おやじ達の青春夏

団塊世代のおやじ達が過ごした楽しかった青春時代の想い出の数々。

#35★★護送車に乗せられ・・・

2014-01-16 | おやじ達の青春夏・エピソード
今日は久しぶりに人が多いので夜に宴会パーティをする事になった。
参加者は15人位、割り勘でお金を出し合ってつまみや飲み物を買い込んで、
ちゃぶ台を囲みわいわいと・・・。
アルコールはビールにジンライム、コークハイ、ハイボール等を揃えた。
ふた部屋の障子を外してテーブルを3台並べ周りを囲んで飲み始めた。
話が盛り上がり良い気分になって来た頃、
玄関で大きな声が
「おい、おまえ達うるさくねえか!」
「近所迷惑だろ~よ!」
「あっ、うるさかったですか?」
「どうもすいません」とマコトとサカキバラの声が・・・。
「すいませんじゃねぇよ!」
「これからは静かにしますから・・・」
玄関を覗くと怖そうなお兄さんが三人立っていた。
「何やってんだよお前達は・・・」と言いながら上がり込んで来た。
部屋を見回しながら
「何時も何時もうるさいよな!」
「楽しそうでよ」
「今日は俺達も仲間に入れろよ」
「そうしたら勘弁してやるから・・・」
と言いながら一人が
「セイジ、部屋に酒あったよな」
「ハイ」
「あれ持ってこいよ、仲間に入れて貰うからには手土産位無いとなぁ・・・」
全員がシ~~ンとなって顔を見合わせていた。
同じような事があった一昨年の事を思い出した。
持って来た日本酒をセイジと言う男が全員に注ぎに回っている。
「飲めよ」
「日本酒はチョット・・・」
「何、俺の酒が飲めないのかよ」
「いいえ、そう言う訳じゃ無いです」
「じゃ~飲めよ」
「さぁ~、さっき見たいに楽しくやろうぜ」
楽しくやれる訳がねぇよと心でつぶやいた。
「学校は何処」
「何年生」
「家は何処」
「何時から来てるの」
あれやこれやと質問攻め。
2杯目、3杯目と無理に飲ませながも、女の子を気にしている。
何か危なさそうだ。
暫くすると「いいね~お前、気に行ったよ。こっちで一緒に飲もうぜ」
「お前も来いよ」
とツボイとツボイの彼女にトシオの三人を台所に連れだした。
此方からは見えないのでトイレに行く振りをして様子を見に行ったら
台所の床に座ってウィスキーを飲まされていた。
どうやら皆を酔わせて女を狙っているようだ。
特にツボイの彼女が危ない。
幸い窓の所にいた俺達はタイミングを見計らっては酒を外に捨てていた。
1時間位が過ぎた
。吐き出した奴もいる。
このままではまずいがどうしょう。
一人は台所で・・・。
後の二人は我々の所で見張っている様子だし・・・監禁状態だ。
小さな声で
「このままじゃ拙いからよ俺がやるよ」
とチルが言った。「
そうだな皆でやるか!」
「まてよ、一人、台所にいるから包丁でも持ち出したら大変だぞ!」
「ううん・・・そうだな~」
「どうしょうか」そんな時に窓の外にタケダの姿が・・・。
遊びに来たら玄関に草履が多いのにいやに静かなので変に思いそーと覗いていたらしい。
窓ぎわにて訳を話し助けを呼ぶように頼んだ。
それから30分が過ぎた頃。
家の前でバイクが止まる音と車のドァーが閉まる音がした。
「こんばんは~」
「上がりますよ~」
と外から聞きなれない声が
「館山警察の者だが」
と制服の警察官と刑事らしき人達が三人入って来た。
我々、全員が緊張した。
「誰だ、勝手に人の家に上がり込んでいる奴は!」
「お前らか!」
「いえ、違います」
「違います?じゃ~お前達は友達か」
と、我々を見た
「皆が首を横に振った」
「こっちへ並べ」
上がって来た刑事さんに猫をつかむように首根っこをつかまれ縁側に並べさせられていた。
「すいません勘弁して下さい!」
「なにがすいませんだ!事件を起こしてからすいませんじゃ済まないんだよ」
「遊びに来ている健全な人達を脅して!」
と言いながら無線で車を手配していた。
「さぁ、署まで来て貰おうか」
「勘弁して下さい、お願いしますよ」三人はパトカーに乗せられていた。
「皆さんにも一応署まで来て下さい」
「事情を伺いますので・・・」
「今、車を手配したので車が来たら後からそれで署の方まで来て下さい」
「あの~全員ですか?」
「そんなには乗れないので事情の解る人達で良いですよ」
「はい、解りました」
怖いお兄さん達と警察の人達は先に行った。
「あぁ~良かった」
「警察だってよ、家に連絡されるかな」
「まさか警察が来るとは思わなかったよ」
「未成年でタバコに酒、補導されるかと思ったよ」
「あいつ等のビックリした顔見た」
「泣きそうな顔してたぜ」
家の前に車が来た。
外に出てみると
「え~何これ」
「護送車じゃない?」
「護送車?」
「俺達は犯人?」
すると警察の人が「沢山乗れる車がこれしかないので悪いですけど、これに乗って下さい」
警察署に着き中に入ると三人は並んで椅子に座らせられていた。
「それじゃ事情を伺いますので皆さんは此方へ来て下さい」
と少し離れた向かい側に。
「お前らは何処から来たんだ」
「東京です」
「何処の組のもんだ」と頭をどつかれていた。
「いいえ、組なんか入ってないです」
「それじゃ何でやくざみたいなカッコしてるんだ」
と言いながらまた頭を突かれていた。
おまわりさんは我々にも質問をしてきた。
「君は何をされたのかな?」
「はい、肩を組まれて此処に居ても良いかと言われました」
聞いていた刑事さんが
「そうか、コイツがそうしたのか?」
「いいえ」
「コイツか」
こう言う時に指さして言えない事を知っているようだった。
「違います」
「ジャーお前だな、肩に手を回すってお前はあの人にこうしたのか?」
と肩を組むと言うより首を絞めながら問いただしている。
「そんな事はしていないすよ!」
「お前等が肩を組むって言う事は素人さんには首を絞められるのと同じ事なんだよ!」
「それが脅し、恐喝なんだよ!」
我々は手を出された訳では無かったのでチョット可哀そうな気もした。
「貴方は何をされたのかな」
「無理にお酒を・・・」
「飲まされたのか?」
「お前らは未成年者に酒を飲ましたのか?」
と言いながら髪の毛を掴まれ頭を振り回されていた。
そしてと次々とやられた事を聞かれた。
「いいかお前達がやった事は家宅侵入と不法占拠、監禁等で立派な犯罪なんだぞ」
「皆さんはどうしますか?こいつ等を訴えますか?訴えるようでしたらこのまま留置所に入れときますが?」「どうする?」
みんな顔を見合わせながら困った顔をして首を横に振った。
「いいえ、そこまでは・・・なぁみんな・・・」
「えッえ~」
「そうか、お前ら良かったな良い人達で、
カツアゲや万引きとは比較にならない犯罪だぞ!
それを訴えないなんて良い人達じゃないか」
「今度こんな真似したらタダじゃ置かないからな、刑務所にぶち込むぞ・・・」
「さぁ~一人づつ皆さんに誤って・・・お礼を言いなさい」と言いながら頭をどつかれていた。
借りてきた猫のようになったお兄さん達は
「御免なさい」
「どうもすいませんでした」
「もう二度としません、すいませんでした」
「それじゃ~皆さんは帰って良いですよ」
「はい、有難う御座いました」
「所で皆さんは何の集まりなのかな」
「うっ、僕らですか?」
「え~僕等はテニスクラブの合宿です」
「そうテニスね」
「じゃ~テニス頑張ってね」
帰りの護送車からの館山の夜道、
俺達テニスクラブだって・・・まぁ何も無くて良かった。
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#34★★ノッテケ・ノッテケ・ノッテケ・サーフィン・・・

