日常笑話「傘」

　ぼくは、いつも、小さい傘をカバンに入れている。今日は雨だという日でも、傘を持っていれば雨に降られないが、傘を持っていないと、雨に降られる。運がいいのか悪いのかわからない。

　今日も昼過ぎ、近くのスーパーへ買い物に出かけたが、朝からずっと雨が降っていたし、外を見ると、人が傘をさしている。それに風もあるようだから、少し大きめの傘を持って家を出た。エレベーターを降り、傘をさして外へ出ると、何と雨は止んでいる。それから買い物して、帰って来るまで雨は降らず、傘はお荷物になるだけだった。

　一年に数回、カバンを変えて出かけることがある。そんな時は、よく、傘をカバンに入れ忘れることがある。そして、そんな日に限って雨が降るのだ。職場まで行く途中、雨が降りだして、仕方なく、コンビニに寄って、五百円の傘を買ったことが何回かある。

　いちばん最悪なのは、仕事帰りに降り出した時のことだ。雨だけでなく風も強いので、また、コンビニに寄って、千円のしっかりした傘を買った。そして、駅に着き、各駅電車に乗って、次の駅で下車し、ホームのベンチに座って急行電車を待つ。急行電車が来て、ドアが開き、乗り込み、閉まるドア越しにホームを見ると、ベンチには買ったばかりの傘が置いてある。

　そんなことが繰り返されて、ぼくの傘は少しずつ増えて行く。