「金融庁の審議会が作成した指針案」では、年金生活者夫婦の世帯では毎月およそ5.5万円の赤字で、この赤字が30年間続くと(5.5万x12月x30年)で1980万円必要になり、退職金と年金で老後を営むこれまでのモデルは成り立たなくなるとしています。
最近の日本人の「平均寿命」は男性81才で女性87才です。つまり、男性は16年間、女性は22年間の年金生活が「標準的」と言えます。これはあくまでも、年金計算上の概算です。
ここからは話しを簡単にする為、男女平均の84才を平均寿命とします。
平均寿命で計算するなら、夫婦で84歳まで19年間の生活が「標準」と言えます。また、65歳の平均余命で計算するなら、夫婦で87歳までの22年間が「標準」と言えます。
95歳までの計算をするのなら、それは「標準」とは言えません。それなら、110歳まで生きる人や、或いは65歳で死ぬ人の計算も示す必要があります。
現役世代の勤労者世帯の消費支出は夫婦二人で月31万円です。夫婦ともに非正規社員の共働きの場合は平均月収が28万円なので、毎月3万円の赤字になり、年金の場合と同様の計算をすると、(3万x12月x30年)で1080万円の資産が無ければ生活できない事になります。これは恣意的に対象を選択した「理論上の正しさ」です。
しかし、殆どの人は生活しています。これは「現実の正しさ」です。
「理論上の正しさ」で計算すると、国民の平均月収は35万円なので、夫婦二人で片方だけが収入を得ている場合でも毎月4万円の貯蓄が出来て(4万x12月x45年)で2160万円貯まります。 つまり、一人が20歳から65歳まで働いていれば、全く資産の無い人と結婚しても、95歳までなら年金生活で80万円余る計算になります。これは「理論上の正しさ」です。
しかし、実社会ではもっと複雑で、子供の数や共働き、親からの遺産相続・子からの援助など、データの一部だけを抽出しての試算には殆ど意味は有りません。
もっと言わせてもらえば、「金融庁の審議会が作成した指針案」の審議員の多くは金融機関の関係者なので、「資産運用の必要性」を政府から国民に広めて貰いたかっただけの、利益誘導型の答申に過ぎません。
かなり意図的、作為的な答申だと思います。
殆どの答申は利益誘導型だと思います。
役所から民間組織に天下りして、役所の方針に忖度する発言を普段からしていれば、審議委員に選任されやすくなります。反対意見を主張する人を2割程度入れておけば、両論併記の答申が出来上がります。
「外国人材の受け入れ」や「非正規従業員の拡大」などは「パソナ」の利益誘導そのものです。
それでも幾度となく、間違っていること、修正すべきこと、検討不足の点など指摘してきましたが、事務局に「そんな質問をする会じゃない」といった感じのイヤーな顔をされ、周囲の参加者も同意するものもなく、むなしい思いをしたものです。
彼ら職員は、どなたかの命令を受けて、ただ実行するだけ。
よくそこまでイエスマンでいられるものだと、毎度あきれるばかりでした。
ま、日本人らしいと言えば、まさに日本人の典型。やれやれです。
インドラさんの「実体験」が事実として多くの人に知れ渡れば、日本が変わるかもしれませんネ