2014-01-08 | おやじ達の青春夏・エピソード
今日のビーチは華やかだ、彼女連れのカップルが多い。
「ねぇ、誰か一緒にヨット借りて沖ノ島の方へ行かない!」とトシオが・・・。
操縦士付きの貸しヨットで10人位は乗れる。
マコトが「俺、行くよ」
「俺も・・・」とチルが・・・。
「私も乗る」
「俺も行こうかな」
「私も連れてって」
「怖くない」
「大丈夫、怖くないよ」
「今日は波も小さいし、風もそんなに強くないから・・・」
人数も揃い海に・・・。
ヨットは水面を音もなく滑走するので気持ちが良い。
船は沖ノ島の先まで行き海岸に戻って来た頃・・・。
パラソルの下にカラス
(ナナモリのあだ名で、鼻が大きくカラスのくちばしに似ていたので、そう呼ばれていた)
が波乗りの板を横に置いて座っていた。
「よう、何時来たの?」
「うん、ちょっと前」
「午前中に千倉で波乗りした、その帰り」
「波乗りの板持ってんだ」
「乗れるの?」
「有ったり前だよ、春頃に買って何回か練習してたからな」
するとツボイが「チョット乗せてよ」
「駄目だよ乗れないよ、ここじゃ波が無いから」
「じぅあ何でそこの脇に置いてあるんだよ」
「盗まれないように持って来ただけで乗る訳じゃないよ」
「まぁ、何でも良いから貸してよ」
「貸すのは良いけど、乗れないぞ!」
「いいって、いいって、ちょっとだけだから」
「違うよ、波乗りは波が無いと乗れないの!」
「波乗りの板って結構でかいね」
「へぇ、これが波乗りの板なんだ」
「中学の時に加山雄三の映画“ハワイの若大将”か雑誌で見た事が有るぐらいだよ」
「こんなに大きいんだ、触ったの始めて・・・」
「乗ろうぜ!」
「行こうぜ」
「ツネ行かないこれ乗りに!」
「おう、行く行く」
「俺、見に行こう」
「カラスの奴さ貸すのが嫌なもんだからあんな事言いやがってさ、波が無いから乗りやすいよなぁ~」
胸位まで海に入り、4人が板を支え安定させ乗る人が板の上に立つと4人が一斉に手を離す。
安定しないので海にドボン、これを何回となく繰り返していた。
「なかなか難しいなこれ」
それでもだんだんと慣れてきて4人とも上手くバランスを取れるようになって、
支える人がいなくても立てるようになった。
「立ったら合図するから板を押してくれる」
「ああ、分かった」
誰が何度やっても押された反動でドブン、ドブン、ドブンと立つだけでやっとだった。
後で知ったのだが、波乗りは波が沖合から岸に向かう時の推進力で板に乗る物で、
館山のような内房では波がないのと
特にこの海岸は“鏡が浦”と呼ばれる位波が穏やかなので、
ここで乗る事自体が無理な事だったわけだ。
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#33★★車が・・・

2013-12-31 | おやじ達の青春夏・エピソード
9時を回った蒸し暑い夜。
みんな麻雀をやっている。
退屈だ。
「スズキ、車貸してくれない」
「うっんん、オヤジから車は貸さないように言われているけれど少しだけなら良いよ」
「え~と鍵はと」
「あったあった、はい」
「暑いから、ちょっとそこらへんを走って涼んで来るだけだから」
と家を出ようとしたら
「ヤッチン、私も連れてって!」とアケミさんが・・・。
「行くの一緒に・・・」
「乗せてよ」
「アア、良いよ」
白の“いすゞ・ベレット1600”、良いな~。
体を包むようなシートに木目のハンドル、カッコ良いな~。
「何処へ行くの」
「海岸沿いを走って洲崎灯台あたりまでかな・・・」
「ラジオのスイッチを入れFENに・・・」
家を出て海岸道りに出てハンドルを左に切りフラワーラインを洲崎灯台に向かって走り出した。
ラジオからは“マー・ベィビー・ベィビー・バラバラ”と
「この曲何て言うの?」
「レインボーズの“バラバラ”だよ」
「この曲、流行っているわよね、良く聴くから・・・」
「うん、レコードが欲しいんだけどね、まだ売っていないんだよね」
「この放送局はねFENって言って、アメリカ軍の基地から放送されているから、曲が日本より早いんだ」「今、流行っている“ハンキーパンキー”なんか去年から流れていたよ」
音楽は花のサンフランシスコ、モンキーズのデイドリーム等々と快適な曲が流れていた。
窓からは気持ちの良い風が・・・。
車は館山休暇村、西岬海水浴場、坂田を過ぎゆるい左カーブ、
そして右カーブに・・・その時、
車がキッキッキッ~、カーブがきついこのままじゃ曲がれないと感じ軽くブレーキをかけた。
すると車がフワァー~っと~浮き上がったような感じ。
助手席のアケミさんが・・・
「きゃ~~~~~」っとしがみ付いて来た。
ハンドルが利かない、
車がドン、ドン、ドンと大きな音をたてて転がった。
「手を離して!」
「アケミさん、手離して!」
目の前がぼんやりと霧が掛かったように見える。
どうなったのか。
車は止まっている。
車内はまだぼんやりとしている。
「アケミさん、大丈夫!」
スピードの出し過ぎだった。
幸い車は一回転して起き上った状態だった。
ドァーを開け外に出た。
暗闇の中、周りを見ると空に満月と星がキラキラと輝いていた。
最悪だ。まいったな~。
スズキに何て言おう。
車はエンジンが切れカーブの中ほどを過ぎた道路脇で止まって、
ヘッドライトが海を照らしていた。
車内がぼんやりとしていたのは一回転した時に床のほこりが落ちて来ていたのだ。
道の右脇は数メートルの崖、左は畑のようだった。
「ヤッチン、大丈夫」
「俺は大丈夫だけどアケミさんは?」
「怪我ない?」
「私も大丈夫よ」
「下に落ちなくてよかった~」
「ごめんね!アケミさん」
車の両サイドのドァーと屋根がベッコリと凹み助手席のドァーは開かなかった。
キ-をひねるとブルン、ブルン、ボッボッボッとエンジンが掛かった。
助かった。ラジオからはビージ-ズの“マサチューセッツ”が流れていた。
快適なドライブになる筈が暗い沈黙の世界に・・・。
スズキ、ごめん!
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#32★★はずかちぃ・・・

