手賀沼日記

貿易ワンポイント講座 その6 貿易と暗号

貿易と暗号

近年の貿易通信は専用線によるテレックス、更にインターネットと進み、暗号を使用する機会がほとんどなくなりました。ただ、機密保持の関係上、再び暗号がクローズアップされ、研究されるような気がしないでもありません。

1 貿易に暗号が使われる理由―その1 電報料金節約
貿易通信の主たる手段が電信(電報)である時代が長く続きました。当時電報料は字数で計算され、非常に高いものでした。この費用を節約するために暗号が使用されるようになりました。通常アルファベット文字いくつかの組み合わせにより、長い文章を短縮しています。普通の文章(平語)を暗号化することをCode、暗号を平語にすることをDecodeといいます。
従って、こういう暗号を使うための暗号書Code bookが、一般の書籍として発刊され、有名なものに、Acme とかBentleyがあり、それぞれ版を重ねていました。貿易商社のレターヘッドには、Code Usedとしてこれの暗号書名が記載されていました。

2 貿易に暗号が使われる理由―その2 秘密保持
上記暗号書も、ある程度秘密保持には有用ですが、限界があります。そこで考案されたのが、社内限定暗号書です。私が知る限り、最も優れた社内暗号者は当時世界の貿易実務をリードした三井物産のMBK Codeであろうと思います。革表紙の立派な本で、大きさは研究社和英大辞典と同じくらい。わが国経済文化財の最たるものです。手に入るのであれば、ぜひ入手したいものです。昔の人はこういう本で貿易英語(当時は商業英語と言った)を勉強し、実に格調の高い、立派な英語を書く人がいました。
もうひとつの暗号書は完全に秘密保持を狙ったもので、特定発展途上国の大統領以下、政界、経済界、官僚、軍人などの役所名、人名、更に特定プロジェクトなどを暗号にしたものです。これは60年代から70年代までよく使われましたが、その後使われていないようです。その必要がなくなったのでしょう。

上述の暗号も現在はほとんど使われず、最近の人たちは全くこのような知識を持ち合わせていないのみならず、そのような暗号書の存在すら知らない人もいるようです。しかしながら、知的財産関係、特に営業情報の秘密保持などの観点から、少し違った角度で暗号が再度検討されるような気がします。


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