渡辺努「世界インフレの謎」
ベストセラーになってるようで、講談社の本を紹介する武田砂鉄さんのポッドキャストでも紹介されてて、面白そうだなと思ってたら、図書館で見つけました。(鹿島図書館ナイス~♪)
ベストセラー本って読みやすいですね。
面白かったです。
お金のしくみ勉強会で、日銀はインフレ目標を2%にしていると教えてもらいました。
インフレというのは、物価が上がることを意味するんですけども(正確には違うかも)
物価は、2%くらいずつ毎年少しずつ上がっているくらいが景気がよいそうです。
なぜ2%なのか?その数字の根拠はどこからきてるのか?
ということが、この本に書かれてました。
で、目標は2%なのだけど、バブル崩壊後の日本はずーーーっとインフレ率0%。
物価は上がらないのが当たり前になっています。
ガリガリ君の値上げをするときに、CMで社長が頭を下げるという自虐ネタが話題になってましたが、
海外でも話題になってたそうで、対外純資産世界一お金持ちの国が、アイスの値上げごときに社長が頭を下げるなんて・・・と衝撃だったようです。
「物価が上がらない」ということは、企業の売り上げも増えないので
「賃金もあがらない」ということになります。
全労連のページで見た、下のグラフのように、世界で日本だけ賃金が下がっています。
全労連資料 https://www.zenroren.gr.jp/jp/housei/data/2018/180221_02.pdf
本の中では、物価と賃金は鶏、卵と書いてあったけど、そうでしょうか?
物価が上げられない
↓
売り上げが上がらない
↓
賃金が上げられない
↓
賃金が上がらないから、消費者はできるだけ安いものを買う、または我慢する
↓
売れないと困るから、物価を上げられない
たしかに、物価が先なのか、賃金が先なのかわからないけど、どちらも膠着状態が続いているみたいです。
中村先生が言うには、「消費が先」
物が買われて、初めて物価が上がります。
例えば、本の中にニセコのスキー場や、京都のホテルが外国人に買われている。という話が出てきました。
海外と比べて、日本の物価は安いままなので、外国の人は他と比べて安い方を買いますよね。
そして、買われることによって、ニセコや京都では、土地や建物の値段が上がっているそうです。
商売をしていてもそういうのわかりますよね。
どんなに頑張って売ろうとしても、売れなかったらなかなか値段は上げられません。
でもモノがどんどん売れれば、生産が追い付かなくて値上げをする。
ということはあると思います。
物価が安いのは、暮らしやすいし、いいことだ。と思いがちだけど、
マクロでみると、それは自分の首を絞めることになっています。
例えば、他の国はどんどん賃金が上がっていくので、物価もどんどん日本と差がついてます。
そうすると、海外からの輸入品は高すぎて買えない。ということになってきます。
海外旅行や留学に行くのも、一部の富裕層だけになるかもしれません。
今、世界的に急なインフレが進んでいるので、日本もその影響を受けて物価が少し上がっています。
長年、物価が上がらないことが当たり前だったので、急にいろいろなものが値上がりしてくると、
大変だー、インフレだーー。と恐ろしい気持ちになっているかもしれませんが、
2022年にIMFが発表したインフレランキングでは、192か国中、日本は何と最下位なのだそうです。
渡辺努「日本はむしろ物価高から取り残された異様な状態」より
https://toyokeizai.net/articles/-/626045
物価がものすごく上がっちゃうよりいいじゃん♪
と思ってしまいますが、これはこれで、とても問題なのです。
インフレの逆で、物価が上がらないことをデフレといいますけれど、
安倍政権は、デフレ脱却のために異次元の金融緩和を行いました。
金融緩和というのは、言い換えると
中央銀行が政策金利を下げることで、世の中の金利を低い状態に維持することを言います。
世の中のお金の量は、民間銀行が、企業や民間人にお金を融資するときに増えます。
例えば、Aさんが、家を建てたい。と思った時、銀行で住宅ローンを組みます。
その時、銀行は、Aさんの口座に 1000万 と数字を書き込むことで、お金が融資されます。
そうすると、世の中に 1000万というお金が産まれます。
Aさんは、その1000万円を、家を建ててくれる工務店に振り込みます。
