『ステージ・マザー』は見ごたえのある映画だった。地方でのんびり暮らしてきた高齢の主婦に、長いこと疎遠だった息子の訃報が届いた。疎遠だった息子は性的マイノリティで、経営破綻寸前のゲイバーの経営者だった。彼女はこれまで意識的に距離を隔ててきた息子が遺した壊滅しそうなゲイバーを再建する覚悟を決め、さまざまな闘いに挑んでいく。 昨日ようやく、映画の上映が許可された。映画解禁を知り、下高井戸にある小さな映画館を次々訪れる中高年の観客の姿は嬉しかった。コロナ禍で、人の流れを抑え、会話も抑制し、買い出しも控えていると、中高年の活気(歩行力や会話力)は急速に衰えていく。それだけに、『ステージ・マザー』で主役を演じた中高年女性の行動力にとてつもない勇気をもらった気がする。 赤い花と青い花