2013-12-23 | おやじ達の青春夏・エピソード

みんな最近は車が有るせいでまとまりが無くなって来た。
行動範囲も広がり隣町の富浦、保田や平砂浦、白浜等と別々に行動するようになった。
車の無い俺はスキムボードを抱えて今日も北条海岸に・・・。
昨日まで居た女の子が帰ったので今日からはフリーだ。
見るとチーターも今日はフリーのようだ。
「チーター!行く?」
「ああ、良いよ」と波打ち際でスキムボードをしながらぶらぶらと歩いていると
日光浴をしている2人連れの女の子を・・・。
「チーターあれ行こうか?」
「そうだな~」
「手始めに行って見るか」
砂浜にビーチタオルを引き寝そべっている二人を挟むように左右に分かれ近ずき
「今日は~」と声を掛けたが・・・知らん顔をしている。
チェックのバミューダを履く子が寝ていた体を起こし
タオルに座ったまま両手を後ろで支えボ~っと海を見ている。
再び「今日は!」と声を掛けると此方の顔を見て軽い会釈を・・・。
そこで「東京から来たの?」と聞くと
顔を見てから顔にタオルを掛けて寝ている連れに助けを求める仕草を・・・。
そしてチーターが「ちょっと聞きたいんだけど、館山の花火大会って何時だっけ?」
何を聞くかと思ったら花火大会だって、街中にポスターが張ってあるので知らない訳がないのに・・・。
すると起きている娘が「おねえちゃま、花火大会は何時かって聞いているよ」
寝ていたのはお姉さんらしい、おねえちゃまだって・・・。
「レイちゃん、知らない人とはお話をしてはいけないってお父様が言っていたでしょう」
「うん、だけど」と半べそをかいている。
「叱れますよ」
「はい」
そこへすかさず「そう、レイちゃん叱られますよ、お父様に・・・」
「だけど、今はお父様はいないから大丈夫ですよ」
「ねぇチーターちゃま」すると二人は「クスッ」と笑って
お姉さんが「毎年8月8日で、来週の火曜日ですよ」
「来週の火曜日か込むだろうな」
「見に行くの?」
「はい」
「一緒に行っても良い?」と聞いても返事がない。
「ねぇレイちゃん一緒に行こうよ二人で・・・」
「レイカ、はずかちぃ」
はずかちぃ・・・?チーターと顔を見合わせニヤリ。
するとお姉さんが
「レイちゃん、来年はもう3年生ですよ、言葉使いに気を付けないと笑われますよ」
「は~い」
「この子はあまり男の人との会話が慣れていないので御免なさいね」とお姉さんが・・・。
「花火は両親と一緒なので・・・」
「そう、残念だな~」
「それに夜は外出させて貰えないです」
「そう、厳しいんだね家」
「それじゃ、レイちゃんの為に俺達が力になろう」
「会話が慣れるようにおしゃべりをして」
「どう、レイちゃん」
「おねえちゃま、男の人と楽しいお話をしてもよろしいでちゅか?」と、
チーターがレイちゃんのしゃべる真似をして言った。
「わたし、そんな話し方はしていないです」
「してる、してる似ているよ」
「はずかちぃ」
「それに、何時も、何時も、おねえちゃまに聞かなくても
行動できるようにならないと、ねぇおねえちゃま」
お姉さんは頭を小さく上下に動かしうなずいていた。
レイちゃんがスキムボードに興味を持ったらしく
「その丸い板はなんですか?」
「板~?」
「これね、スキムボードって言ってね、
波打ち際で波が引いた時にこれを投げてその上に乗って滑って遊ぶ物だよ」
「今、アメリカで流行っているんだって」
「スケートボードって知ってる」
「幅が20センチで長さが50センチ位の楕円形の板にね、
小さい車輪が4っ付いていてコンクリートの道路や坂道とかで乗るんだけどね」
「知ってる」
「ううん、わからないけど、楽しそう!」
「そう、それじゃ~明日持って来てあげるから乗って見れば!」
「おねえちゃま、いい」
「ほらほら、また、おねえちゃまだよ」
「はずかちぃ」
暫くスキムボードで遊んでいたが、そろそろ帰ると言うので・・・。
「何処に泊っているの?送っていくよ」と聞くと
「おうち」
「お家?」
「地元?」
「さっきは、家は東京世田谷って言ってたよね」
「う、うん」何か訳ありの返事だが余り余計な事は聞かない事に・・・。
「近くだから大丈夫です」
「送って行くだけだよ」と言う事で家に向かって歩き始めた。
チ-ターとお姉さん、俺とレイちゃん。
前を歩く二人に付いてぶらぶらと・・・。
渚銀座を過ぎ、踏切を渡り、街中へそして交差点の手前までくると
「ここで良いです」
「ここって銀行だよ?」
「また~銀行が家なの?」
「信用されてないな~俺達」
するとお姉さんがバックから鍵を出しで通用口の鍵を開けた。
これにはビックリ。
「有難うございました」
「う、う、うん」言葉が無い。
「じゃ~レイちゃん又、明日、海岸でね」
「はい」
そして帰り際「チーター、あの二人何者だろうね」
「屋上に住まいがあるのかな~」
「守衛の娘じゃない事は確かだな」
「○○銀行館山支店って書いてあったぜ」
「知らなかった“はずかちぃ”」
「すげーお嬢様じゃない」
「支店長の娘?」
「なぁ~“おねぇちゃま”に“はずかちぃ”だもんな~」
この日以来俺とチーターは何かにつけては“はずかちぃ”と言っては笑っていた。
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#31★★1967年・さぁ~夏だ、海だ、館山、北条海岸・・・

2013-12-15 | おやじ達の青春夏・エピソード
期末試験も終わり、
来週には梅雨も上がるらしい、
いよいよ一年で一番燃える夏休み。
高校生活最後の夏休み。
今年はいままでとは訳が違う車(トヨタ・カローラ)を買って貰ったのだ。
車はブラウンカラー、ボンネットのサイトミラーを外しドァーの三角窓下に付け替えドァミラーにした。フミオのムスタング、
ヨコセのアルファロメオ、
ナナモリのフェアレディ、
彼らと比べるとランクが低いが軟派は車だけじゃないと勝手に思い込んでいる。
海に家を借りるようになって今年で3度目の夏。
俺には車の無い2年間に鍛えた話術とユーモアがあるとこれも勝手に思い込んでいる。
今年は家を探しに来たのが遅かったので
良い所が借りられずしかた無く決めた家なので周りに家も多い住宅地だった。
庭も駐車場もなく垣根に囲まれた一軒家で
玄関を入ると左側に台所、その奥に風呂とトイレ、
右側に廊下、そして6畳と8畳の襖に敷きられた部屋と言った所だ。
3度目となると段取りも慣れたもので既に布団や食器等の荷物や
着替え等は期末試験が終った後に運び込んである。
グループも年々参加人数も増え友達も仲の良い者同士が集まりグループを作り枝分かれしていった。
その結果、借家も1件ではなく去年は3軒、今年は4軒と規模も大きくなった。
そして他のグループと差別化する為に去年から集まりに名前が付いた「Pabo Club」。
オタケの知人、アケミさんが「あなた達パーボーじゃないの?」と良く言っていた。
何時も馬鹿みたいに遊んでいるので
“パーボー”(韓国語で馬鹿と言う意味らしい)見たいと言っていたのだ。
他の女の子達から「あなた達って何の集まりなの?」とよく聞かれていたので、
前々から皆で何か名前を付けようと思っていた。
「パーボー」丁度いいのでそれをそのままクラブ名にした「パーボー クラブ」。
海の家の玄関前には木のまな板で作った “Pabo Club”の 表札もぶら下げてある。
高校最後の館山。
今年は夏休み中ず~といるぞ、
この時の為にパーティを開いたり、
毎月の小遣いから少しずつお金も貯めたしと張り切っていた時におやじに釘を刺された。
毎年、夏休みになると家に居無いのを知っているので
「ヤスノリ!車で海に行くのは駄目だからな~」と・・・。
「エ~~~駄目なの・・・」
「まいったな~楽しみにしていたのに・・・」
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#30★★ホテルの部屋で・・・

2013-12-11 | おやじ達の青春夏・エピソード
パーティも回を重ねているうちに最近では2次会も用意するようにしている。
それはホテルのツインの広めの部屋を予約してパーティを開くのだ。
ただ、この2次会へは誰でもが参加出来る訳じゃない。
彼女同伴の親しい友達でないと参加は出来ない。
場所は芝公園の東京プリンスや銀座8丁目の日航ホテル等で、
どちらのホテルも部屋に出入りをする時にフロントの前を通る事が無いので都合が良いからだ。
ヨンパチでパーティ(#21)を開いた時などには近くの日航ホテルを使う。
パーティ開催日の10日位前に部屋の予約を済ませ、
当日の昼過ぎ頃に予約を入れた本人がホテルに事前にチェックインを済ませる。
その時にホテルのフロントやエレベ-ター、部屋等の位置やルームナンバー等を覚えて置き、
持参した手荷物のバックには用意をした飲み物のウイスキーやコーラにつまみ、
紙コップ等を詰めて部屋に持ち込んで置く。
そしてヨンパチのパーティが終った後、
2次会の参加者はホテル近くの喫茶店に集合して前もって調べたておいた
部屋の階数やルームナンバー、エレベーターやフロントの位置等の情報を皆に知らせる。
これはホテルの入り口付近で迷って怪しまれないようにスムーズに部屋に行く為だ。
まずは初めにチェックインをした本人ともう一人がフロントに行きキーを受け取って部屋に入る。
そして皆が待機している喫茶店に電話をして部屋に入った事を知らせる。
連絡を受けた友達は2人ずつのグループに分け、
間を開けながら順番にホテルに入り、部屋をノックして中に入る。
これを何回か繰り返し全員が揃った所で2次会が始まる。
多い時には14人位が集まる。
当然、部屋の予約は2人なので、これは認めて貰えないし見つかれば間違いなく追い出されるだろう。
部屋では手分けして持ち込んだプレィヤーでレコードを聴きながら
各自好きな飲み物や食べ物を持ち込み銀座のネオンを眺めながら皆で
“静かに騒ぎ”一晩中楽しむのだ。
中にはチャッカリと別に部屋を予約しているカップルもいる。
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#29★★おしゃれな社交場に・・・

