オメガねこ

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「供給」 と 「需要」Ⅱ ①

2022年03月20日 | 経済
 2008年のリーマンショックから9年後の2017年に、「需給ギャップが0.4%となり、需要が供給を上回る『プラス』に転じたました。」と言うニュースが流れました。

 一般に、デフレは供給過剰(需要不足)と考え、需要量以上にモノ(製品やサービス)が供給され継続的に価格下落を招く経済現象と言われています。 逆に、インフレは需要過剰(供給不足)と考え、供給量以上にモノ(製品やサービス)の需要が増えて継続的に価格上昇を招く状態とされます。

 しかし、この言い回しには矛盾が有ります。需要見込み以上に供給する事は可能ですが、供給(生産)量以上に需要(消費)される事は有り得ないという事は、素人の私にも簡単に思いつきます。全てが売り切れて、存在し無いモノを消費する事は出来ないからです。

 そこで考え出したのが、潜在GDPです。 潜在GDPには二つの定義が有り、最大値と平均値です。「最大(概念の)潜在GDP」は現在の生産能力(人・物・金)の総力を発揮した時のGDPで、「平均(概念の)
潜在GDP」は直近の生産能力を平均的な水準まで投入した時に達成可能なGDPです。現在の日本政府は「平均潜在GDP」を指標にしていますが、これは恣意的に調整できます。

 潜在GDP成長率(≒ 経済成長率)は、

([実現GDP]-[潜在GDP])/[潜在GDP]

で表され、その数年の平均値で予想可能な成長率を「潜在成長率」と言います。

インフレ:[実現GDP]-[潜在GDP]>0
デフレ :[実現GDP]-[潜在GDP]<0

 「インフレ:inflation」を今では「(継続的な)物価上昇」と訳すようですが、「inflation of currency」は「通貨の物価上昇」ではなく「通貨膨張」です。

 つまり、「インフレ」とは、物価が上昇する事を言うのではなく、経済主体の通貨量が増加する事を言います。通貨量が増えた結果として起こる物価の上昇は単なる「従属変数(現象)」に過ぎません。

インフレ(inflation):通貨膨張(通貨量が継続的に増加する)
デフレ (deflation):通貨収縮(   〃    減少する)

 最近の似非経済学では単なる現象である「物価上昇・物価下落」を「インフレ・デフレ」としている為に、デフレ時の「緊縮財政」等の誤った経済政策が行われ「失われた30年」の原因となりました。つまり、「2%の経済成長」とは、毎年の物価上昇率が2%になる事では無く、「通貨量が2%増える」事を言います。

 と言う事で、上に書かれたニュースはおそらく、 「需要」は「実現GDP」で、「供給」は「潜在GDP」だと思われます。つまり、「当該年の実現GDP」が「過去の平均潜在GDP」を上回ったと云う事です。




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