自然の中で考えるマガジン 

岡山県鏡野町とみ山荘からのメッセージです。

蒸しタオルの向こうで

2015年08月05日 14時05分23秒 | Weblog

白タオル 日本製 220匁 業務用白フェイスタオル 12枚セット
クリエーター情報なし
タオルショップ ブルーム


 こんな暑い日だった。男性の多くは理容店をなかなか変えない。髪形や素性や性格まで把握してくれている行きつけの理容店は心が休まる場所でもある。汗が流れてTシャツに染みを作りながら予約の時間その理容店のドアを開けた。いつものようにしてくださいとお願いした。店の中は冷房が効いて涼しかった。顔ぞりの前にちょっと雑談をした。暑いですねー、いやもうすごいですこの暑さというようなことを私は言った。店主は返事をせず椅子を寝かせ私の顔の上に蒸しタオルを載せた。そしてちっと舌打ちして最後まであまりしゃべらなくなった。手の動きや道具を扱う音が苛立ちを表現していた。あれ機嫌が悪くなっている、と思ったが白いタオルで視界はゼロだ。暑くてすいませんねとねっとりした声がした。店主は店内が暑いと言われたと思い一気に気を悪くしたに違いなかった。気まずい時間が流れた。最後の洗髪では頭皮に穴が開くかと思うくらい指先に力が入っていたし肩のあたりを軽くたたいてくれるいつものやつも鎖骨がへこんでしまうかと思うほどのサービスだった。私は新しい店を開拓した。この時期に入店するとまずおっ涼しいですねと言うことにしている。