カレー屋(EXA)

エキプロ5で遊ぶブログでした。もはやその名残りはほぼない。

You are Me

2020-02-17 22:15:00 | スポーツその他
カレーです。

今年が始まってまだ2ヶ月経ってないのですが、
早くも個人的に…と述べるには留まらない、
ある領域において今年最大の注目カードになるであろう試合が、
2/18新木場1stリングのBASARA“宴”で行われます。


[試合が待ちきれないと作りがち]


ユニオンMAX王者・高梨将弘vs“戦闘民族”藤田ミノル


両選手ともに個人的にはとてもとても好きな選手。

しかし、この試合の背景や、全体の潮流みたいなことについては
高梨将弘選手のTwitterや藤田ミノル選手の週プロコラムに
目を通して頂くのが腑に落ちると思います。

それよりもここでどうしてもこの試合の前に少し綴っておきたいのは、
藤田ミノル選手がこの試合に向けて紡いだ、
2つの言葉について。



“Once in a lifetime”

…そのまま、人生で一度きり、という含意の言葉を、
藤田ミノル選手は週プロモバイルのコラムの中で、
この試合を差して、頻りに用いています。

元々使用し始めたのはおそらく、
東京愚連隊興行で決定した、NOSAWA論外選手との初の一騎討ちへ向けた心境として。
東京愚連隊としてともに戦い、隣に立ちながら、
しかし一方で実はこれまで、シングルの直接対決がなかった。
その中でNOSAWA論外選手が週プロ紙面上で“終活”を示唆したことを受け、
AKIRA選手を破って東京ヘビー級のベルトを巻いたことで、
その機会を自ら手繰り寄せる権利を得ました。

これまでめぐり合わせがなかったこと、
NOSAWA論外選手自身が示唆する“終活”、
そして、“ベルトを賭けた戦い”という状況でしか
望むシングルマッチの機会はそうそう訪れ得ないこと、
こうした背景を踏まえておそらくは、
“Once in a lifetime”という言葉が、
藤田ミノル選手の頭をよぎったのだろうと推察いたします。

高梨将弘選手とのシングルマッチは、
どこかそのNOSAWA論外選手との一騎討ちに向けた心情と、
重なる部分が多いのではないだろうか…という思いも一方でありまして。

藤田ミノル選手自身がコラムで語っているとおり、
二人のプロレスラーとしての接点の一つは、“西調布”。

田村和宏(現TAMURA)選手がU-File Campの道場で主催していた
団体・STYLE-Eで、高梨将弘は“高梨岩兵衛”という仮の姿で、
藤田ミノルは藤田ミノルとして…のちに、なんか魂だけ妖怪として…
同じ空間でプロレスしていました(たぶん)。

しかし一方は“獅子一色”、一方は“妖怪連合”という…
もはや単語だけで訳がわからなくなるユニット間で
混ざりあったらさらにわけわからなくなるわけで、
リングでの接点はおそらく、そう多くなかったものと思われます。

その他にもおそらく、様々な会場や団体で同じ空間にいながらも、
そして、互いに一目おきながら。
ついぞ訪れることのないシングルマッチの機会について、
藤田ミノル選手本人もコラムの中で、
「セコンドで高梨将弘の試合をみながら、
どこかで自分とシングルマッチをすることはないんだろうな、と思っていた」
と語っています。

しかし、藤田ミノル選手は行動で、
その“ないんだろうな”と思われたシングルマッチを
“力技で”実現に漕ぎ着けることになりました。

BASARA新木場大会での、ユニオンMAX王座戦として。

挑戦に名乗りを上げたタイミングでは、
“BASARAの選手が輝く場”を奪い続ける
高梨将弘から
そのスポットをもぎ取る狙いが語られた一方で、
“こういう状況でなければ隣に立ちたい選手”とまで評した藤田ミノル選手。

どちらかがベルトを持つ状況で、
どちらかが名乗りを上げれば、必然、
シングルマッチで戦う状況が生まれる。
実現の可能性の薄かったこの一騎討ちを、
…では、なんで、敢えて実現したんだろう?
そんなことも少し、想像したくなるところです。

そのすべての答えではないけれど、
おそらく何かの一端で、
個人的に胸にストンと落ちた言葉が、
2月16日の我闘雲舞市ヶ谷大会で、どうやら、語られたようでした。



先日の我闘雲舞で、藤田ミノルが高梨将弘を前にして放った言葉は

“俺と、同じだ”。

力も、技も、スピードも。
プロレスラーとしての“ない”を抱えた二人。
だから、“同じ”。

…私が興行に行けていないので、
実際に耳にしたわけではありません。
ただ。
Twitter上に綴られていた言葉が、
鮮烈に印象に残りました。

しかし。

ともにそれぞれが歩んできた道からは、
藤田ミノルが“ない”と言葉にしたことが返って浮き彫りにするほど、
たくさんの“ある”で埋め尽くされている。

“力もない”

…プロレスラーとして戦って、キャリアは15年と21年と。
世間的なイメージの“プロレスラー”的な体格や、
戦い方からはかけ離れている二人。
それでも卓越した腕力がないからこその闘いが、
二人のキャリアを彩ってきたように思います。

“スピードもない”

飛ぶことはできる。
でも、必ずしもその動きをウリにはしていない二人。

“技もない”

…リングで披露される技巧の数々は経験と研鑽の賜物。
派手な技よりも駆け引きと引き出しの多さで戦う二人。

一方で、彼らには仲間がいる。
一方で、彼らには、
かたや最底辺汁レスラーを名乗りながら、
かたや様々な団体を渡り歩いて流浪しながら、
それでもひたむきにプロレスに向き合い、観客を熱狂させてきた、
プロレスへの愛がある。情熱がある。
一方で彼らには、対戦相手に向ける気持ち…ときには憎悪も、嫉妬も…
を推進力に変える力がある。
一方で彼らには、ともに、大事にしている場所がある。



高梨将弘が大事にしていた場所の一つ、
“ユニオン”の名を冠するベルトを、
今、藤田ミノルが大事にしているBASARAのリングで争うこの試合。

プロレス界はNever say never。
されど、“同じ”二人がぶつかり合うこの瞬間は、
“Once in a lifetime”。

この一度きりの瞬間を越えた先に…
高梨将弘と藤田ミノルからどんな“違い”が顕れるのか、
…あるいはやっぱり、“同じ”なのか。

その瞬間を楽しみに、
絶対に明日の新木場まで生き抜いてやろうと思います。



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