寄り道フィッシング、釣りと自然を語る

釣りや自然を気ままに語ります。

山岳渓流の門番

2023-08-06 21:18:00 | 日記
現在8月の上旬。平地では猛暑日が連日続き、週末や連休にもなると避暑地を求めて田舎の原風景を流れる冷涼な清流へ各地から人々が集まる季節となってきました。


世の中とは上手く回らないもので、クーラーの効いた喫茶店にでも入れば一杯500円もする珈琲でも頼まなければいけないし、週末に海なんて行った日には人でごった返している始末。

さて、それじゃあ山奥の人が容易に入れない渓流で涼を取ろうとするとそれを許さない山の門番達に行手を阻まれます。

盛夏の山岳渓流沿いの林道を車で走っていると車体をコツンコツンと小突いてくる無数の虫がいます。
その正体は大小様々なアブの大群。大型のアブだと、スズメバチを模した様な姿の“アカウシアブ”なんかは見た目のインパクトこそ強烈で、刺されればそれは痛いのでしょうが、本当に恐ろしいのはちっこい方のアブなのです。
我が新潟の渓流釣り師の間では“メジロアブ”という愛称で親しまれて?いますが、正式名称を“イヨシロオビアブ”という小型のアブで、こいつがとてつもなく厄介な存在です。

イヨシロオビアブの何が恐ろしいかと言ったら、単純な人海戦術を駆使して襲い掛かってくるところです。10匹や20匹などという生易しさではなく100匹や200匹という大群で周囲をブンブンと飛び回られると、いくら毒性がないとはいえ「殺されてしまうのではないか」と錯覚してしまいます。
更に厄介なことに、蚊取り線香の強化版とも言える“パワー森林香”を焚いても、ディート濃度の濃い虫除けスプレーやハッカスプレーを身体中に振りかけても何の効果もなく変わらずブンブンと飛び回られます。

山への侵入者に襲いかかってくるのはアブだけではありません。これまた特に盛夏の渓流で多く見られる“ブユ”がとにかく厄介。
アブは刺されるとチクッとした痛みはあるものの先程述べた通り毒性はありません。しかし、このブユという虫、見た目は小蝿のようですがアブと同じように吸血昆虫でしかも毒を持っています。
こいつは刺された瞬間は少量出血はあるものの痛みはありませんが、刺されて時間が経過していくとともにとんでもなく激しい痒みに襲われます。酷い時には発熱を伴ったり最悪アナフィラキシーショックを起こしてしまう可能性もあります。

そしてアブやブユに気を取られていると今度は足元からは同じく衛生害虫のヤマビルが這い寄ってきます。こいつもまた厄介で気づかないうちに足元から這い上がり服の中に侵入してやはり吸血してきます。ヤマビルは吸血する際にヒルジンという血液凝固する作用を妨げる成分を注入してきます。知らぬ間に体から出血している箇所を見つければそれはもうびっくり仰天。またウネウネとしながら人に這い寄る姿は単純な気色悪さを感じずにはいられません。


5月6月という渓流釣りの最盛期が終わり真夏の盛りで中々外に出掛けるのも億劫で、家でゴロゴロ過ごす日々が続きます。久々に渓流釣りに出掛けようかと「よし!」と意気込むものの、頭の中を過ぎる吸血害虫の存在を思うとやはり重い腰は上がってくれません。


人間にとっては非常に厄介な存在の害虫も渓流魚にとっては厄介な釣り人を追い払ってくれる山岳渓流の門番なのかもしれません。

山怪

2023-08-04 13:34:00 | 日記
渓流釣りをしているとふとした時にナニかの気配を感じたり、山奥に自分一人の筈なのにナニモノかの話し声が聞こえたりすることがあります。

渓流釣り師が山中で特に警戒するのが熊との接敵であると思われますが、沢歩きをしていると稀に強い獣臭が漂ってくることがあります。そんな時には大声を唸り上げたりホイッスルをけたたましく鳴らしたりと他人には見せられないほど無様に自身の存在をアピールするものです。

一度高まった警戒感は鋭さを増して周囲の気配に更に過剰に更に過敏になってしまいます。時にそれは本来聞こえない音や見えない物まで見せてしまうほどです。


とある釣り師の話

その方は当日、久しぶりの渓流釣りに心躍らせて自宅から片道2時間のN川へ向かっていました。


有名河川にも関わらず現地駐車場には先行者の車は止まっていませんでした。時期は6月の中頃、自宅を3時過ぎに出発したこともあってか、太陽は上りきっておらず辺りはまだ薄暗い、少しひんやりとした空気が立ち込めていました。


