こんなに急いでいいのだろうか
田植えする人々の上を
時速200キロで通りすぎ
私には彼らの手が見えない
心を思いやる暇がない
この速度は早すぎて間が抜けている
苦しみも怒りも不公平も絶望も
すべて流れてゆく風景
こんなに急いでいいのだろうか
私の体は速達小包
私の心は消印された切手
しかもなお間に合わない
急いでも急いでも間に合わない
谷川俊太郎詩 『急ぐ』
田植えする人々の上を
時速200キロで通りすぎ
私には彼らの手が見えない
心を思いやる暇がない
この速度は早すぎて間が抜けている
苦しみも怒りも不公平も絶望も
すべて流れてゆく風景
こんなに急いでいいのだろうか
私の体は速達小包
私の心は消印された切手
しかもなお間に合わない
急いでも急いでも間に合わない
谷川俊太郎詩 『急ぐ』