夕方、東京から郊外へ向かう電車は満員だ。大きな駅に止まると、大勢の人が降りて、大勢の人が乗ってくる。ぼくはいつもホームに押し出されてからまた乗りこむ。そして、ぐいぐいと中に押し込まれる。
この日、ぼくの体はぐいぐいと押されたが、後退したが、足だけは後ろへ進まない。誰かの足があって、それが私の後退を妨げている。上半身だけがどんどん押されて倒れそうになる。足を踏みかえた時、その誰かの足を踏んでしまった。
すると、だみ声が聞こえた。「おい、足を踏むなよ!」声がした方を振り向いて確かめると、その声の主が大股広げて立っているのだ。「この野郎!満員電車で大股広げて立っているお前が悪いんじゃないか。ふざけるな!」と思いながら、足の上の方を見ると、作業用の下が膨れ上がったズボンが見えた。
さらに視線を上にあげると、ぼくの頭のあたりに肩がある。背が高いだけでなく、横幅もある、大きな肩の上にある顔までは見えなかった。ぼくは一言、ただ「すみません!」と言って、それから次の駅に着いたら、流されるままにホームへ降りて、隣の車両に移動した。
そうだ。満員電車で気を付けることが二点ある。
1.痴漢と間違えられないように、両手を上にあげて、つりかわをつかむことこと。できなければ、胸の前に両手を組んでいること。
2.暴力事件に発展しないように、何か因縁を付けられたら、すぐ謝ること。また、できればはやいうちに車両を乗り換えること。
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