トラネコジャーナル

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トラネコの日記

ヴァロットン展@三菱一号館美術館

2014-10-14 | アート
ヴァロットン。
聞いたことないけど、
以前三菱美術館で見た版画の、女の子の絵が
印象的だった。おしゃまで、ちょっと大人のようなプライドのあるその視線は
ピュアであるこそ怖いかんじ。大人の隠しているものを見せられるかんじ。



そのヴァロットンがきたということで、気になっていたけど、
なかなか足が向かず。
ぎりぎりの9月末、行ってきました。
やはりかっこいいではないかーーーー!

彼は油絵の大作もいいけど、ぴりりと皮肉がいい感じで広がる小さめの作品や
版画がかっこいいですね。秘密の共有っぽいかんじです。


貞節なシュザンヌと題されたこの作品。
ちなみにシュザンヌとはこんな物語がベースにある。

美しい若妻スザンナが沐浴しているときに、長老二人が近寄り、言い寄った。
スザンナは拒絶した。
逆恨みした長老たちは、スザンナを姦通罪で訴えた。死刑になってしまう。
預言者ダニエルは二人の長老を尋問し、矛盾を暴き、スザンナの無実が実証された。
二人の長老は死刑となった。
http://art.pro.tok2.com/BibleOld/IApocrypha/11Susanna/Susanna.htm

でももう1枚上手な感じがしますよね、このシュザンヌさん。
そんなところがヴァロットンの真骨頂(だと思うのよね)。

ほら、ここにも大人の秘密の香り。


ほら、ほら。


秘密といえばねこ、もね(笑)


これ以外にも市民運動に対して棍棒でたたく警官を冷ややかに見ている絵や
ガチョウにパンツを引っ張られてお知りが出てるような絵など、
いろいろあります。だからうそや秘密や笑いもいろいろ。
世の中、簡単じゃないわけですよね。

1865-1925年。フェリックス・ヴァロットン。

19世紀末はエネルギーが世界を変えて、暮らしを変えて、
すべてがコペルニクス的に変わった時代。
そんななかで人間関係も感性もいろいろ変わったと想像できます。
そんな一瞬をヴァロットンは切り取っていたのではないかなと思ったり。

21世紀はもうすでにはじまってしまっているわけですけど、
私たちはなにかを変えられたのかしら。
そんなことも同時に思ってしまいます。

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2 Comments

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魅力的 (ココの母)
2014-10-18 13:53:50
ヴァロットンの女の子の絵は、美の巨人たちで観ました。
なんかストーリー性があって、ミステリアスで。

ヴァロットンの作品たちは、
ある風景の一部を切り取ったようなところがありますね。
インパクトがあって、まるで報道絵画のようでもあるし、ドキッとするようなところもあるし。

スザンナという名前にも意味がありそうな。
聖書にも出てくる、やっぱり妖艶な美女だったとかいう・・・それを意識したのかしら。

ありがとう、いろいろ見せて下さって♪
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近代から現代へ (トラネコ)
2014-10-20 10:21:49
ココの母さん

ヴァロットンさん、正直、大きな作品や後期の作品は
個人的にはいまひとつだったんですが
意味合いを知らないからかもしれません。
でも、ウイットとちょっぴりいやみなワンシーンを
映し出すこの人の絵はとても近代以前にはない絵画、
だと思いました。

そうなんです。写真っぽいんです。
写真が切り取り、映し出す真実や空気感が
反映しているのです。

やはり近代→現代ならではの絵なんですね。

そう思うと、近代以前は今と比べると
とてもゆったり時が流れていたのかしら。
産業革命以降のこの速さに、
実はニンゲンは快適に暮らすことをひきかえに
なにかおいてきたものがあるのかしら。
なんて思ったり。

戻れないし、近代以前の生活にも慣れないでしょうし、
そのところはわからないけれど、
きっと猫の生活は変わっていないに違いありません(笑)







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