の国のアリス』(1951)

・サイとアム(セーラの飼い猫):『わんわん物語』(1955)

・チブス(大佐(老犬)の部下の軍曹猫):『101匹わんちゃん』(1961)

・オマリー(野良猫)、ダッチェス(ボンファミーユ夫人の飼い猫)、ベルリオーズ、トゥルーズ、マリー(ダッチェスの子どもたち)、ジャズネコたち(オマリーの友達):『おしゃれキャット』(1970)

・ルーファス(ペニーの友達):『ビアンカの大冒険』(1977)

・フェリシア(ラティガンの飼い猫):『オリビアちゃんの大冒険』(1986)

・オリバー(捨て猫):『オリバー/ニューヨーク子猫ものがたり』(1988)

・ミトンズ(野良猫):『ボルト』(2008)

・モチ(キャスの飼い猫):『ベイマックス』(2014)


こんなにいたのか、と思わずにいられないほどディズニー作品には多くの猫たちが登場する。この一覧を見て気づいたが、1988年の『オリバー~』から2008年の『ボルト』までの間の作品に猫のキャラクターが登場しないのだ。その20年間は、猫の手を借りる必要がなかったのだ。


1989年~2007年の間に製作された作品に猫が登場しなかったのは、話の舞台が街や家にならなかったことが考えられる。猫は狩猟をせず(それでもネズミは捕まえる)人間から餌を貰うか、人間の残飯を食べて生きているため人間が住んでいる場所、つまり街や人家に生息しているのだ。すなわち、街や人家が舞台の中心にならなければ猫が登場することは考えにくくなる。


1989年~2007年の間に街や人家が舞台となる作品はほとんどないため(気になる方はぜひ調べてください)、20年間ディズニー作品には猫が作中に登場しなかった。これは偶然なのか、それとも意図的にディズニー社が猫を使わなかったのか、真相は分からない。とはいえ今日は「猫の日」。残り少ない時間だが、800年ぶりの奇跡の「猫の日」に猫作品を観てみてはいかがだろうか。



オマリーとオマリー

2022-02-14 19:35:23 | キャラクター
「1分以内に、はかる、と読む漢字を書けるだけ書いてください」。これは、新入社員研修のグループワークで研修の講師から出された課題だ。「正しい日本語を使う」という目的で先の課題が出され、漢検準1級を持っていた自分にとっては余裕に解けると思ったが、1分間に3つしか書けず、恥ずかしい思いをした(書けた漢字は「図る」、「測る」、「計る」)。


言葉はおもしろいもので、同じ読み方をするのに、意味や漢字が全然違うということがよくある。例えば「きむらたくや」。多くの人は元SMAPの「木村拓哉」を思い浮かべるだろうが、フジテレビで平日の夕方のニュース番組『イット』をよく観る人は、アナウンサーの「木村拓也」を思い浮かべると思う。


このことは、あるディズニーキャラクターにも同じことが言える。それは『おしゃれキャット』(1970)に登場する野良猫の「トーマス・オマリー」だ。オマリーは、主人公のダッチェスとその子どもたちが、飼い主のボンファミーユ夫人の執事・エドガーによって川に捨てられた際、ダッチェスたちを家に帰る手助けをし、さらには彼女たちの危機を救い出したオスの野良猫だ。また劇中では、渋い歌声で歌を披露している。



<猫のオマリー(左)>


実は現実世界でも、『おしゃれキャット』の「トーマス・オマリー」並みに有名な同姓同名の人がいる。それは、1990年代に阪神タイガースとヤクルトスワローズで活躍した元プロ野球選手の「トーマス・オマリー」だ。30代以上のプロ野球ファンは知っている伝説の外国人選手だ。


アメリカ出身のオマリーは、メジャーリーグで結果を残すことができなかったため、1991年に阪神タイガースに入団。4番打者として活躍し、さらに試合後のヒーローインタビューで、「ハンシンファンワ、イチバンヤァー!(阪神ファンは一番やー!)」、と言うなど明るいキャラクターでも人気を博していた。1995年からはヤクルトスワローズでプレー。同年チームをリーグ優勝と日本一に導く活躍をし、その年のリーグMVPにも輝いた。1996年末に退団並びに引退し、その後は阪神のコーチや中米スカウトを務めた。



<阪神時代のオマリー>


日本のプロ野球界で大活躍したオマリーだが、阪神在籍時になんと歌を出していた。1994年に『オマリーのダイナミック・イングリッシュ』というCDが発売され、その中で阪神の球団歌『六甲おろし』を日本語と英語で歌っていた(1番:日本語、2番:英語)。しかし、オマリーは恐ろしいほど音痴で、日本語と英語共に音程を外しまくっていた。


そのためあまり売れなかった(それでも6万枚売れた)が、一部の人々から注目が集まり、歌手の星野源はゲスト出演したフリーライターのYoutubeで紹介するなど今でもカルト的な人気を誇っている。


猫と人間のトーマス・オマリー。両者とも男前で(人間のほうは阪神入団時、球団から俳優のロバート・レッドフォードに顔が似ていることをやたらとPRされていた)、ここぞの場面では活躍し、そして個性的な歌声で歌を披露するなど、共通点は意外に多かった。ちなみにウィキペディアで人間のオマリーを調べると、ページ上段に猫のオマリーのページへと移動できる案内が表示されている。意外にも間違えている人がいるのかもしれない(多分いない)

<参考>
阪神のオマリーが、移籍先に同リーグのヤクルトを選んだ理由とは?/平成助っ人賛歌【プロ野球死亡遊戯】 | 野球コラム - 週刊ベースボールONLINE (findfriends.jp)

