3月2日(木)、『アラン・メンケン ソロ・コンサート「ホール・ニュー・ワールド 」』が東京芸術劇場で行われた。2月25日(土)から大阪で始まったメンケンさんのツアーは、2月26日(日)に愛知、3月2日(木)と3日(金)に東京で行われた。本日は、東京公演初日の第2部の様子を紹介する。
今コンサートは、メンケンさんが、自身の作曲家人生を語りながら、所々でエピソードに関する曲を演奏するという演出になっていた。第2部は、作詞家で盟友のハワード・アシュマンさんが亡くなった後から現在に至るまでのエピソードが語られた。
20時。15分の休憩が終了し、メンケンさんが再び登場し、第2部が始まった。
開口一番、「ミンナ、ダイスキ」と日本語で挨拶した。その姿に会場は大いに沸いた。「ディズニーソングの神様」と言われる人が、観客たちの母国語で挨拶してくれるのは、とても嬉しかった(メンケンさんは、今回の来日が17回目という親日家だ)。
第2部最初の曲は、ミュージカル版の『美女と野獣』の『愛せぬならば』。この曲は、作詞家で盟友のハワード・アシュマンさんと作ったものではなく、『アラジン』でパートナーを組んだ作詞家ティム・ライスさんとの作品だった。ミュージカル版の『美女と野獣』のにわかファンだったため、この作品がアシュマンさんと一緒に作った曲ではないことを知って驚いた。しかし、その驚きは一瞬に過ぎ去り、感動的なメロディと歌詞が心に響いて勝手に泣いていた。
2曲目からは『ポカホンタス』、『ノートルダムの鐘』、『ヘラクレス』とメンケンさんが作曲した大人気ディズニーソングが演奏された。『ノートルダム~』の重厚なクラシック調の曲を作ったかと思えば、『ヘラクレス』の軽快なゴスペル調の曲を作ったメンケンさんの作曲力には驚かされた。
人気曲に続いて演奏されたのが『ホーム・オン・ザ・レンジ/にぎやか農場を救え!』の『いつかまた太陽は輝くの』だ。日本ではビデオ販売しかされていないため、あまり知られていない作品だが、この作品の製作秘話が会場を大いに沸かせた。
メンケンさんは、ディズニー社の重役から「次に製作されるディズニー映画が牛を主人公にしたミュージカルだ」、と聞かされて困惑したというエピソードを笑いながら話すと、観客席からは爆笑が起きた。牛のミュージカル映画など聞いたことないが、その楽曲の製作依頼はたぶんメンケンさんじゃなくても、困惑して苦笑いすると思った(曲はとても良かった)。この時の会場の爆笑は、この日一番の盛り上がりだった。
盛り上がった会場では、『魔法にかけらて』のメドレー曲が演奏された。ここでは、『白雪姫』と『眠れる森の美女』の楽曲をベースにした『真実の愛のキス』、『シンデレラ』をベースにした『歌ってお仕事』、そしてメンケンさんらしさ全快の『想いを伝えて』が演奏された。『魔法にかけらて』は、過去の名曲たちをインスパイアした曲、そして自分らしさのある曲を作ったメンケンさんの凄さを知る作品だと知れて良かった。早くディズニープラスで観ないとな。
第2部後半は、『塔の上のラプンツェル』メドレー、ミュージカル版の『天使にラブソングを』などのミュージカルソング、そして実写版の『美女と野獣』などの実写映画の曲が演奏された。
アニメ映画、ミュージカル、実写映画の楽曲を製作するメンケンさんの凄さを目の当たりにしていたら、第2部最後の曲であるミュージカル版『アラジン』の『プラウド・オブ・ユア・ボーイ』が演奏された。第2部はあっという間に幕が降りた。
メンケンさんは一度ステージ袖に行ったが、再び戻ってきてアンコール曲を演奏してくれた。曲を紹介する際に「この曲は日本人に馴染みのある曲です」と言っていた。最初検討がつかなかったが、メロディを聞いた瞬間、東京ディズニーシー「シンドバッド・ストーリブック・ヴォヤッジ」の『コンパス・オブ・ユア・ハート』だと分かった。大人気アトラクションの曲もメンケンさんが手掛けており、聞いているとリアルタイムでアトラクションの中にいる感じがして楽しかった(もちろん感動して泣いた)。
アンコールが終わり、割れんばかりの拍手が鳴る中、メンケンさんはステージを後にした。しかし、鳴り止まない拍手にメンケンさんは3回もステージに戻ってきてくれたのだ。
この神対応を見て、メンケンさんは「ディズニーソングの神様」というより、優しくて気さくな楽しいおじさんだと感じた。この人柄が多くの人に愛される映画の楽曲を作り出しているのかもしれない。
20時50分。当初2時間15分はかかると言われていたコンサートは、予定終了時間より早くに終わった。短い時間のようだが、それだけの時間に感動を凝縮させたメンケンさんのトークと演奏は素晴らしかった。次に来日するのはいつかは分からないが、その時までこの感動は続いているに違いない。
〈第2部セットリスト〉
1.『愛せぬならば』
2.『カラー・オブ・ザ・ウィンド』
3.『ノートルダムの鐘』メドレー
→『サム・デイ』、『僕の願い』
4.『ヘラクレス 』メドレー
→『ゼロ・トゥ・ヒーロー』、『ゴー・ザ・ディスタンス』
5.『いつかまた太陽は輝くの』
6. 『魔法にかけられて』メドレー
→『真実の愛のキス』、『歌ってお仕事』、『想いを伝えて』
7.『ハー・ヴォイス』(ミュージカル『リトル・マーメイド』)
8.『塔の上のラプンツェル』メドレー
→『自由への扉』、『お母様はあなたの味方』、『輝く未来』
9.『スター・スパングルド・マン』(『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』)
10. ミュージカル『天使にラブソングを』メドレー
→『レイズ・ユア・ボイス』、『ブレス・アワ・ショウ』
11.『アイ・ライク・イット』(ミュージカル『ブロンクス物語』)
12.『時は永遠に』(実写版『美女と野獣』)
13.『スピーチレス~心の声』(実写版『アラジン』)
14.『愛の力』(『魔法にかけられて2』)
15.『プラウド・オブ・ユア・ボーイ』
アンコール1. 東京ディズニーシー「シンドバッド・ストーリブック・ヴォヤッジ」の『コンパス・オブ・ユア・ハート』
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