オメガねこ

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「インフレ目標」 と 「物価上昇」②

2019年06月14日 | 経済

「インフレ目標」と「物価上昇」では、景気が良い時の「インフレ目標」の効果を書きましたが、デフレ時に於ける日銀による「インフレ目標」が、少なくとも単独では有効では無い事が平成の30年間で実証されました。

日本銀行には多くの業務が有りますが、景気対策として出来る事は、市中の銀行に対する「金利誘導」と「紙幣の発行」です。

「紙幣の発行」とは言っても、現在では市中の銀行が発行可能な「理論上で最大限の通貨量(預金残高)」の1%程度です。 また、紙幣の残高が110兆円に対して国民の金融資産の総額は1800兆円あるので、現在では日銀の紙幣発行は重要ではありますが「付随業務」のようなもので、紙幣の発行量と経済動向とは殆ど無関係と言えます。

つまり、日銀の関与は「市中銀行に対する金利誘導」しか無いと言えます。しかし、経済成長が期待できない時に、マイナス金利政策を拡大すると銀行の負担が増え、銀行は副業で儲けないと倒産します。日銀の「金利政策」には限界があります。

日銀は「経済成長」を目的に、その指標を「物価上昇率」で判断し、上昇率2%を「目標」にしている事になります。 しかし、日銀には「お金」を民間に直接ばらまく権能は無く、市中銀行の「信用創造(民間企業の借り入れ)」の拡大に協力する事以外に手立ては有りません。企業は仕事が無ければ「お金」を借りないし、それどころか、カネ余りの企業は銀行に「お金」を預け、銀行はこれに押し出されるように、日銀の当座預金に義務とされる準備預金以上の「お金」を預けています。その一部にはマイナス金利が付けられています。

デフレ時には、「現象」として物価が下がり、「結果」として通貨の価値が上がります。この物価が下がる「現象」を、「原因」と取り違えて「物価を上げればデフレは解消する」と主張する人もたまに出て来ます。また、通貨の価値が上がるのでデフレは「金持ちに有利」な経済状況とも言えます。政策を決定できる人や報道機関・大企業などの経営者は「金持ち」が多いので、なかなかデフレは解消しません。 「消費税増税」を主張する人は、デフレが好きな人たちのようです。

国民の可処分所得が増税で強制的に減らされると、当然、消費額も減り企業は生産額を減らします。誰かが仕事を作りモノを消費しなければ、決して経済としての「お金」は流通しません。

最後の可能性として残されるのが政府です。民主主義国家で資本主義を標榜している国であれば、国民が経済成長を望めば政府が財政支出を増やします。その原資は税金ではなく、借金でなければならない事は明らかです。

税金は「行って来い」なので、総支出額は増えません。 一方、誰かの負債は必ず誰かの資産なので、政府が借金をした時点では国全体の「金融資産の総量」には変化が無く、政府が有効に財政支出をすると誰かがその「お金」を受け取り、国民全体の「金融資産」の総額は増えます。

誰かが借金をして仕事を作り、誰かが仕事をして「お金」を受け取る、この繰り返しを「経済成長」と言い、その結果の現象として「内国的要因の物価上昇」が起きます。



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