シンデレラに似ているブルーハーツ

2022-01-18 17:53:37 | キャラクター
ガラスの靴、カボチャの馬車、そしてビビディ・バビディ・ブー。この単語を聞けば、多くの人がディズニー映画の『シンデレラ』(1950)を想像するだろう。

先週初めて『シンデレラ』(1950)を観た。ストーリーは知っていたが、ディズニーが製作するとドタバタコメディの要素が強く、観ていて楽しかった(さらに、シンデレラの姉のアナスタシアとドリゼラが、アメリカのお笑い漫画に出てきそうな顔をしていたのも笑えたポイント)。

初めての『シンデレラ』を観ていると、ある言葉が多く使われていることに気づいた。「信じていれば、夢は叶うもの」。シンデレラはこの言葉を歌詞に入れて歌ったり、トレメイン夫人たちから嫌味を言われた際も、小声でおまじないのように言っていた。「信じていれば、夢は叶うもの」という言葉は、全てのディズニー作品の決まり文句で、ディズニー哲学とも言えるフレーズだ。

作中で何度もこの言葉を聞いていると、こんなことを思った。「このフレーズって、ブルーハーツの歌詞にありそうだな」。1980年代後半~1990年代前半に、日本で絶大な人気を誇ったロックバンド、THE BLUE HEARTS。『リンダリンダ』や『TRAIN-TRAIN』等の名曲を生み出した彼らの歌詞には、『シンデレラ』で登場する「信じていれば、夢は叶うもの」と似た意味の言葉が多く登場していた。

ブルーハーツのどの歌にディズニー哲学が入っているかは、申し訳ないが覚えていない(ごめんなさい)。だけど、ブルーハーツのボーカルで作曲も行う甲本ヒロトが以前、雑誌かなんかのインタビューで「夢を信じれば、いつか必ず叶う」みたいなことを言っていた。そのような言葉を他のメディアでも言っていることから、ブルーハーツの歌にはディズニー哲学が含まれていると思った。

夢を信じ続けたことで、王子様と舞踏会で踊り、さらには王子様と結婚したシンデレラ。同じく夢を信じ続けた結果、多くの日本人から愛されるバンドとなったブルーハーツ。もしかすると、ブルーハーツのメンバーは『シンデレラ』を観て、彼女から勇気づけられたのかもしれない。

これは決して冗談ではない。なぜなら、ブルーハーツの歌に『シンデレラ(灰の中で)』というものがあるからだ。歌詞の詳しい意味は分からないが、『シンデレラ』の主人公、シンデレラのことを歌っていることは間違いない。例えばAメロの歌詞は、まさに彼女を表している

「シンデレラ シンデレラ ここにずっと居たくてもいられない シンデレラ シンデレラ 口に出せないことが多すぎて 素直になれやしない」

やっぱり、『シンデレラ』から何かしらの影響を受けているため、同作に敬意を込めてあの歌を作ったのだろう(あくまで個人の感想です)。


正直ジョンはルパン三世?

2022-01-10 19:26:16 | キャラクター

以前「ディズニー作品には、犬や猫の次ぐらいに虎が出てくる」と書いたが、狐も多く登場している気がする。『ズートピア』のニック、『ロビン・フッド』のロビン・フッド、『きつねと猟犬』のトッド等、様々な作品で狐のキャラクターが登場する。その中でも一番印象に残っているのが、『ピノキオ』に登場する「正直ジョン」ことJ・ワシントン・ファウルフェローだ。

正直ジョンは、猫のギデオンと一緒に学校に向かうピノキオを騙し、ストロンボリの人形芝居小屋に入れたり、「島の遊園地」に行かせるなどの悪事を働いてお金を貰っていた。さらにジョンは、劇中で歌も歌っており、ピノキオを芝居小屋に連れていくシーンで『ハイ・ディドゥル・ディー・ディー』を楽しげに歌っている。

人気のあるディズニー・ヴィランズ(ディズニー作品の悪役)の1人(?)である正直ジョン。巧みな話術で相手を騙す姿は、まさにヴィランと言えるが、そう思えるのはジョンのキャラクター以外からも言える。それはジョンの日本語吹き替えが、伝説の声優・山田康雄だからだ。

山田さんは、1983年公開版でジョンの吹き替えを担当しており、そのバージョンは現在ディズニーから発売されているソフト版(VHS・DVD・BD等)にも収録されている。山田さんがジョンのような、ずる賢いキャラクターを上手く演じられたのは、初代ルパン三世の声優を務めていたからだと思う。

それなら納得だ。話術で相手を巧みに騙し、欲しいものを手に入れるところは、正直ジョンもルパンも同じだ(ルパンの場合は変装して騙すことが多いが)。ルパンの声を演じた山田さんがジョンを演じることで、正直ジョンのずる賢さはより際立っていた。山田さんの声は、お調子者でずる賢いキャラクターの声をやるにはぴったりだ。

そのため『ピノキオ』でジョンがセリフを言うシーンでは、ルパンが話しているようにしか見えなくなってくる。またジョンが時折「とっつあん!!」や「ふ~じこちゃ~ん」と言っているのではないかと感じてしまう(あくまで個人的な感想)。そういえば、ニコニコ動画でジョンのセリフシーンだけをまとめた動画があり、そこに流れるコメントには「ルパンの声だ」、「ルパン逮捕だ~!」等、やたらとルパン関係のものが多かった。

正直ジョンとルパン三世。どちらもコミカルな悪党のため、憎たらしいけど憎めない面白いキャラクターであった。