カレー屋(EXA)

エキプロ5で遊ぶブログでした。もはやその名残りはほぼない。

“Elite”がもたらすもの

2020-09-26 21:50:00 | スポーツその他
どうも、カレーです。

中学生の頃にアメリカンプロレスにドハマリし、
WWEのDVDを見まくりながら、インターネットを通じてTNAを知り、
AJスタイルズvsクリストファー・ダニエルズに感銘を受けすぎて、
うっかりハンドルネームに“カレーマン”という
そのまんまな名前を使い始めてしまい、
気づいたら引っ込みがつかなくなってしまいまして、
今に至ります。



[クリストファー・ダニエルズ。TDCホールで堕天使と握手。]




さて。

好き嫌いはさておいて、2019年、最もプロレス界に
(どちらかといえば良い方向に)
話題を振りまいたプロレス団体は、
All Elite Wrestling(AEW)なのではないかと個人的に…というか、
多くの人に同意いただけるものかと思います。

…少なくともこの文章を立ち上げた時点ではそうだったと思います。



All Elite Wrestling(以下AEW)は、
米国の新興プロレス団体。

新日本プロレスのBullet Club内のユニット“the Elite”のメンバーたちが、
クリス・ジェリコの主催した“ジェリコクルーズ”に参戦したことに端を発した…
のかは厳密にはどうかはわかりませんが、
とにかくその辺りから強固となった結びつきに、
プロレス大好き大富豪、トニー・カーン(父はジャクソンビルジャガーズ、フラムFCオーナーのシャヒド・カーン)の
出資のもと設立され、
Eliteのメンバーだったコーディ・ローズを社長に、
同じくEliteのメンバーである
マット・ジャクソン&ニック・ジャクソンのヤングバックス、
そして、新日本プロレスとの契約に区切りをつけた
ケニー・オメガを副社長に据えた強力な布陣の元、
2019年、5.25に “Double or Nothing”と銘打ち、
ラスベガスは格闘技の殿堂・MGMグランドアリーナ大会 で旗揚げを果たしました。

旗揚げPPVの最後には、WWEとの契約を終えたばかりのディーン・アンブローズ…
現在のジョン・モクスリーが電撃参戦するなど、
素晴らしい試合とともに大きなサプライズも成功させました。

だからその“賭け”の結果は、
おそらく。
“Double”といって、差し支えないものと思われます。

同年10月からはかつてWCWを中継していたTNTで、
ウィークリー生放送番組Dynamite!が開始となると、
この動きに対抗するように、(収益規模的に)世界一のプロレス団体である
WWEの第3ブランド“NXT”も中継枠を同じ水曜日同時間に設定、
かつてWCWとWWEの間で繰り広げた“マンデーナイトウォー”ならぬ、
“ウェンズデーナイトウォー”の様相を呈しています。

※ちなみにTNAの後継であるIMPACT Wrestlingは火曜日放送

以降、WWEブランドの中で如何にも視聴者層の被りそうなNXTと
熾烈な視聴率競争を繰り広げながら、
毎週約80〜100万人前後の視聴者数を叩き出し、
日々更新されるYou Tube動画も100万単位の視聴数となるなど、
新興団体ながら規模感で言えば、“世界2位”の団体となったと言って
差し支えないものと思います。

そうした大きな世界的広がりを見せる一方で。

AEWで展開されているプロレスは、
これまでにも日本で…というか
東京ドームで、
両国国技館で、
後楽園ホールで、
博多スターレーンで、
新木場1stリングで、
板橋グリーンホールで、
…市ヶ谷チョコレート広場で。

当たり前のように目にすることができた、
とても馴染みのあるプロレスでもあります。

それはそもそも旗揚げメンバーである
The ELITEの面々が、
元々Ballet Clubとして活動していたこともそうですし、
クリス・ジェリコを筆頭に、
ROHを離れて合流してきたクリストファー・ダニエルズ、
OWEとして提携し、契約を結んだCIMA、
旗揚げ戦に登場したオーサム・コングや
Marvelous USAとして活動し来日していたナイラ・ローズ、
専属所属契約を結んだ志田光、里歩、
旗揚げ戦に登場した水波綾にアジャ・コングに、
東京女子プロレスから参戦した坂崎ユカに中島翔子。
そして、さくらえみ。

