昔、学校に勤めていたときのことだ。
ある人が私を名指しで電話をかけてきた。出てみれば、知らない人だ。
ただ、私とふるさとが同じだという。同じ高校出だともいう。長い間話した後、わたしはしびれを切らして「それで、何ですか。どういう用件ですか?」と聞くと、
「実は今『金(きん)』を買うと、かならず儲けます。ぜひおすすめします。」
「あのう、興味ないんです。」
「あっ、切らないでください。必ずもうかりますよ。」
「もうかるんだったら、あなたが買えばいいじゃないですか?」
「わたしは立場上買えないんです。あなたがもうかれば、わたしも少しもうかるんです。そういうシステムなんです。」
「だから、興味ないって言っているじゃないですか。切りますよ。」
「どうしてわからないんですか?」
さらに、少し声を荒げて言った。
「これだけ言ってもこんな簡単なことがわからないんですか。」
「あなたは学校の先生でしょ?どうしてそんなに馬鹿なんですか?」
「大きなお世話です。切ります。さよなら!」
その後、何度も学校を訪ねてきたが、そのたびに断った。数回来たが、最後はあきらめたようだが、
本当にしつこいセールスだった。今も忘れられない。
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