2013-12-04 | おやじ達の青春夏・エピソード
今日はリサちゃんに誘われて最近流行りのフォークソングを聴きに文京公会堂へ・・・。
大学生のお姉さんの彼氏がバンドをやっているので、そこから入場券が回って来たらしい。
入口の看板には大きく“第25回 オール・ユー・ジュビリー”と書かれていた。
コンサートは立教大学、青山学院大学、成城大学等々の大学生達が主催し、
それぞれの大学のアマチア バンドがでるそうだ。
Gパンにペニーローファーの靴、
シャツは赤のマドラスチェックと
クールネックのセーターに6フィートのロングマフラーと
気楽な格好で待ち合わせ場所で待っているとリサちゃんが来た。
何故か着ている洋服が何時もと違いドレッシーだ。
流行りの黒のロングブーツにロングスカート、黒の長いケープまで付けている。
「待った!」
「いいや」
開演時間の一時間も前に待ち合わせを・・・。
「じゃー入ろうか?」
「もう?」
「早いんじゃないの」
「そんな事ないわよ」
フォークソングといえばマイク真木の“バラが咲いた”とか、
荒木一郎の“空に星があるように”
ブロード サイド フォーの“若者たち”
“この広い野原いっぱい”の森山良子とか
キングストン トリオや
ピーター ポール&マリー、
ブラザーズ フォーとかならば知っているしレコードも持っている。
今日は黒沢久雄のブロード サイド フォーがでるらしい。
会場に入るとダンスパーティとは違い何か雰囲気が違う。
まず着ている洋服が違う。
男の人は皆、
トックリのセーターやボタンダウンのシャツにアスコットタイかネクタイを締めジャケットを着ている。
女の人はロングブーツやハイヒールにミニ スカートやロング スカート等と
皆、ファッション雑誌から出て来たよう格好をしている。
一目でジーパンが場違いとだと分かる。
かっこ悪い。
何か浮いた感じだ。
開演前のロビーではあちらこちらで人だまりが出来ていて、
かっこいいお兄さんやお姉さん達が会話を楽しんでいる。
何か大人の雰囲気で社交場って感じだ。
場違いの自分が恥ずかしい。
リサちゃんは知り合いが多いようで男女問わずに声を掛けられている。
「知り会い多いね」
「みんなお姉さんのお友達、良く一緒に見に来ているから・・・」
「何か俺、着ている物が場違いでカッコ悪いよ」
「大丈夫よ、そんなの気にしなくても・・・」
いよいよ開演時間、お客さんは若い人が多い。
生で聴く“若者たち”は良かった。
途中の休憩時間になると皆、再びロビーに出て会話を楽しんでいる。
「ミナミハラくん」これ終わったら帰りに“コペン”に行かない。
「コペン?、何それ!」
「行った事無い?」
「うん、知らない」
「何のお店?」
「コペンハーゲンって言うビアホールだけど・・・」
「リサちゃんビール飲まないじゃない」
「うん、でも別にビールは飲まなくても良いのよ、鳥のから揚げが美味しいの」
「それにお店の雰囲気がすごく良いから行こうよ」
「へぇ~」
お茶の水駅近くの住宅地に洒落た2階建ての洋館が立っている。
門を抜け庭を通り過ぎて建物に、木のドアーを開け中に入ると
床が木なので靴音がトン、トン、トンと中々感じが良い。
中は幾つもの部屋を改造してテーブルが並んでいる。
「良いでしょ」
「お洒落で」
「うん、良いね~」
「温かい季節になると外の庭にテーブルが並びビアガーデンになってね、
時々ね、マイク真木が来てビールを飲みながらギターを弾いたりしているのよ」
「結構、有名人も来ているらしいわよ」
「へぇ~良いね」
これ以来何度も利用するようになった。
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#28★★二股が・・・三股が・・・

2013-11-26 | おやじ達の青春夏・エピソード
南青山のブルーマウンテン、
通称ブルマン青山通りに面したガラス張りのお洒落なカフェ。
今回、時々待ち合わせ等で利用しているこの店で
夏に知り会った友達やその友達を集めてパーティを開く事になった。
Pabo Club親睦会。
店内はヨンパチよりも広く60から70人位は入る。
以前に、この店でヨンパチのように学校の友達を集めてパーティを開いたが
思うように女の子が集まらずに失敗した事がある。
数人で表参道から原宿の駅まで行って声をかけたが駄目だった。
ここは銀座とは違っていて用もなくブラブラしている人が少なく
待ち合わせが有るとか
帰る所だとか
買い物途中だからと、
なんらかの目的をもっている人が多くパーティは散々だった事があった。
それ以来、ここでのパーティは知り合い同士の昼間のパーティにする事になった。
2カ月前から進めて来た今回のパーティは
皆で手分けをして誘いまくった事と夏が終わった後の再会なので大盛況だ。
店に入り切れない程集まった。
「ミナミハラ君、こんにちは!」
後ろから呼ぶ声が・・・
振り返ると・・・
そこには・・・
マズイ・・・
「あれ・・・ケイコちゃん・・・誰と来たの?」
「サトミと・・・」
「妹の?」
「そう」
「二人で・・・?」
「ううんナナモリ君と一緒に・・・」
「ナナモリが・・・?」
「そうサトミがナナモリ君に誘われてね、そしたらサトミが一緒に行こう言うから付いて来たの?」
「あっ、そうなんだ」
まいった、ナナモリの奴いつの間に妹と付き合っていたんだ。
今日は他の女の子を連れて来ているので見つからないようにしないと・・・。
「ごめんね、誘わなくて・・・」
「主催しているから忙しいので誘わなかったんだ」
と苦しい言い訳を・・・
まいった・・・
ばれなきゃ良いけど・・・。
店内ではサンドイッチや飲み物の追加の催促で大忙しだ。
海で見るのとは大違いで男も女の子も見違える程お洒落をして来ている。
話も盛り上がり、あの子もこの子も来ている。
夏に知り合った女の子達が皆、集まったみたいだ。
あれ・・・あれはヒトミさんだ・・・まずい・・・どうしょう。
目線を外そうとしたが・・・
合ってしまった・・・
まずい・・・
又かよ・・・
今日は付いて無いなぁ。
とぼけて「来てたの?」
「だって、貴方が誘ってくれないから・・・」
「ううん・・・」
すると隣にいたミホさんが
「ヒトミがね、ヤッちんが誘ってくれないから行かないって言っていたけれど無理やり連れて来たのよ」
「あっ、ミホさん久しぶり!タカハシは?」
「飲み物を取りに行ってる」
「ごめんね、今日は幹事だからさ~ゆっくり話も出来ないと思って誘わなかったんだよ・・・ごめんね!」
さすがに今日は参った友達同志を集めたパ-ティは楽しいがもうこりごりだ。
・・・・。
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#27★★隠れてないで出てきなさい!