1000万円を受け取った工務店は、その中から大工さんに給料を払ったり、家の材料を仕入れたりします。
給料をもらった大工さんは、そのお金を生活費として消費します・・・
という具合に、Aさんが銀行から借りたお金が、世の中を回ってゆきます。
誰かの赤字は、誰かの黒字。
誰かの財布に入ったお金は、消費されると、また次の誰かのお財布に入る。という具合です。
景気が悪い時は、世の中のお金があまり増えていない状態です。
だから、中央銀行は、世の中のお金が増えるように、政策金利を低く抑えて、民間人や民間企業がお金を借りやすいようにしています。
ですが。。。
バブル崩壊後、世の中は不景気のどん底。
お金を借りまくって、土地やゴルフ場の会員権、株だとか、いろいろ買いあさった挙句に、崩壊して借金を返せなくなった人が溢れかえりました。
銀行も、貸したお金が返ってこないので、破綻する銀行もありました。
なので、銀行は、もうバブルの時ほど簡単にお金を貸さなくなりました。
いくら金利が低くても、不景気すぎて誰もお金を借りることができず、世の中のお金があまり増えません。
不景気が続くと、みんな将来が不安です。
勤めている会社が、突然倒産するかもしれません。
今日は野菜を買ってくれるお客さんがいるけど、明日はいなくなるかもしれません。
みんな将来が不安なので、企業も個人もなるべくお金を使わずに、買い物するときはなるべく安いものを選んで、できるだけ貯金をします。
そうすると、ますます世の中で動くお金の量は減っていきます。
世の中のお金の量はふえないのに、世の中にあるお金も、貯めるほうが増えると、流れる量はどんどん少なくなっていきます。
安いものを、安いものを。。。とみんなが安いお店を選ぶうちに、大型のディスカウントショップばかりの街になり、個人商店などは淘汰されていきます。
大型のディスカウントショップでは、もっと安く、もっと安くということで、あの手この手で経費を減らします。人件費も減らそうとします。
すると、町は低賃金の非正規雇用の働き口ばかりになっていく・・・
ざっくりですが、今の日本はこういう感じです。
「世界インフレの謎」の後半でも、この日本の慢性デフレ、賃金と物価が凍り付いている話が繰り返されますが、これを解決するには、政府が支出を増やすしかありません。
世の中のお金を増やす方法は、
先に説明した民間銀行が、民間企業や民間人にお金を融資することと、
もう一つは、通貨発行権のある政府が直接民間にお金を支出する方法があります。
例えば、その1 公務員の給料を上げる。
看護師、介護士、保育士など、エッセンシャルワーカーの賃金も半分は公費なのでここも政府が支出を増やせばすぐに上げることができます。
この辺りの賃金が上がると、この方たちが安心して消費をするようになります。
すると、誰かの赤字は、誰かの黒字。
つまり、消費した先の企業の売り上げが上がります。
給料の上がった公務員やエッセンシャルワーカーに就職したい人が増えます。
すると、民間企業側では雇用がひっ迫します。
企業の売り上げが上がっているので、賃金を上げることができます。
こうやって、世の中の賃金が上がります。
その2 大学を無償化する
すると、学生がローンを組まずに進学ができるようになり、親も学費を貯めるために節約する必要がなくなって消費が増えます。
学費にお金がかからないなら、子育ての負担が減って、少子化も解決するかもしれません。
若い頃って、欲しいものがたくさんあるし、お金があったらチャレンジしたいこともたくさんあるから、そういうことにどんどんお金を使えるようになります。
そうすると、使われたお金が世の中をめぐって、景気がよくなっていきます。
子供手当のように、若者手当を政府が出してもいいよね♪と中村先生は言ってました。
渡辺先生は、政府支出をする というアイデアはないようで、デフレ脱却のためのこれといった処方箋がないのか、苦しそうなコメントを繰り返していましたが、デフレ脱却のためには経済政策です。
経済政策を転換するためには、今の政治ではだめで、選挙が重要。
ということで、長くなっちゃいました。
本の内容は、まだまだ語りたいことがあるんですが、読んだ人がいたらコメントやDMください♪
語りたいです。(笑)
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