母、本日より、老健入所となりました。
手術検討に伴う病院受診のため、老健にショートステイを繰り返していましたが、手術を受けないことになったのは、これまでも書いてきた通りです。受診の予定もなくなったので、本日よりショートステイが入所に切り替わりました。
老健って、つくづく変な施設ですな。
老健入所中は医療保険を使えないため、医療を受けるには施設側が医療費を負担しなければならない。よって入所中に病院にかかることはできない。
母は入所前日に降ってわいた手術の提案だったので、仕方なくショートステイを繰り返して対応してくれました。ショートならば外泊できるし、医療保険も使える。
へーーーー。
当面、母の病院受診はなくなったので、今回は入所でお願いしますと伝えましたら、キーパーソンの私が書類にサインしないと入所できないんだとか。
仕事を連日休んでいたので、「送り出しは夫で対応。手続きはできれば別の日に」とお願いしたところ、「まずはショートステイで受け入れ、娘さんがサインされた時点で入所に切り替えます」と。
そーなのか。ふーん。
まあ、お世話になっているし、散々融通してもらっているので、悪くは言えません。
そういうわけで、本日、入所の手続きに行ったというわけです。
いろいろな話があり、ここに書いておきたいことが諸々ありますが、今回はその中でも一つ。
母について施設の人の困り事。
大動脈瘤を抱えているというのが何より心配だし、気を使うことではありますが、それ以外ではこれ。ラプンツェル問題。
髪を切らない。
2年前に大動脈解離で入院して以来、切っていません。
何故だかは謎。
退院して家で暮らすようになって、父と私が繰り返し美容院に行くことを勧めても、「今はいい」「ちょっと待って」「順々にやるから」
行きつけだった美容院(普通の人の足で徒歩5分ほどですけれど)まで車を出すよと言っても、「あそこはイヤ」
夫婦でやっていた小さなお店でしたが、数年前にご主人が亡くなり奥さんが一人で切り盛りしているらしい。それなら尚のこと利用して応援したらと思うのですが、「あそこは不吉だから嫌」
「じゃあ、どこか別のところを探そうか?」「知らないところは嫌」
出かけるのが大変なら出張美容師さんという方法もあるよと言えば、「他人が来るのは嫌」
そんな間も髪は伸び続け、背中ほどまでもあるザンバラ髪に。落武者か?
コープのカタログで見つけた帽子に器用に髪を入れているので、さほど不審には見えないのだけど、帽子をかぶっていない姿をたまに見るとギョッとします。
息子が、「うちのビルにいるホームレスのおばあさんに似てるんだけど。こんなことを言って悪いけど。」とやや引き気味に私に言いました。(彼、商業施設でビル管理の仕事をしています。)
「お母さん、私が切ろうか?」「・・・」
母は週に2回デイサービスを利用していましたが、昨年の夏から同じ事業所でショートステイも利用するようにになりました。
ショートステイ先で出張美容師さんを呼べるとわかり、お願いすることにしました。ケアマネさんと話していた時は母も「あら、それはいいわね」と言っていたのですが。
当日、施設に美容師さんが来て、椅子に座っていよいよという時に、「今日はカットはいいです」と断ってしまいました。
仕事中の私の携帯が鳴って「お母様がキャンセルを希望されていますが、よろしいでしょうか? キャンセル料が発生しますがご承知おきください」と。
4800円かかりました。ああ、もったいない。まあ、問題はそこではないのですが。
母曰く、美容師が気に入らなかった、自分をバカにするような発言をした、この人に髪を切ってもらうのは絶対に嫌だと思った、、、とか。
「何を言われたの?」
「どうせボケてるんだから、どんな髪型でもいいと言われたのよ!」
施設の人に聞いたところ、そのようなやり取りは見ていないし、そのようなことを言うような人ではないと思うのですが。今まで施設に出入りしていて、そうしたクレームもなかった、、、
真相は謎のままです。
今年になって実家で母とテレビを見ている時に、ヘアドネーションの特集をやっていました。
それからです。母が「(髪の毛を)寄付しようと思っていますの」と、ケアマネさんに言うようになったのは。
「美容院に行かれませんか?」(ケアマネさん)
「差し上げようと思いますの。それにはもっと伸ばさなければならないでしょう?」
私、思わず口を挟みました。
「お母さん、ウィッグにするのはね、ツヤツヤのスベスベの健康的な髪の毛でないと。パサパサの髪はダメなの! 私の髪の毛だって、断られるよ。」
そうとも限らないらしいのですが、まあいいでしょう。このくらい言わないと響かないよ。
「・・・・・」
そうこうしているうちに父の入院に伴い老健を利用するようになりました。
「髪の毛を切っていただきたい」と繰り返し言われるようになりました。
例の帽子を被っているのですが、うまくできずにザンバラでいることもあり「(髪の毛を結ぶのを)お手伝いしましょうか?」と言っても、「自分でやりますから」と言って一切触らせてもらえない。
お風呂で髪を洗うのも大変だし、ドライヤーで乾かすのはもっと大変。絡まってしまいそうで危険。衛生的にも問題あり。
返す言葉もありません。
もちろん、老健には定期的に美容師さん来るのだけれど断固拒否です。
「と言うわけなので、今日は娘さんにご提案があります。私たちもいろいろ考えて、一つの方法に辿り着きました。」
「はあ、なんでしょう」
「美容師さんが来た時に、切っていただくために無理に椅子に座っていただくことはできません。私たちがそれをすると虐待になってしますます。」
「はあ、、。」
「ご家族ならば、それは虐待になりません。」
つまり私が母を椅子に座らせて抑えていろと?
狐につままれたような気分の提案ですが、これからのことを考えると「わかりました」と言うよりほかはないなと思いました。
これからのことをかんがえると?
ああ、そうか。例えば「髪の毛を切らないと、ここにいられなくなっちゃうかも」と言ってみる?
ほら、あんなに嫌がっていた歯医者さんも、「歯を治さないと手術を受けられない」と言ったら、渋々ながら受け入れたよね?
あ、でも「それならここにいなくてもいいわ」と言ったらどうしよう?
私は、母に振り回されっぱなし。
関係ないかもしれないけど、遠い遠い昔のことを思い出した。
中学生と高校生の時、髪の毛を伸ばそうとしたら、母が「許しません」と言った。たぶん、お洒落に構っている時ではないとか、勉強に集中できないとかいう理由で。
一人っ子だし、親の言うことには逆らえなかった。
親の力は絶大だった。そういう親子関係だったとも言える。
髪の毛を伸ばしたのは、高校を卒業してから。成人式で着物を着るのに髪の毛を結いたいと言ったら許された。
子どもの頃は一貫して「髪の毛はサッパリしていた方がいいのよ!」と言ってたよね。
お母さん、あの時の言葉をそっくりお返ししたいです。
ラプンツェルの母上。あなたのことがわがままに思えてしまいます。
認知症の一つの現れなんでしょうと理解はしていますが。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます