ヨーコのきまぐれ日記

辛い別れ

 数日前、息子のお嫁さんから、お母さまの再入院を知らされた時、私は病状がどんな具合か訊かなかった。なぜかわからないが、いやな予感があった。「最近、母は私や兄夫婦が連れてくる孫たちに囲まれて、元気なんです。まだ、遠出は無理だけど・・・」と、ほほ笑むお嫁さんの言葉に安穏としていた。しかし、膵臓癌はそう安易な病ではない。金曜日の早朝、お母さまは亡くなったと、息子から連絡があった。

 今晩7時から、池袋の祥雲寺で通夜があった。焼香するテーブルは前後に2人用と3人用が用意され、いっぺんに5人づつの焼香が進んだが、それでも、およそ2時間、人波は途絶えなかった。気丈に対応していたお嫁さんも焼香台に向かう時、こらえきれない嗚咽に顔が歪んだ。ただ、多くの人々に悼まれる母親の大きさをしっかりと感じたことだと思う。

 昨日は息子夫婦と買い物に出た。孫を含めて、3人の式服を買い揃える必要があったからだ。その時、「母は最期まで、元気だったんです。」と、お嫁さんは語った。それだけに、母親の死は彼女には信じられない仕打ちだったのかもしれない。ただ、一歳半の赤ちゃんがいる現実は哀しみに浸る瞬間を奪う。あまりに可愛くて、身勝手なんだもんね、赤ちゃんって。

 明日は午前11時から、告別式である。葬儀はひとつ、ひとつの儀式をとどこおりなくすませて、襲い来る哀しみを後回しにする作戦なのだろう。亡くなった妻は可愛い孫たち二人に出会えたんだものねぇ・・・幸せでしたよと語る喪主の言葉がくっきりと印象に残った。お母さまは59歳だったという。死と向き合うにはあまりに若く、残された者たちの哀しみや苦悩は深い。


名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「日記」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事