もちろん、世界的なスーパースターたちである一方で、
多くの選手が、日本の、おそらくはテレビ中継もない、
規模感的に比較すれば“小さな会場”をも経たレスラーたちが、
この舞台に上がっている…ようにも映ります。

日本で、あるいは世界で。
プロレスが好きな人を楽しませてきたプロレスが、
電波を、ネットを通じて、広く世界中に届けられているこの状況について、
もう少し、思うところを整理しておく必要があるんじゃないかな、
と思ったのが、
最初にこの稿を立ち上げた経緯になります。

ちなみにこの稿を立ち上げたのは昨年11月。

“里歩vsさくらえみ”がこの舞台で実現したことや、
ケニー・オメガ&里歩がAEWスーパースターとして
DDT UltimatePartyに出場したことや色々あったことに
おそらくは何かしら思うところがあって書き始めたんだと思います。





ただ、一旦ちょっと話をシンプルにすることにしまして。

題名に立ち返って、この“ELITE”…
“ELITE化”、と言ってもいいかもしれないものが、
いったい、何をもたらすだろう、ということだけを少し。
端書程度に。



AEWという団体がプロレス界、
とりわけ、日本プロレス界に何をもたらすか、
個人的にはとてもとてもシンプルに。
“資源”だと考えます

“資源”の中身の第一は、まず、お金です。
生々しい。
生々しいけれど、とても重要。

そもそも、日本の団体とWWEとが正面から勝負したとしたら、
おそらくはまるっきり勝負にならないほどに、
元々の規模が違いすぎるところがございまして。
あんまりアレするとアレなのでアレですが、
「WWE 収益」でググると、9.6億ドルという数字が出てきます。
営業利益で、1.16億ドル。

一方で、日本最大手団体・新日本プロレスで見てみると、
過去最高を記録した2019年の“売上高”で約60億円、
利益で約5億円。

もちろん日本の団体の中で突出した素晴らしい数字ではありますが、
日本のプロレス産業そのものの市場規模からして、
131億円(2018年、矢野経済研究所を引用した某ササダンゴさんからさらに引用)。
規模感の違いは、致し方ないところだということをまず、
前提としたいところです。

しかし、ここまで明らかに規模感の異なるWWEに、
AEWは少なからず、“同じこと”の出来る相手として、
脅威を抱かせる存在として急浮上しました。

その背景は、トニー・カーン(と、シャヒド・カーン)の豊富な資金力。

車のバンパーの会社から一代で財をなし、
複数のプロスポーツチームのオーナーであり、
AEW創業者の1人であるシャヒド・カーンは、
個人資産実に87億ドルという、世界有数の大富豪。

このお金全てがプロレスに、というわけではもちろんありませんが、
少なくとも、資金力の単純な多寡で言えば、
WWEをも児戯扱いできるといえばできるという、その脅威。



ただ単純にお金の面でも充分AEWが“プロレス”にもたらすものが
大きいという“可能性”はお示しできるような気もしますが、
もう一つ、もたらされるものの可能性として考えるのが、“人”です。

ここでは質的な意味ではなく、量的な意味で。

先述のとおり、AEW Dynamite!は毎週、
80〜100万人規模の
視聴者数を獲得しています。
これは視聴率に換算するとおそらくは0.5%規模。

日本のテレビ番組等の視聴率と比較して考えると
それほど多くないように思われるかもしれませんが、
MLBのワールドシリーズとかで10%くらいだったりするので、
ケーブルテレビ中心の多チャンネル化の中にあるアメリカで、
一定の視聴率を確保し続けていることは、
おそらく価値のあることなんだろうと思います。

ちなみに全米No.1長寿番組(プロレスだけでなく、全体でみてのNo.1長寿)、
WWE RAWの視聴率が概ね3.0%前後。
いわゆる“アティテュード”時代が6.0%くらいで、
ジョン・シナとかエッジとかが主役で個人的によく見てた時期が3.5〜4.0%くらい。

ある意味とてもわかり易いRAWやSMACKDOWNに比して、
どちらかといえばプヲタ向けに思えるAEWが、
100万人規模の国民に(そしてFITE TVを通じて世界に)発信されている影響は、
以前、里歩選手が週プロモバイルのコラムに、
入国時だか移動時だかに、
空港の職員の方に“あれ?あなた里歩じゃない?”
と話しかけられようなエピソードを記していたと記憶していまして。