駐車場からすぐ入渓できることもあり早速釣り仕掛けをセットし、意気揚々と釣りを始めました。

両岸に針葉樹と広葉樹の入り混じった渓は「ザーーー一」という、川の流れる音のみで、静寂と喧騒を肌で感じる何とも言えぬ雰囲気を携えていました。


しばらくアタリがないまま遡行していくと、すでに太陽は昇っているものの、釣り座は左右を深い藪で覆われた何となく嫌な圧迫感を感じる景色に変わっていきました。そんな中でも釣りを続けていると、仕掛けに付けている目印が水面直下へ消し込むやいなやそのアタリに即合わせ、魚とのやり取りの後には何とも綺麗なニッコウイワナの姿を拝むことが出来ました。


釣り上げたイワナの姿を手に取ってマジマジと見つめていると、背後の藪から「ふふふふふ」と、男とも女とも言えないくぐもった無機質な笑い声が不意に聞こえ、急な出来事に「うわぁ!」と声をあげました。

視線を藪の方へ向け神経を傾けるも、聞こえてくるのは「ザーーーー」という川の流れる音のみでした。


藪を抜ける風の音だったのか、水流が川底の岩を舐める音だったのか、はたまた得体の知れない何かだったのか、今となっては確かめる術はありません。


何とも言えない不気味さを感じたまま渓を後にするのでした。




古今東西渓流釣りを嗜む大抵の釣り師は奇妙な体験談の一つや二つ持っているもので、それは釣り仲間との晩酌の肴に最適です。


しかし、“アオの寒立ち”だの“送り狼”だの“岩魚坊主”だの、山にまつわる伝説的な出来事はあまりにも多く、山中での恐ろしい出来事を山岳信仰として奉った当時の人々の心境には共感せざるを得ません。


異常事態

2022-06-20 23:46:00 | 日記
熊やイノシシが街中に出没して大騒ぎになったというニュースをここ数年でよく見かけるようになりました。
専門家の人達がいろいろと考えられる理由を語って遭遇してしまった際の対処法を講じたりしていることもありますが、何かズレているというか・・・

そもそも山の生き物が街中に来なくても済む方法、対策を考えるべきだと思いますが、そのようなことに言及している人を見たことがありません。庭先にゴミを放置しない、柿の木があるような家は落ちた実をそのままにしない。その程度のことしか言及されません。

私の住んでいる地域にも山がありますが、ほんの20年前まで山の動物といえばタヌキやウサギだけで、猿が目撃された際には地元でニュースになったほどです。なぜなら大きな連峰に属していない小さい山が3つほど連なっている程度のものだからです。しかし今ではシカやイノシシ、しまいには天然記念物のカモシカまでもが出没する始末です。

異常事態だろ

そこで私に考えがあります。まず山の奥の方まで無駄に生えている杉の木、これを少しずつ切り倒してナラ類やブナなどの落葉広葉樹を植樹して雑木林を形成しましょう。これで葉を食べる幼虫が増えますし、堅果類が成って動物達の餌になります。落葉した葉は土中の栄養源になって豊かに土壌形成されます。

枯れそうな沢は、まず底に溜まったヘドロを取り除きしっかりとした流れを作ります。その上で沢に分岐点を作り、分岐点の先に小さい溜池を複数作ります。そうすれば水溜りに産卵するヒキガエルやサンショウウオ、トンボなどが増えると思います。

こんなことを考えていますが基本的に山は国有林、もしくは私有林のため勝手なことは出来ません。国有林は管理されている箇所が多いと思いますが私有林は久しく人の手が入った形跡が見られない様な所が数多くあります。

この現状を打開するために各自治体や市町村、ひいては国が無償ボランティアや有償ボランティアを呼びかけていくべきだと思います。
何度も言いますが

異常事態ですよ

渓流釣りとかいう危険な遊び

2022-06-13 17:04:00 | 日記
最近行った渓流釣行。釣果は上々で釣り場を取り囲む景色も息を呑むような美しさでした。





しかし、そんな楽しい状況を覆すような出来事に見舞われました。

ガサガサ・・・

不意に林の奥から音が聞こえてきて、警戒しつつも気のせいかなぁと思いながら辺りを見回すと下流方面の斜面の林が明らかに大きく揺れている・・・




是非動画をご覧頂ければと思います。