カレー屋(EXA)

エキプロ5で遊ぶブログでした。もはやその名残りはほぼない。

サヨナラを空に

2019-07-01 20:58:00 | スポーツその他
我闘雲舞、
7月2日新宿FACE大会。

ついに、里歩選手が所属として7年間過ごした我闘雲舞を、
プロレスラーとなってから13年間ずっとともに過ごした
師・さくらえみ選手の元を、離れるときが訪れようとしています。

所属最後の試合の相手に指名したのは、
もちろんというべきかなんというべきか、
さくらえみ選手。

日本各地、世界各国で繰り返されたこのシングルマッチ、
この後のプロレス界で二人がどのように交わるかはわかりません。

ただ、今まで幾度となく繰り広げられたこのカードを見る機会は、
もしかしたら、最後になる…
そんな可能性も秘めています。



6月24日。

選手として育った場所である、市ヶ谷チョコレート広場での、
所属として最後の興行を迎えた里歩選手に、
さくらえみ選手は、里歩選手の門出を見送りに訪れていた
希月あおいさんとともに、自身の楽曲である「♪ガンバレ」の歌を贈りました。

この6月の我闘雲舞市ヶ谷大会では、さくらさんや希月あおいさんが
思い出を振り返りながら明らかになったことは、
数多くの選手を輩出したさくらえみ選手にとっても、
里歩という選手はきわめて特別である、ということ。

それは、さくらえみ選手自身が選手育成に携わってから今まで
ずっと関係性が続いていること故かも知れないし、
さくらさんをして“本当に良い子”と言わしめる里歩選手の性格故かも知れないし、
現在、世界を股にかけるまでになったその才覚故かも知れないし。

理由については無数に想起し得るところだと思いますが、
一つ確かなのは、繰り返しになりますが、特別である、ということ。
それだけは、明言できます。



さて、さくらさんはエンディングで里歩選手に語りかけながら、
無数に行われた二人のシングルマッチで、
特に印象に残っている試合が3試合ある、と吐露しました。

一つは、アイスリボン時代の、当時中学生だった里歩との
後楽園メインでの王座戦として迎えた一戦。

一つは、2年前に熊本で行われたハヤブサ追悼興行での一騎打ち。
FMVの先輩であるハヤブサに「私の育てた選手、素晴らしいですよね。」と、
「素晴らしい選手を育てた私」の姿を見せることができたことを、
強く記憶に刻んでいらっしゃいます。

そしてもう一つは、Ray選手の追悼興行。
最も最近に行われた、二人に関わり深い選手へ捧げた一戦。



そもさくらさんは色々な物事を忘れがちです。
それはプロレスラーという職業故かも知れないし、単なる性格かもしれませんが、
あくまで個人的には、ですが、別にさくらさんはいい加減だったり
非道でそんなふうにしている訳ではなく、
そういうふうな記憶への向き合い方をしてきたんじゃないか、
という気がしています。

「イヤなことはあんまり覚えてない。すぐに忘れちゃうから。」

よくさくらさんはそんなふうに語っていますが、
たぶん、本当にそうなんだと思います。
プロレスラーとして戦い続けて25年、抱える記憶はいいことも悪いことも、
悲しいことも辛いことも、あまりにも多すぎるのかも知れません。

だから一方で、大事な人との大事なエピソードについてはしっかり記憶されていて。
折をみて思い出して、当時の自身の振る舞いを面白おかしく補足しながら、
ハヤブサ選手やRay選手と過ごした時間のことも、
観客に共有してくださったりしています。



だからおそらく、里歩選手と無数に行った試合も、
実は覚えてるのかもしれない。
その中で、挙げた3試合には、さくらさんにとって、
特に意味の重い3試合だったのかも知れません。

…全部想像ですが。



人生には、多くの別れがあります。
人生には、多くの歌が溢れています。
なればこそ、別れをテーマにした歌も無数にあります。

我闘雲舞…この場合は(アイドルとしての)ガトームーブと
言ったほうが適切かも知れない…の楽曲も、
“別れの歌”が多く並びます。

それは、さくらさんがたぶん、
その“別れ”や別れを予感したタイミングで
歌を作っている…というか、別れの心情に歌が寄り添っている…というか。

「ことり」選手の卒業を予感したとき、
「♪ガトーライス」ができました。

希月あおい選手の引退、アーサ米夏選手の退団の時期に、
「♪青色の地図」ができました。

“別れ”のときにはいつも、我闘雲舞には、歌があります。

この日エンディング後の握手周りでさくらさんと希月あおいさんで
歌った「♪ガンバレ」は、さくらさんがずっと持ち歌として、歌い続けている歌。
我闘雲舞を代表する、別れの歌。

「ガンバレ 負けるな ずっと一緒にいたいけど
ガンバレ 負けるな 今日が サヨナラのとき」

里歩選手の退団が決まったとき、
「“一緒にいたい”以外に引き留める理由がなかった」と語ったさくらさん。

それまで淀みなく響かせていた歌声は、
この歌詞だけ、震えていたような気がしました。



「私は引退しないので、引退試合のつもりで臨みます。
(引退試合だとするならば)相手は、里歩さんしかいません。」

6月24日、市ヶ谷で最後に里歩選手と向き合い、告げた言葉。

この言葉を聞いて思い出したのは、
前日のオープニングで、里歩選手にとって近づく市ヶ谷での、
我闘雲舞での“最後”のときについてさくらさんが呟いた、
別の言葉でした。

「“最後”って思うと寂しいよね。
…でも、ないより、絶対あった方がいい。」



明日、7月2日。

里歩選手にとって所属最後となる、我闘雲舞の大会。
そこにあるのは、13年に渡る師弟の、
一つ“最終回”。

この最終回を以てして、そこにいる人全てが
様々な感情を抱き、想起し、はたまた、
今後育んで行くことだろうと思います。

世界のどこに行っても、等しく万人を驚かせることのできる、
師匠と愛弟子の一騎打ち。

いま、ここに迫る、サヨナラのとき。


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