その方が重度のプヲタだという可能性はゼロではないかもしれませんが、
少なくとも、“プロレスをあまり知らない人”に、
プロレスを届けてくれる規模感の中にあることは、
間違いないものと考えます。



…まあ、一方で。

WWEですら“アティテュード”時代のような視聴率は臨めていないこと、
AEWが如何に大きな規模を持っているからと言って、
WWEにおいては“ファーム団体”の意味合いもあるNXTと競っている現実もあるため、
いま、この(ある意味)いい状況が、
どこまで続くのかわからない
(極端な話、
トニー・カーン&シャヒド・カーンからこのビジネスから手を引くと
判断する事態も起こらないとは言えない)
という懸念については、
どこまでも頭の片隅に置いておく必要があるとは思いますが…



書けば書くほど様々なことがある気がするのですが、
文字数の問題もあるので、とりあえず。
量的なメリットの話だけに、
一旦は留めておきたいと思います。




さて。

最後に、明日に控えた、
ChocoPro 50 “AEW vs ChocoPro”
について。



[※無断転載(無断転載許可済み)]

さくらさんはもちろん、アイドルとしてもキャリアを重ねてる水森さんも、
一つの共通する見解を持っていると思います。

曰く“数字は、重要”。

水森さんは“数字はパワー”とも述べていて、
Twitterにおいてはフォロワー数を一つ“指標”の例として挙げていました。

YouTubeを主戦場とするChocoProにとっては、
その“パワー”を示す指標は、
リアルタイムの同時視聴者数に、
チャンネル登録者数、
あとは動画再生回数あたりになるでしょうか。

特に、“同時視聴者数”は試合記録にも記される強い指標として扱われています。

結構ChocoProを見てる気がしますが、
記憶にある限りで、視聴者数が一番多かったのは、
さくらさんの25周年記念大会というビッグマッチが950人以上の視聴者数を、
次いで、“Riho HomeComing”が650人弱、
藤田ミノルvs水森由菜が500名超えの視聴者数を
叩き出していたように記憶しています。

現実、同時視聴者数に大いに影響しているのはなんというか、
何より、“特別感”なように思います。

ココ最近300名前後に落ち着いている視聴者数ですが、
おそらく明日は、500名を超えるんだろうな、とも思います。
割と簡単に。

でも目的とするところは500名ではなく、
重要なのは、AEWの持つ(少なくとも)100万の視聴者の目を、
ChocoProに向けさせること。

個人的にはこのカードで思い出すのは、
Double or Nothing帰りの里歩&さくらに、
“ローカルインディーレスラー”と揶揄されたリンゴとはちみつ、
アントーニオ本多&駿河メイが相対した試合。
ガトームーブチャンネルに試合動画が上がっていますが、
観戦していて最の高に面白い試合だったのは、
丸一年以上経っても鮮明に覚えてます。

100万規模の“パワー”を持つAEWからしたら、
500規模の“パワー”であるChocoProは、

ローカルインディー以外の何物でもないかもしれない。

それでも、AEWを経由してわざわざ動画を覗くような奇特なプロレスファンや、
うっかり中継を目にするライトなプロレスファンを
虜にできるだけの魅力をChocoProは、
水森由菜&駿河メイは持っている。
十二分に。

で、あるならば。

こうした奇特なファンやうっかりさんを(母数として)少しでも増やすことが、
今回とてもとても重要なんだろうなと思います。

その方法はリアルタイムの同時視聴者数に限らず、
後日動画再生する人が増えることでも十分作用する。

でもそのためにたぶん、何より重要なのは。

勝つこと。

印象に残すこと。

(駿河メイが歌うJudasがジェリコにうっかり届いたときくらいの、
AEWサイドの印象に残る何か。)

その意味では、里歩&さくらえみという、
“存在感の怪物”たちに、
立ち向かうのは難しい。
とてもとても、難しい。



“小さいまま大きくなる”



ChocoProを指してさくらさんはこのように述べました。

一方で、前回ChocoPro里歩選手の参戦時の“悔しさ”について、
それだけで3時間語れる、というようなことも述べていたように思います。

ChocoPro50。

積み重ねた50回。

悔しさすらも飲み込んで、
“小さいまま大きくなる”足ががりを、
掴めるかどうか。

華やかさ、50回を記念する空気、
対抗戦というシチュエーションとともに、
“数字”という意味で、とても。

とても、重要な試合が、明日。















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