2013-11-14 | おやじ達の青春夏・エピソード

小遣いも無くなって来たので、久しぶりに家に帰って来た。
暑い・・・暑い・・・。
家の手伝いをして小遣いをせびるのだ。
それにしても蒸し暑い。
2日もしない内に海に帰りたくなるがここはガマン、ガマンだ。
久しぶりに会ったサカキバラと銭湯に・・・
日に焼けて黒いのは分かっていたがまさかこれほどに黒いとは思わなかった、
真っ黒だ。他の人がチラチラと見ている。
それもその筈だろう19日間、毎日、
朝から夕方まで海に居るのだから顔から足先まで真っ黒で漁師みたいだ。
サカキバラも来年は髪も伸ばせるので自分も地元の友達ナオエ達と館山に家を借りると張り切っていた。
家に帰って3日目にタカハシから電話が「ミナミハラ?」
「うん、俺」
「さっきさぁ、エジプトから電話があってねェ昨日から友達3人で箱根の保養所に居るんだって、
それでね良かったら泊りに来ないかって誘われてさぁ、
フミオと俺は行くけれどミナミハラはどう行かない?」
「フミオの車で行くけれど向こうは3人だからさ~」
「ミナミハラ、暇だったら行くかと思ってさ~」
「いいね~行きたいけどさ~久しぶりに家に帰って来たばかりだから出ずらいな~」
「明日の何時?」
「お昼頃」
「解った、夜までに電話するよ」
エジプトは、タカハシが海で知り合った子で目が大きく
鼻が高くツタンカーメンのような顔をしているので付いたあだ名だ。
親に聞きにくい。
どうしょう・・・。
そうだ「宿題が溜まっているから明日、タカハシの家で勉強して来ても良い?」
「また出かけるの?」
「少しは家にいれば?」と母親が・・・。
「うん、だって・・・勉強だから・・・」
「ちゃんと勉強するの?」
「大丈夫だよ」
「・・・・・」
「それと小遣いも・・・」
「・・・・・」
翌日、母親に「じゃ~行って来るから」
「もしかしたら泊って来るかも知れない」
「今日、帰って来るんじゃないの?」
「お父さんに怒られてもお母さん知らないからね!」
「解った」
調理場から親父が怖い顔をして
「何処へ行くんだ!」
「勉強しに」
前日に隠して置いた荷物を取り出しフミオと待ち合わせた御徒町へ・・・。
そして経堂の駅前でタカハシを拾い。
真赤なムスタングでいざ箱根、芦ノ湖までドライブ・・・。
保養所はエジプトのお父さんの観光会社の物らしい。
「そう言えば途中で何か食べ物とか飲み物を買って来てって言ってたよ」
「保養所の近くには何も無いんだってさぁ」
箱根に近づくにつれて天気が悪くなって来た。
どうやら雨らしい。
地図で探しながらやっと着いた。
高台にある和風平屋の保養所、家の前には大きな駐車場が大型のバスが止められる位はある。
玄関前に車を止めて、プップゥ~とクラクションを鳴らした。
「中から女の子達が・・・」
「久しぶり~」
「ヤッチン、久しぶりね~」
「元気~」
「真っ黒じゃない、海で軟派ばかりしてるんでしょ~」
「そんな事無いよ」
「ハギヤさんも久しぶりね~」
「お互いに上野近辺なのに会わないわよね」
「ねぇ、入って、入って」
廊下を挟んで右側には障子張りの広い部屋が3っあり左側にガラス戸越しに駐車場が見える
。天気が良いと芦ノ湖が見えるらしい。
奥に入りリビングルームに通された。
「お友達を紹介するね」
「チエちゃんは知ってわよね」
「そしてユキちゃん」
「みんな学校の友達なの」
「よろしく、どうぞ」
「此方こそ」
「ビールとかも買って来たよ」
「今日はお昼頃から雨が降っていてね何も買いにいけなかったので助かったわ」
「チエ、コップ出してくれる」
「あと、これ乗せるお皿もねぇ・・・」
「これで良いの?」
持って来たポータブルプレィヤーでレコードを聴きながら、久しぶりの再会に話が盛り上がった。
外では雨が強くなったらしく屋根に当たる雨音がうるさかった。
柱時計がボ~ンボ~ンと鳴った。
9時だ。
普通だとこの辺で踊りを初めてチークタイムに持ち込むと言うパタ~ンだが、
気取り屋のタカハシとフミオは踊りはやらない。
せっかく三対三なのに・・・
部屋も丁度3つ有るし・・・
と勝手な思いを・・・。
そんな時にチエちゃんが「飲み過ぎちゃったみたいだから先にお部屋に行くわね」
するとエジプトが
「ハギヤさん付いて行って布団ひいてあげて」
うわ~良いタイミング。
となると俺はユキちゃんかぁ・・・。
ユキちゃん私達も部屋に行こうか?
タカハシ君達は真ん中の部屋で寝てね。
とエジプトは言いながら部屋に行ってしまった。
え~~別々に・・・。
その時、ガラス戸にライトが・・・
車のヘッドライトの光が部屋の中を一周した駐車場で車がUターンしたようだ。
すると、いきなりエジプトが慌てて部屋に入って来て
「パパが来た見たい!」
「え~うそ~」
「ホントに~」
「え~どうしょう」全員が慌てた。
「隠れようぜ」とフミオが言った。
そうだ隠れよう。
外は雨なので表に逃げる訳にはいかない。
玄関からは駄目だしそうなると勝手口か窓だけ等と家の中をウロウロと・・・。
「そうだ靴も隠さないと・・・」とタカハシが言った。
3人が一斉に玄関に走った。
外からは車のドァーの閉まる音が・・・バタン、バタンと・・・。
靴を抱えて隠れる所を探した。
俺は勝手口からドァーの外に出たが真っ暗闇の中を雨が強く降っている。
しかた無く軒先で雨をよけながら立ちすくんでいた。
あ~来るんじゃなかったな~家でおとなしくして居れば良かった。
と後悔をした。
雨が跳ねて足がビッショリ冷たい。
どれ位時間が経ったのだろうか?
時間が長く感じる。
タカハシ達どうしたかな?
すると勝手口のドァーが開きエジプトの声
「ヤッチン!パパが中に入りなさいって」
しぶしぶと中に入りお父さんと対面・・・。
「こんばんは、どうもすみません」
「キョウコ、何か拭く物を持って来なさい」
隣には運転手らしき人とタカハシが立っていた。
「三人で来たと言う事はもう一人は何処にいるのかな?」
「分りません」
「二人とも部屋に来なさい!」
「キョウコお前もだ!」
部屋にはユキちゃんとチエちゃんがかしこまって座っていた。
タカハシに小さな声で
「ねぇ、フミオは?」
「わからない」
「別々に逃げたから分からないよ」
運転手らしき人がフミオを探している。
各部屋に行き「隠れていないで出て来なさい」と呼んでいる。
何処にも居ない。
部屋に戻って来て「社長居ませんね」と言いながら
押し入れを開け左右、上下と覗き込んで探し
次は隣の納戸をそ~っと開け「うっ」と言いながら後ずさりを・・・。
驚いたようだ。そこにはフミオが立っていた
犬がチンチンをするように両手を胸元に置き手に靴を片方づつぶら下げていた。
思わず噴き出しそうになったが・・・。
「こんばんは、おじゃましています」あの気どり屋のフミオが・・・。
この姿と“おじゃましています”が可笑しかったが笑う訳にもいかず
隣に座っているタカハシを見ると下を向き肩が小さく震えていた。
声を出して笑いたかったがジィ~と我慢をした。
怒られながらも納戸のフミオの姿が頭から離れず思い出し笑いをこらえる方がつらい。
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#26★★麻雀禁止令が・・・

2013-11-08 | おやじ達の青春夏・エピソード
最近、麻雀に熱中し過ぎて朝から夜まで一日中やっている。
雨の日ならまだしも天気の良い昼間も部屋に閉じこもったままだ。
仲間が少ない時等は麻雀に4人取られると
海岸に出る人が3人なんて事も有ってビーチでの盛り上がりがないし活気だない。
7人と3人で居るのとでは大違いだ。
そんな訳で皆で話会いをする事になった。
まずは何が目的で海に来たのかと質問をした。
麻雀ならばわざわざ館山の海に来なくても出来る。
わざわざ皆でお金を出し合って家を借りたのは
麻雀が目的では無い筈と言う事で麻雀をするのは雨の日だけと、
そして朝はだらだらせずに毎日10時には海岸に出る事と言う決まり事が出来た。
何をするにも一生懸命にと言う訳だ。
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#25★★暗闇の中から呼ぶ声が・・・

