車は房総の丘陵地帯をぐんぐん走り、どの道路もまるで貸しきったみたいに無人である。いや、車一台、すれ違うことがない。そいつは困る。霊園に到着する前に、軽い朝食をとりたい。それに、トイレも借りたい。そう思うが、飲食店がまるでない。嘘だぁ~これが東京近郊の姿とは信じられないが、まさに、孤島に取り残された運転手と乗客4人と遺骨だったネ。
田園風景に忽然と現れた救いの神さまはコンビニだった。トイレを済ませ、飲み物とサンドウィッチを買って、車に乗り込んだ。霊園の管理事務所に到着すると、義母、義弟、義妹とその家族がいた。昼食用に貸し切った洋室に、遺骨や位牌を運び込み、用意された幕の内弁当をいただいた。私たちの胃袋も必死に隙間を捜した。12時からの会食だったはずだが、ごちそうさま!って、全員がご挨拶したのが12時だった。アリャッ。
再び、車2台を移動させて、城野の墓前に集合。すでに、住職と石材店の人がいて、墓石の下に、遺骨を安置してくれた。石材店の人はガスバーナーを利用して、数十本のお線香を灯し、一人一人に数本づつ手渡してくれた。全員がお線香を捧げた後、私たちは両掌をあわせて、住職の読経をきいた。陽射しは強かったが、吹きぬける風が心地よかった。
帰りの車内、私は助手席から、後部の席へと移動した。行きの緊張とは違い、ゆったりした気持ちで帰宅・・・長い車中、なごやかに語りあう自分の仲間たちが誇らしかった。正直言ったら、そんなこと、気づくことはなかったけれど、同行した運転手の言葉に同感。帰宅すると、米国カリフォルニア州に住む実弟から届いたサクランボを両親が届けてくれた。夜は車中を共にした4人、小料理屋で乾杯した。
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毎年、米国から届くサクランボ!
サイズは巨大、甘さ最高の逸品