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第58回 YC&ACセブンズ(2017.4.2)の感想(その2)

2017-04-05 00:41:24 | 関東大学ラグビー・リーグ戦


流経大が圧倒的な強さを見せて優勝に輝いたコンソレーション・トーナメント。チャンピオンシップ・トーナメントでは、その流経大を予選ラウンドで下した早稲田に注目が集まる。また、社会人クラブでは優勝にもっとも近いチームとして期待していた北海道バーバリアンズがベスト4の壁を越えられるか。老獪な戦術でファンを楽しませてくれるタマリバと見事緒戦突破を果たした神奈川選抜。連覇を目指す東海大にとっても侮れない相手が揃ったと言える。果たして優勝カップの行方は何処に?

■チャンピオンシップ・トーナメント

[1回戦]
○北海道バーバリアンズ 33-12 ●日本IBMビッグブルー
○早稲田大学 31-5 ●青山学院大学
○神奈川タマリバクラブ 21-14 ●神奈川県選抜
○東海大学 49-12 ●慶應義塾大学



セブンズ日本代表のスター選手、ロテ・トゥキリは抜けたものの、看板選手の巨漢ジョセ・セルやスピードスターの七戸、平川、そして流経大で活躍した櫻場や君嶋といった有力選手が名を連ねる北海道バーバーリアンズ。さらにもう1人、フィジーから加わったサムエル・チョンキットが本日のサプライズ選手。さほど大きく見えないのはジョセ・セルが居るためで、サイズと身体能力の高さ、そして独特の風貌で一躍観客の注目を集めたと言えそう。1995年生まれなので今後の活躍が楽しみな選手だ。平川は不発だったが七戸が期待通りの快足ぶりを発揮したこともあり、IBMビッグブルーを圧倒し難なくベスト4にコマを進めた。

早稲田は中野、横山、フリンといったサイズに恵まれた選手を揃えていることが驚き。SH齊藤の好リードもあり、組織的なボール回しでトライを重ねて青山学院を圧倒した。なるほどと、ここで流経大を破ったことに納得。堅守の早稲田の前に1トライに終わったが、青山学院も身体能力の高いメンバーが揃っていて楽しみだ。ベテランの福田恒輝や竹山がチームを引っ張るタマリバは予選ラウンドを突破した神奈川選抜に「気合勝ち」でベスト4に進出した。

次代を担うテビタやアタアタは不在だが、12鹿屋、13池田、14平尾、15野口とバリバリのレギュラーBK陣を揃えた東海大。SHの橋本も卒業した湯本に負けないなかなかのスピードスターだ。そこにサイズに似合わず器用な仕事人のテトゥヒ・ロバーツやパワフルな筒井エディらの強力なメンバーで固めた東海大に対し、慶應は何もできないまま前半が終了。もっとも慶應は中央大が棄権したためこの試合が緒戦だったことが不運だったとも言え、後半に2トライを返して意地を見せた。



[準決勝]
○早稲田大学 47-0 ●北海道バーバリアンズ
○東海大学 31-12 ●神奈川タマリバクラブ

準決勝の1試合目は、北海道バーバリアンズが早稲田にどこまで食い下がるかに注目した。しかし攻守ともにバランスよく7人が連携して動ける早稲田に対し、ジョセ・セルとサムエル・チョンキットが孤立気味だったバーバリアンズが苦戦を強いられる。強力な2人が持ち過ぎてしまい、2枚看板のスピードスターを活かすことが出来ずにゼロ敗を喫してしまった。早稲田では7本中6本のGKを決めた齊藤のキック力も光る。キックオフで高いボールが蹴れることも15人制の戦いでは武器になるに違いない。

第2試合では強力メンバーを揃えた東海大がタマリバを圧倒。橋本がスピードでアピールし、身体能力の高さが持ち味の池田もパワーアップしている。ここにSO真野とWTBアタアタが加わればBKは完成といったところだろうか。2年生のモリキ・リードも居るので最終的に誰がレギュラーで生き残るか楽しみ。前半と後半に1トライずつ挙げるのがやっとだったタマリバだが、随所で気迫のタックルを見せるなど気持ちでは負けないゾという心意気に元気をもらった感じ。

[決勝戦]
○早稲田大学 28-24 ●東海大学

ここまで競った展開が少なかった今年のYC&ACセブンズだが、チャンピオンシップ決勝は頂上決戦に相応しい好ゲームとなった。先制したのは東海大。しかし、早稲田も東海大のミスにつけ込む形ですぐに1本返す。トライはゴール左隅だったが齊藤がGKを鮮やかに決める。結果的にこれが勝敗の分かれ目となる。東海大が1トライ奪って再びリードするもののGKを外したのに対し、早稲田は1トライ1ゴールを決めて14-12と逆転に成功し前半が終了。どちらかと言えば個々で勝負の東海大に対し、パワフルな選手を揃えていても7人の纏まりで勝負の早稲田とチームカラーの違いが明暗を分けることになる。

後半はどこか歯車がかみ合わない東海大に対し、早稲田がペースを握り2連続トライ。ここも齊藤が確実にGKを決めて28-12とリードを拡げる。前後半が10分ずつの決勝戦だが、東海大はなかなか得点を挙げられないまま時間がどんどん過ぎていき、次第に焦りの色が濃くなっていく。僅差ながらも、いや僅差だからこそ前半に齊藤が左タッチライン際から決めたGKによる2点が東海大に重くのしかかる。東海大は終盤に2トライをもぎ取るものの、2つめが決まったところで無情にもタイムアップ。28-24とファイナルスコアこそ僅差だが、早稲田の完勝だった。

後で知ったことだが早稲田の優勝は34年ぶりだそうだ。いつもなら試合が進むにつれてチームとともに観客も減っていき密やかに行われるのがファイナルゲーム。しかし、今回は最後までピッチを鈴なりにファンが取り囲む状態だったことが強く印象に残る。ホットな戦いの中に永年チームを支え続けた早稲田ファンの底力を感じた決勝戦でもあった。

平尾誠二 人を奮い立たせるリーダーの力
クリエーター情報なし
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コメント (2)
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