ところが、面会にたちあった若い医師はもう書類を持ち込んで、仕事を始めてもいいですよと語りだした。頭脳労働は大丈夫ですから、必要ならば、机の用意もしますと言う。私もびっくりしたが、いやいや、まだ無理ですよと夫のほうが驚いて、そんな申し出を断った。夫の対応は賢明だったと思う。彼の抱えた病気は簡単に完治できるものではない。
それでも、医師の言葉はほんの少しだけ、回復への兆しを受け取った気がして、嬉しかった。看護師からは、夫の口腔内を消毒したり、うるおす薬剤などを用意するよう指示された。すぐ、病院内のコンビニに寄って、備品調達、即、届けておいた。どうやら、私の喉の症状は悪化・・・明日は面会できそうにない。かわりに、姪が明朝、9時に面会に行くそうだ。なんだか、幸せな気配だね。早合点だろうけれど、そんな気がしてきた。
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