2013-11-04 | おやじ達の青春夏・エピソード


イケと知り会ってから3日目の夜。
海岸で友達と3人で居る所を軟派した娘で海岸近くの別荘に泊っているらしい。
別荘には食事等を作る叔母さんや掃除する伯父さん等が居るので自由が利かないのだそうだ。
一緒にいると楽しい朝から夜まで3日も居るのに話が尽きない。
港区の聖心女子学院の3年生。
さすがにお嬢様学校、お淑やかな良い娘だ。
明日、帰ると言うので残るように引き止めたが友達も居るし事だし両親にも叱られるから無理だと言われた。そんな話をしながらゆっくりと話をしようと思い家に連れて来た。
所が左側の部屋には男ばかり4人。
二人は上半身裸で寝ている。
カップル優先の右側の部屋にはドァーの上にマッチが置いて有る、誰か先約が居るらしい。
家に女の子を連れて来て部屋に鍵を掛けるのは不自然なので、
マッチの箱を部屋入り口の上に何気なく置く事で
部屋の中にはカップルが居るので勝手には開けないでと言う合図なのだ。
さて、どうしょう行く所がないこんな時に車が有ると良いのになぁと思った。
ふと思い出した。
そう言えば直ぐ裏に建築中の家があったな~。
屋根と壁だけ出来ていたあの家なら人に邪魔されずにゆっくりと話が出来る。
中に入ると木の良い香りがする
「よそのお家に入っても大丈夫なの?」
「大丈夫だよ!夜だから誰も来ないし・・・」
「暗くて怖い」
「目が慣れればうっすらと見えるから大丈夫だよ」
何処に座ろうかと探していると。
「ミナミハラ!」暗闇の中から囁くような声で俺を呼んでいる。
イケが「キャ~」と悲鳴をあげた。
ゾッゾッゾックと鳥肌が・・・。
空耳かと疑ったが・・・。
「だッ、誰だよ!」
再び暗闇の中から
「俺だよ俺、オダだよ」
「トシオ?」
「うん!」
「何だよ~脅かすなよ!」
「脅かすつもりなんか無いよ」
「なんて声を掛けたら良いのか迷ったけれど言いようが無くてさぁ~」
目を細めて声の方向を見ると二つの人影が並んで腰かけていた。
「イケ!ごめんね~」と・・・。
「そこの声はモッちゃん?」
な~んだイケの友達モッちゃんがトシオと一緒に居たのだ。
考える事は皆同じらしい。
翌日、二人で城山公園を散歩してから皆で駅まで見送りに行き、東京で再開する約束をして別れた。
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#24★★女が消えた・・・

2013-10-25 | おやじ達の青春夏・エピソード
今年は初参加のサカキバラが・・・。
地元の友達で学校は違うが中1年の頃からの付き合いだ。
まだ女の子と付き合った事もないウブな奴で、
よく銭湯で女の子の事やパーティの事、
軟派の事等々と楽しい話を随分聞かせていた。
海にも何度も誘ったが奴は照れ屋な上に校則で
頭が坊主だったので女の子と接するのを嫌がっていたのだ。
そんな奴を何とか言い含めて海に誘い出した。
一人っ子なので両親を説得させるのも大変だったが、やっとの事で初めての外泊許可が出た。
それもたったの2泊。
海岸に出て知り会いの女の子と話をするにも顔を赤らめ会話が続かない。
そんな奴を見て女の子達が「かわいい~」と坊主頭を撫ぜられてますます照れていた。
2年前の自分を見ているようだった。
二日目の日、天気が悪く小雨まじりの曇り空、海で雨に振られるとやる事が無い。
他の連中は朝から麻雀をやっている。
麻雀好きな連中は晴れていても海岸に出ようともせずに麻雀を・・・。
そんな時、外で車のクラクションが鳴った。
「プッ、プッ、プゥ~」
誰だろうとサカキバラと窓から覗いて見ると
オープンの真っ赤なトヨタS800、私も知っている奴だ。
サカキバラの中学時代の同級生セキグチ君が助手席に女の子を乗せて遊びに来た。
似合わね~と思ったが声には出さずに
「うゎ~新車じゃない・・・カッコいい~ナ~、」
車が・・・と心で・・・。
彼は地主農家の跡取り息子で何でも手に入る羨ましい生活環境だそうだ。
それにしても草加の隣町、
八潮に住んでいるらしいが東京に隣接する地域に住む男にしては
センスが悪いし言葉に少々ナマリと独特のアクセントがある。
「よ~、解んね~べょ~此処」
「アッチコッチ探した~ョ」無理に標準語を使おうとしている。
「コイツはよ~ぉ~、ケイコちゃん」
「こっつぅ~はともだつのミナミハラとサカキバラ」
「こんにちは!」と可愛いい声、
そして不釣り合いなカップル、車の力だなと思った。
「こんにちは!」
サカキバラが「何時、買ったの車」と指をさした。
「母ちゃんに家の後継ぐからってョ~頼んべょ~6月に買ったよぉ~」
「いいなぁ~」
「入れば!今日は天気が悪いから海に出ないで家で音楽聞いてたよ」
無論、家にはテレビ等はない、
あるのはトランジスタ・ラジオかレコードプレイヤー位で電話や扇風機すらも無い。
「今日は皆海に出ないから中で麻雀やってるよ、上がれば!」
「うん」
「それじゃ~おじゃますま~す」
「はぃ、どうぞ、どうぞ・・・とリーチ」
4人はチラリと女を品定めしたが、
男友達には目もくれずに再び麻雀に・・・。
サカキバラが二人を紹介した。
セキグチは部屋に入るなり麻雀卓の傍に座り込み除きこんでいた。
ねっから麻雀が好きなようだ。
連れて来た女の子は関口の傍に寄り添い退屈そうにボ~っと眺めている。
時々、サカキバラと言葉を交わす程度で、
関口は会話に加わる訳でもなく麻雀に見入っている。「
セキグチ、車で海岸でもドライブしてくれば・・・」
「あぁ~後で行くべ~」
私自信は麻雀やパチンコ等の掛け事は好きではない。
こんな物に時間を費やす暇があるなら軟派と言うゲームをしていた方が楽しいと思っている。
「好きさ、好きさ、好きさ、お前の~すべェテ~お~、お前が~好きだょ~、お前が好きな~んだ~」
もう、音楽も聞きあきて来た。
「サカキバラ、雨降ってないから渚銀座でもブラつこうか?」
セキグチ達はもう1時間近くも麻雀を・・・。
「もう直ぐ半チャン終わるから、終わったら俺の変わりに入れば・・・」
と言うオタケの言葉。
待ってましたとばかりに「いい~」とニコッと一つ返事。
何かトラブルにならなきゃいいければと思いながらサカキバラと二人で外へ
「チョット海岸へ行って来るから」
我々の海での過ごし方を知っている奴は女連れで此処へは来ない。
仲の良い女の子や付き合っている子と会うのは都心で、
海へは絶対に連れて来ないし来たとしてもせいぜい1日か2日で帰る。
連れてきた場合にはけして眼を離せないのだ。
油断すると必ず誰かに連れていかれる。
連れて来た女の子に余程の自信があるなら別だが、
付き合いが浅い場合にはなおさらだ。
毎日、誰にも束縛されず、親の目が届かない自由な生活、
そんな生活をしている俺達の所へ女づれで、それも放りっぱなしで・・・何か起きない筈がない。
ましてや、この日は俺とサカキバラを除いて男が4人。
腹を空かせたライオンの檻に入って来たような物だ。
外に出かけたが天気が悪いせいか人出が少なく、
思うような娘は居なかったので2時間位ぶらついて家に戻って来ると、
家の中でセキグチか騒いでいる。
中へ入ると女の子の姿が見当たらない。
「やっぱし」と思った。
良く知らない友達の女には手を出して欲しくはなかったが心配が的中したのだ。
取りあえず「どうしたの?」と聞いた。
「ケイコが居無いんだょ~」
周りを見るとおオタケが居無い、
やったなオタケ・・・
まさかオタケが連れて行ったなんて言う訳にもいかないので、
トボケたふりをして「どうしたんだろう?」。
皆、知っているのだが言う訳にはいかないのでトボケている。
サカキバラはニヤニヤと笑っている。
「ぶらぶらと外に散歩にでも行ったんじゃないの?麻雀ばかりしてるからつまんなくて」
「待ってれば帰って来るよ」
さらに数時間が経ったがまだ帰らない。
知っていながら知らない振りをして心配するそぶり。
退屈な時間が過ぎて行く。
心配している友達をほって置く訳にもいかず・・・。
「オタケ~、早く帰ってきてよ~、頼むから」と心の中で呟いた。
麻雀をやっていたマコトとトシオ、チルの3人は痛まれず
「ミナミハラ、オキヤマの所へでも遊びに行ってくるわ!」と言って出ていった。
残された我ら3人。
「怒って電車で帰ぇたかなぁ~、そんなら俺も帰るべ~」
「それはないだろと思うよ、もう少し待って見れば!」
夜になってもまだ帰らない。
「何かあったかな~」
「警察に行った方が良いべ~かな~」
警察、まずいよそれでは誘拐になっちゃう
「警察に言うと、女の子の家に連絡が入るんじゃないの」
何で俺が言い分けをしなきゃなんね~んだ。
「セキグチは大丈夫なの?」
「荷物も車に有るんだから帰るわけもないしね」
「そぉ~か~」
「もしかして、誰か友達にでも会っちゃったんじゃないの?ここ電話も無いから連絡もできないしね」
これに納得したのか機嫌が悪くなったようだ。
しまったと思ったが言ってしまった事は取り返しがつかない。
何で俺がこんな思いをしなきゃならないんだよ。
突然、セキグチが立ち上がり外へ、車のトランクが閉まる音がした。
戻って来ると
「これ、置いて行ぐからよぉ~ケイコに渡して、俺、帰っから~よ~」
と女物のバックを玄関に置いて車に戻った。
止めるよりこの方が良いと思った。
我々も後を追い「じゃ~、気を付けてな~、戻ったら連絡するように言っとくから~」
「・・・・・・・」何も言わずに車を出した。
二人で顔を見合わせ「まいったな~」
「女連れで来て女取られちゃったなんてカッコわるいもんな!」
「だけど、オタケもやるよね」
「そうかな~、俺達の事を知っている奴から取るなら取られる奴も悪いんだからが仕方ないけど、
そんな事を知らない奴は油断しているから、そう言う奴の女に手を出すのは止めてほしいよなぁ~」
「俺達の知り合いだからよけい立場がないよなぁ」
「オタケ、帰って来るのかな~、セキグチ、アイツもう2度と此処へは来ないな!」
そして夜10時が過ぎようやく「ただいま~」とオタケと女の子の明るい声。
一緒に帰ってくるなよ~もしもセキグチが居たらどうすんだよ。
女も女だよ7時間も家開けてただいまは無いだろう、
少し気を使って別々に帰って来るとかしろよ。
俺がセキグチだったら大喧嘩になってるよ。
待てよ、なって無いかな?もしかしたら真っ赤なスポーツカーで軟派しに行ってたかも・・・。
取りあえずトラブルが無く良かった。
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#23★★うゎ~~・・・彼女と・・・

