私の顔を見るなり、
「お母さんがそこにいる。お母さんに会いに行かなくては。私が元気だと伝えないといけない。」
といいだした。
お母さんの名前は?と尋ねると、
「エイ」と答えるので、自分の母親のことを言っているようだ。
40年近く前に死んだことを言っても、
「そんなおかしなことをいう」
という風だ。
「ここにいる人は、皆、お母さんのことを知っているから、迷惑をかけられない」
というようなこともいう。
そんな昔のことでなくて、最近の話をした方がいい、とたしなめると、
「白い煙が租の下で出ている」といった。
たき火でもしているらしいが、その煙は確認できなかった。
そんな昔の人はみんな死んでいる。会いに行くなら、天国に行かなければならない。
というと、
「そんな馬鹿なことは言ってはいけない」とのこと。
お父さんだって死んでいるのだよ、というと、
「それは知っている。」
と答えるので、
お父さんの名前は?と尋ねると
「精七(せいしち)」と答えた。
自分の父親のことを言っているので、夫のことを言っているのではなかった。
それから「エイ」は生きているといい、
「そっちの部屋が選択の部屋」といった話をし始めた。
昔の人はみんな死んだ。石黒先生だって死んだんだよ、というと。
「石黒先生は、昨日がお葬式だったのでよく知っている」といった。
自分の母親がまだ生きているのだから、夫はもちろん生きていることになる。
そこで、私は誰?と尋ねると、ちゃんと名前を知っていた。
それから、
「昨日は、みんなで五木ひろしの歌を歌った」といった。
次から次に話す。
「年寄りってのはすぐに意地悪になるから、やになっちゃう」
「今日、古い洋服を探していくれる。正月が来るので、着る服を用意するといっていた」
「本当は、今日8時頃から租の洋服に変えてくれることになっていた。そういう人が幾人も来るから」
「いわれた通りにしておかないと」
「お金をつかませないといけないから、黒い鞄を持ってきてくれ」
「みんなやっている。そういうことを忘れてはダメだ」
「初めは、歌を歌ったり、お風呂に入ったりしていた」
そんな話をしていたら、介護の方が来て。
「今日10時半のおむつ交換の時に尿を出してしまい、マットを汚してしまった。これからそれを干してくる」といった。
そうしたら、
「お産の汚れ方を思えばたいしたことはない」といった。
「わかんないんだよ。お産の時と」
「歩いて持ってこようと思うんだけど。」
「ミーちゃんは見の周りのものをたくさん持ってきていた」
分けのわからないこと(昔の記憶)を次々に話すが、ホールでついているTVの歌番組の歌手の名前は次々という。
「ほら、藤あや子だ、五木ひろしだ、堀内孝雄だ」という。
「井出さん、美恵ちゃんが世話になっている。」
「私も世話をしているんだけど」
「大川栄策が済まなかったといっていた」
帰ろうとすると、お金を配る話をまた言い出したので、お金のことは守に任せておけばよいというと、
「守から頼まれたんだよ」と答えた。
今日の午後はお風呂だと介護の方がいっていた。
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