昨日、今日と、事故電車に乗り合わせていたJR西日本の運転士の救助不参加についての報道があり、マスコミの報道は糾弾する方向にあるが、果たしてそれは正しいのだろうか。。雑駁だが論点は2つだ。
1. 無闇矢鱈とJR西日本関係者全てを悪者扱いするマスコミ
2. 本質論として議論されるべきはJR西日本の企業体質
事実上、1が歪んでいる為に、2がきちんと報道されず、実態が把握されていないのではないか、と危惧する。某弁護士系のMLでも議論が活発に行われていたのだが、これらの事実をご存知ない方のために、先ずは朝日新聞の記事から(WEB版)
救助不参加運転士、上司が定時出勤求める 脱線知りつつ 2005年05月04日22時45分
JR宝塚線で脱線した快速電車に乗り合わせていたJR西日本の運転士2人が救助活動をせずに出勤していた問題で、尼崎電車区の運転士(27)から携帯電話で事故の状況を知らされた上司が「遅れないで来てください」と定刻出勤を求めていたことがわかった。運転士はこの指示を受けて現場を離れていた。また、森ノ宮電車区の運転士(59)から事故後4回、脱線を知らせるなどの電話を受けた別の上司が、周辺の列車を止めるなどの安全措置を怠っていたこともわかった。
同社は上司2人の対応は不適切だったと判断、上司についても処分を含めた対応を検討している。
上司に確認の電話し、しかも4回も携帯で報告したが、定時で出勤するように指示した上司の方がよっぽど問題なのではないだろうか。。2人を含めて、とあるが、これは正しいのか?!この報道姿勢は正しいのか?!糾弾するとして、事実を詳らかにするべきなのは、個々人の行動よりも、それを生み出した体質なのではないだろうか?!
バリバリの日本企業。しかも、元国営企業に古くからいる人間のすること。確実に親方日の丸の体質が残っていることは間違いない。会社が命。会社こそ命。業務は上司の命令絶対。そう言う体質で、〝サービス業〟と言う概念などなく、考えているのは退職までに如何に楽するか、退職後に漏れなく退職金を貰うか、と言う事だ。小生の部には下記のようなことを言っている〝上司〟もいた。。
*システム構築って言うはだ、私(シ)を捨て(ステ)無(ム)の
境地でひたすらやることだ、と意味不明のオヤジギャグめいた事
を本気で言っていた奴がいたくらいだ…
そして、彼らは俺たち大企業は、、、何てことを平気で言う。うーん、殆どのケースでクライアントは、君たちや君個人に頼んでいるのではなく、君のいる企業が大きいから仕事を頼んでいるんだ、と言う事は多分分かっていなかったと思う。社員個人個人の資質や能力が総じて企業と言う体裁をなし、企業力は維持されているのは間違いないのだが、日本企業の場合、その希釈度合いが非常に著しい。希釈度合いとは、つまり、ある一部署が残り全ての部署をカバーするくらい死ぬほど働き(実際過労死するのはそう言う部署)企業力を保っていることがかなり多い。コンサルファームにいる時、日本の一部上場企業は、1人の優秀な課長の下で働いている社員が、残りの愚かな9人の課長の下で抱えている部門全体を支えている、と言う話になったことがある。別にこの話をした人、統計など取った訳でもないであろう。しかし、元国営企業については、10人中1人ではなく、20人中一人にレートが下がる、と言うオチが着いた。。(笑)
いや笑えない、実際…
ビール券は社内の部署に対して使うもの、と言う概念が蔓延っているのも元国営企業ならではだった。ある営業が、都内の営業支店の技術部に客先に出張ってもらうために、わざわざ挨拶に出向き、ビール券を袖の下として渡し、お願いですから期日に時間通り出張ってくださいね、と依頼する。そうじゃないと〝談話室〟なるところで一日中昼間からビールを飲むか昼寝をしているだけだからだ。実際、小生もこの現場を幾度となく観ているからこれは間違いない。
〝サービスしてやっているんだ〟
話が若干それたが、この、愚かなイタリア人のようなマインドセットは恐らく、この企業にも蔓延していることはほぼ間違いない。そして上司の言うことは絶対なのであろう。風通しの良さなどと言う言葉、これっぽっちもないところが殆ど。どれ程共通点があるか、と言われればそれまでなのだが、小生のいた元国営企業にもそのような体質はうようよとあった。体裁だけは整えようとすることが何と多かったことか。。。小生の実体験として
MTGに一緒に行くから、と言われて連れて行ったが完全に英語
のMTGで、横からMTG中にこれはどう言う意味だ?!今のはな
んだ?!と聞いてくるから次回以降二度と連れて行かないこ
とを心に硬く誓ったものだ。。
それでいて、親方日の丸らしく、長くいれば給料は3倍...そんな頭の中にはスプーン一杯分くらいの脳みそしか入ってない上司とはとても呼べない上司ばかりだった。そのようなマインドセットの人間が取る行動としては、上記のような型式ばった指示にしかならないのであろう。
改めて思うのは、この類の人間が糾弾されるべき最初の人間であって、指示に従っただけ、なのであれば、この2人、上司と世論に板挟みに遭うだけではないだろうか?!マスコミが焦点を当てるべきはここではないだろうか?!JR西日本も愚かにもこの2人を処分する、と言うような声明を発表している。事故後すぐに置石説などを流し、自分たちJR西日本の責任ではない、と言わんとし、責任逃れをしようとしているのと同じで、今回も事件そのものから極めて末節な事柄を出すことにより、事故そのものから焦点をズラそうとしているのではないかと勘繰ってしまう。。
勿論、JR西日本の社員全員が、このような人間ばかりではないことは明白だ。実際、4回電話を掛けた森ノ宮電車区の方、59歳。この年齢の方でも、親方日の丸体質ドップリ、と言う人じゃない可能性も勿論ある。当然報道からでは、何故に電話をしたのか、分からない。事故当時出勤途中であったことは報道からも明らかだが、遅れそうだったために、報告をしたのかも知れない。しかし、4回も電話をしていることから、一社会人として、また、阪神大震災を恐らく経験した人として、目の前で起きた事故を看過することができなかったのではないかと、個人的に推察する。
どうなのだろう、実際。。。
4回も電話で報告を受けながら、他の電車を止めることを怠るなど、業務的な観点からしてもその上司はおかしかったりする。企業倫理、CSRなどと言う言葉が叫ばれる昨今、実際にいくら研修などを施しても、末端までそれが行き届いていない可能性もある。また、逆に企業構造の下部に当たる人たちの改善提案に対して、上司がその有用性や有効性について深く考察する能力がないケースにおいては、良案も水泡に帰す場合がある。と言うか相当あると拝察する。
マスコミは十把一絡げで、JR西日本全てが悪い、と言う方向性で話をまとめようとしているように思えて仕方ないのであるが、必ずしも全て同じで悪い、と言う事ではない可能性の考察も必要なのではないかと思う。
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確かに、事故当日にボーリング大会に行くのは尋常ではない心境と言うか、思いっきり勘違いしているのは間違いないのですが、それそのものの功罪(と言うか罪)よりも、その背後に潜むものをきちんと把握して、何故そのような問題が起きたのか、をきちんと解明すべきだと思います。
通常の企業とは違い、明らかに公益企業なのですから、このような問題を解明しない限り、また同様の問題が起きてしまうことは明白です。
私鉄企業幹部のコメントにありましたが、日勤教育なるものを施さなければならないような運転士ばかり雇っていること自体不思議だ、とありました。日勤教育で、一日中反省文を写させるような体質が問題なのだと思います。