2013-10-10 | おやじ達の青春夏・エピソード

今年の夏は、親には友達同志で海に家を借りると話をしたので、
母の妹家族が遊びに行きたいと言いだした。
駄目とは言えず友達には2泊だけだからと頼んで了解して貰い一部屋を貸す事になった。
そして友達にはくれぐれもタバコや女の子の事、
変な会話等は気を付けてくれるように頼んでおいた。
叔母さんの家族4人が来た当日、駅に迎えに行った。
タクシーで家に付き早速支度をして海に、
伯父さんは坊主頭で怖そうな感じの人、
叔母さんは気さくな人だが・・・。
叔母さんは「ヤッチャン、構わなくて良いからね」
「後は勝手にやるから・・・」とは言え目は離せなかった。
と言うのも此処での生活ぶりを見て母親に話されたら
仕送りが届かなくなるし来させて貰えなくなるからだ。
たった2日間・・・ガマン、ガマン。
そしてその夜、
何時もの用にマージャンが始まった。
その音を聞きつけて叔母さん夫婦が部屋からで出来た。
嫌いじゃないらしい、
叔母さん達は後ろに回って玄関の方に向かって見ていた。
暫くすると。
ジョースケが彼女と帰って来た。
ただいま~。
と言いながら右側の押入れに向かっている。
玄関の方を向いている叔母さん達からみると雀卓を挟んで丁度正面だ。
うゎ~~~まさか。
時々部屋が一杯の時に押入れを利用する奴がいるのだ。
そのまさかだ~。
「ジョウスケ!」と思わず呼んだ。
部屋には7,8人がいたので叔母さん達に気づいていない。
まずい、
ジョウスケは俺の顔を見たので目で叔母さん達の事を知らせたが
「おう!」と返事をしただけで
叔母さん達が居る事に気づいていないようで二人で押入れの中に・・・消えた。
うわ~ドウショウ。
マージャンをやっている連中も素知らぬ顔。
後ろにいる仲間達も気づいていない。
誰かフォローしてくれ~。
言葉も出ないので仕方なく見て見ない振りをして・・・沈黙。
まいった~~~。
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#22★★1966年、2度目の夏が・・・

2013-10-02 | おやじ達の青春夏・エピソード

今年の夏も昨年と同じように一軒家を借りた。
ただ今回、有志は簡単に集まった、と言うよりも先に聞かれた「また夏に家、借りるだろう」と・・・。
ただ、今年は去年とは大違い・・・。
まずは下町、向島組のオキヤマ、アジカ、ケイリン達が
去年の夏の味をしめて我々とは別に家を借りたのだ。
なので他のグループを含めると借りた家は3軒になった。
友達が多いのは楽しいのだが競争相手が増えたわけで・・・。
で・・・今年の家は北条海岸から15分位の距離で
周囲には住宅が多いが家の前に車が3,4台止められ、
玄関を入ると左右に部屋があって。
右側が6畳間で戸を開けると直ぐ左に押入れがある畳部屋、
左側には台所とトイレ、
そしてその奥の左に押入れが有る畳の10畳間が・・・。
去年の経験で家に女の子を連れて来ても皆がいるので
二人きりの会話が楽しめなかったと言う意見が多かったので。
部屋が別々になっている物件を探したのだ。
そして車、自分は2月生まれなので、
まだ普通免許は取れないが遅生まれの連中は夏に間に合うようにと
早々と免許を取り車を買って貰い張りきっている。
ただ、車に乗っての長期間の外泊は親に認めて貰えないので
大抵2,3泊で帰る事が多いようだ。
フェアレディZ、
トヨタS800、
ホンダS800、
日野コンテッサ、
ブルーバード、
ベレットと・・・さすがにお坊ちゃん学校。
中でもフミオの真っ赤なムスタングこれは中古らしいが凄い、
ドッ、ドッ、ドッ、ドッ、ドッと言うマフラーの音を響かせながら
海岸通りのキャンプ・ストァ近くで車を横づけしての立ち話。
「おぅ、フミオ!何処へ行くの?」
周囲の視線を意識しながらの会話。
フミオは窓から肘を出しながら・・・。
カッコいい・・・。
「ねぇ、ねぇ、彼女ドライブしない!」だって・・・。
軟派の仕方まで変わって来た。
去年は軽自動車キャロルだったので肩身が狭くこんなセリフは出なかったのだが・・・。
それに海岸での過ごし方までもが変わって来た。
リクライングのビーチチェアや
去年のラジオに替わってポータブルのレコードプレィヤーまで揃え、
雀卓まで持ち込んだ。
今年は凄いぞ~
タン・タン・タタタ・タタタタ・レッゴー、
タン・タン・タタタ・タタタタ・レッゴー。
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#21★★資金稼ぎの・・・

