今回は昨日の6月12日に参院本会議で可決、成立した「賃貸管理業適正化法案」について解説を行いたいと思います。
〇賃貸管理業適正化法案とは何か?
サブリースの契約をめぐる事案が社会問題化し、受託管理におけるトラブルなども増加していることから、法律の枠組みで賃貸管理業界の適正化を図る目的で作られる法案である。
管理業の法制化に伴い賃貸住宅管理業の登録制度を創設して以下の内容などを義務づける。
①業務管理者の選任
②管理受託契約締結前の重説
③財産の分別管理
④委託者への定期報告
〇社会問題化したサブリース契約をめぐる事案とは何か?
2018年におきた「かぼちゃの馬車」を運営していた不動産会社が破綻し、スルガ銀行で多額の不正融資が発覚した事件。
また十分な説明がないまま突然、借上げ賃料が減額されて資金繰りに行き詰まるトラブルなどが発生した。
※レオパレスでは終了プロジェクトといった賃料減額を担当する部署があったことが判明しオーナー側との訴訟問題に発展した。
※大東建託においても一方的な借上げ賃料の減額請求によりローン返済に苦慮するオーナーの話などがNHKで取り上げられ大きな問題となった。
〇国土交通省が開示した実態調査結果
国土交通省はこの度の制度創設にあたり実態調査を行いその結果を公表している。
<将来の変動家賃の条件について>
不動産会社(説明している):61.5%/家主(説明を受けている):60.2%
<賃料の固定期間・改定時期>
不動産会社(説明している):60.3%/家主(説明を受けている):55.2%
<家賃減額のリスク>
不動産会社(説明している):57.8%/家主(説明を受けている):55.2%
また「登録しておらず、今後も登録しない見込み」と回答した業者が25%、その理由の多くが「営業上のメリットがない」「登録後の国への報告が負担大」としている。
※2020年1月14日全国賃貸住宅新聞記事より抜粋
〇制度が施行されることによって何が変わるのか?
①管理会社の登録が義務化される。
※但し地域の小規模事業者に配慮して管理戸数200戸未満の業者は制度の義務化対象外の予定。
②資格をもったものを配置しなくてはならない。
※具体例は示されていないものの「賃貸不動産経営管理士」が挙げられておりこちらの資格が国家資格化されることが検討されている。
「横山専務のコメント」
悪いことを考える業者が不祥事を起こす度に、日々の業務が増え契約書類などがドンドン分厚くなっていきます。地域に根差して地域の方と歩む地元優先の業者からすれば、ただただ迷惑な話です。
住宅メーカーのしつこい営業受けたと地主さんから相談を受けることもあり、そういった意味でこの度の制度改正で建築営業の在り方も大きく変わっていくことでしょう。
日本賃貸住宅管理協会の会長も歓迎するコメントを出されているようで、この制度改正を機に業界全体が健全化されることを望みます。
さらに詳しく制度内容を知りたい方は下記リンクなどから確認頂ければと思います。
いくつかネットの情報を見た中でわかりやすかったサイトのリンクを貼りました。
★行政書士石川法律事務所
賃貸住宅管理業の登録義務化/2020年5月25日更新