2013-09-25 | おやじ達の青春夏・エピソード

クリスマス・パーティを開いてから、
癖になり小遣い稼ぎの為に月に1回週末の土曜日にパーティを開く事にした。
開くとは言っても規模は小さく喫茶店等のお店を借りきってやる程度で良く使っているのが、
銀座の「48」通称ヨンパチは銀座でも京橋よりの一丁目裏通りにある
薄暗い純喫茶で入り口が小さく店に入るとすぐレジカウンターが有り
その後にキッチンと奥のフロァに繋がる通路に沿って4人掛けのテーブルが3卓ならんでいて、
奥に入ると4人掛けテーブルが20卓位入る広いフロァが有る。
ここがメインの会場になる。
キッチン等が入り口付近に有るので店の人も奥には入ってこないので都合が良いのだ。
夕方6時から始まるので一時間位前には店に行き準備をはじめる。
テーブルの三分の二位を外に出し椅子を店入り口通路側にずら~っと並べ奥のフロァでは、
中央を踊るスペースにしてそれを囲むように壁側に背を向けて椅子を並べ
その間にグラス等を置く為のテーブルを壁に付けて並べる。
事前にお店に注文をしておいたサンドイッチや飲み物、グラス、取り皿、
灰皿等はフロァ入り口付近にテーブルを並べて
その上に用意をして各自が取りやすいようにセットをして置く。
そして一番肝心なのは女の子。
少ないと次回に参加してくれなくなるので、
一番大変な所だがこれが一番大事な部分。
ヨンパチは5分ぐらい歩くと銀座4丁目、
土曜日の夕方なので女の子は選り取り見取り。
一緒に開催する友達数人と手分けして声を掛けまくり軟派する。
「ねぇ、今、パーティをやっているんだけど、遊びに来ない?女性は無料だし・・・」
「パーティが有るんだけど踊りに来ない?女の子はタダなんだ」
「会費なしでパーティに入れるけれど行かない?」
「これからパーティに行くけれど一緒に行かない?」等々と声を掛けまくる。
特にお金が掛からない事をアピールして誘う。
飲んで食べて踊れてそして男子と知り会える。
特に用事のない子は大抵参加してくる。
店まで案内して中にいる男友達に紹介をする。
そしてまた外に・・・・・。
何度か繰り返し店に女の子を送り込む。
特に良い子を見つけた時等は友達には紹介しないで、
しっかりと自分で抑えて置く
「主催者だからチョット忙しいので、そこで待っていて直ぐに戻って来るから・・・」
と言った具合に店の奥には連れていかずに入り口付近の椅子に座らせ待っていて貰う。
パーティには夏に知り会った友達や女の子、
そして学校の友達や友達の友達とかに声を掛けたり、
知り合いの女の子、
特定の相手つまりフリ-の子達に声をかけ友達をつれて来てもらう
無論この子達の会費も取らない、
原則として女性は無料なのでみんな気楽に遊びに来てくれるしパーティに花を添えてくれる。
パーティを一回開くと少なくとも3、40人が集まる。
ただで楽しめて、新しいガールフレンドを見付けられ、その上、小使い稼ぎになるので一石三兆だ。
内の学校は私立の男子高なので女の子と話す機会が全くないだけに、
特に興味を持っているのでパーティが有ると誘うと殆どが参加してくれる。
後は当日に使う音楽、レコード盤を私が事前に用意する。
これが二番目に大事な部分で正味3時間のパーティを盛り上げるかどうかはこれで決まる。
モンキーダンス、ソウル、サーフイン、ツイスト、ジルバ等の踊りやすいハイテンポの曲に
メインとなるチークタイムのスローな曲等々のレコード盤を事前に用意をする。
まず始めの30分位は会話がしやすいような軽いBGMの様な曲を流す。
まずは日本の曲で一曲、ザ・リガニーズの「海は恋している」
そして次は洋楽のビージーズ「マサチュウセッツ」
荒木一郎の「空に星があるように」
テリ・スタッフォードの「サスピション」
ナンシー・シナトラとリー・ヘイゼルウッドの「初恋の並木道」
ガロの「学生街の喫茶店」
クリフ・リチャードの「ラッキー・リップス」
ザ・ワイルドワンズの「思い出の渚」
「若者達」
「長い髪の少女」
「花のサンフランシスコ」
ザ・サベージの「この手のひらに愛を」
ザ・ビートルズの「抱きしめたい」
「君に会いたい」等と日本の曲を中心に14、5曲を流し
タン、タン、タタタ、タタタタ・レッゴーとベンチャーズのリズミカルな曲「レッゴー」で
ダンス音楽に切り替える。
まずはチャビー・チェッカーの「ザ・ツイスト」初めは皆、照れが有るので踊りださないのでそう言う時には自分が女の娘を誘って率先して踊るか、踊れる連中に声を掛け踊るように勧める。
ジョイ・ディーの「ペパーミント・ツイスト」
ジーン・ビンセントの「ビー・パップ・ルーラ」
リトル・リチャードの「ツリィ・フリィ」
リトル・リチャードの「ル・シール」と
ツイスト音楽を続けて掛けて一気に雰囲気を盛り上げて次は
モンキーダンスの「ハンキー・パンキー」を、
次はサーフィンダンスのアストロノウツの「太陽の彼方に」
ベンチャーズの「ウォーク・ドント・ラン」
そして「ドック・オブ・ザ・ベィ」
「セブン・サン」
「マイ・ガール」
「ルイ・ルイ」
レイ・チャールズの「アンチェイン・マイ・ハート」
「サティスファクション」
ザ・ビートルズの「ロックンロールミュージック」
アレサ・フランクリンの「チェーン・オブ・フール」
「ヒッピー・ヒッピー・シェイク」
「ムスタング・サリー」
「カリフォルニア・サン」
チャック・ベリーの「ジョニー・ビー・グッド」
「ブーン・ブーン」
幾つかのカップルも出来たその頃合いを見て
ママス・アンド・パパスの「夢のカルフォルニア」
でちょっと曲のリズムを替え照明を落としてチークタイクへ
まずはライチャーズ・ブラザーズの「アンチェインド・メロディ」
「ミスター・ロンリー」
「愛なき世界」
「太陽の誘惑」
ナット・キング・コールの「アイ・キャン・ストップ・ラビング・ユー」
エルビス・プレスリーの「ラブレター」
「甘い暴力」
リッキー・ネルソンの「ロンサム・タウン」
ブレンダリーの「世界の果てに」
ポール・アンカの「君は我が運命」
ピーターとゴードンの「愛なき世界」
そしてチークダンスには最高の曲
「思わせぶり」
「10代のロマンス」
「恋する乙女」
「サントワマミー」等々とムードを一層盛り上げる。
暗いフロァ、奥に居る人の顔がぼんやりと見える程度の中、
かすかに囁くように聞こえる生々しい女の声「やめて~」
ここまでくれば今回のパーティは大成功。
そして再びダンスタイムへ次がチークタイムと交互に
それぞれの時間や曲はその時々の雰囲気や様子を見て替えて行く方が喜ばれる。
最後がチークタイムこの頃にはフロアは真っ暗でカップルが彼方此方に、雰囲気は絶好調、
残り15分位でパーティが終わりなるのでここ等で次の手を打たないと女の娘に逃げられてしまう。
既に軟派して連れて来た娘が2人位帰った。
女性慣れしていない連中がチークタイムで強引過ぎたらしい。
まぁこれも仕方がない何度か繰り返しているうちに上手くなる。
我々達のように・・・。
帰ってしまう女の娘にはしっかりとフォローをして置く「また、遊びにおいでよ」
「毎月、1回ここでパーティやっているからさ~」
「もし良かったら電話番号教えといてよ」
「次、何かの時に連絡するから」と言った具合に・・・。
タン、タン、タタタ、タタタタ・レッゴー、
タン、タン、タタタ、タタタタ・レッゴー、
タン、タン、タタタ、タタタタ・レッゴー。

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