mariの自然さんぽ

道ばた・近所の山・公園などの植物、動物を探してふらふらと散歩。

トウダイグサの仲間

2020-08-15 22:35:11 | 出会った植物
○トウダイグサ(キントラノオ目トウダイグサ科トウダイグサ属)
Euphorbia ebracteolata
道ばたや草地に生えていて比較的どこでも見る事が出来ます。一見すると黄色い花かなと思い、良くみてみると葉が花のように見える?
その中心にはコロンとした丸いものが???
私はトウダイグサの花の構造の不思議さと植物自体の規則性の正しさに興味を惹かれます。しかもトウダイグサ属の仲間はその杯状花序(数個の雄花が1つの雌花を取り囲んだものがふつう1〜5個の蜜腺を持つカップ状の総苞に包まれ、1つの花のように機能するもの。コロンとした丸いものは雌花の実。)と言われる偽花を持ちつつ、少しずつ形を違えた仲間がたくさんあり、その違いなどを見るのも面白いです。下にあげるのはトウダイグサ属の一部です。



○タカトウダイ
Euphorbia lasiocaula
総苞の腺体は横長楕円形です。
花期は6〜10月。





葉柄はなく、互生です。




○ハマタカトウダイ
Euphorbia lasiocaula f.maritima
タカトウダイの海岸で生育するものは葉が厚く、丈が25㎝以下程度に低くなり、ハマタカトウダイと言われます。
分枝の有無など地域ごとにさまざまな形があるそうです。こちらは横須賀で撮ったもの。





黄色の花弁のようなものが腺体です。



上の写真より若いハマタカトウダイ。腺体の色もまだ黄緑色っぽく、杯状花序の苞葉が開いていないのでつぼみのように見えます。


○ナツトウダイ
Euphorbia sieboldiana
総苞の腺体は三日月形で杯状花序の苞葉の形も三角形です。
ナツトウダイとは言いますが、花期は3〜7月でタカトウダイより早く咲きます。





若いナツトウダイ。こちらもまだ苞葉に包まれた状態の杯状花序が見えます。



以下は、ニシキソウ亜属ですが、こんな植物もトウダイグサ属です。

○テリハニシキソウ
Euphorbia hirta var.glaberrima
こちらは沖縄で撮ったものです。日本では九州、琉球、小笠原に分布します。



○ポインセチア(ショウジョウボク)
Euphorbia pulcherrima
クリスマスの時期は赤い葉でお馴染みです。



○コニシキソウ
Euphorbia maculata
こちらも道ばたでよく見かけます。



トウダイグサ属はとても多くの植物があるので、まだまだみてみたいものや知らない事がたくさんありそうで楽しみです。😊

参考文献  大橋広好・門田裕一・木原浩・邑田仁・米倉浩司編(2016)改訂新版 日本の野生植物 平凡社

箱根湿生花園の花々 〜7月末〜 ③

2020-08-10 09:02:43 | お出かけ
箱根湿生花園の花々 ②の続きになります。備忘録も兼ねて。(出来るだけ調べてはいますが、情報や表現に間違えがありましたら申し訳ありません。)


○ナガボノシロワレモコウ(バラ目バラ科ワレモコウ属)
多年草で葉は奇数羽状複葉。花は4数性で柄はなく、萼片は白色で4枚あるが花弁はない。雄蕊は4個で葯は黒色。
ナガボノワレモコウの変異で丈が高く花が白い物をナガボノシロワレモコウと言うそうです。またナガボノワレモコウは変異が多くて、小型の物はコバナノワレモコウ、花が赤紫色の物をナガボノアカワレモコウと言います。
トウチソウの種類やカライトソウもワレモコウ属です。



ナガボノシロワレモコウは上から咲き始めます。ワレモコウ属でも上部から咲く物、基部の方から咲く物と両方あるそうです。



雄蕊が長いこともワレモコウとの違いになります。



○バライチゴ(バラ目バラ科キイチゴ属)
日本固有種。多年草。茎は無毛でとげは扁平で下向きに曲がる。葉は奇数羽状複葉で小葉は3〜7枚、2重鋭鋸歯縁。なんとなくクサイチゴに似ていますが、クサイチゴは全体に軟毛が密生しています。





こちらは少し前に撮ったお花です。茎葉にとげが多いことやバラの花のようなことがバライチゴの名の由来とされるそう。



とげが特徴的です。



○センジュガンピ(ナデシコ目ナデシコ科マンテマ属)
山地の林内や林縁に生える40〜100㎝の多年草。茎は上部で分枝し軟毛がある。葉は軟質で薄く無柄。花は2浅裂で裂片は規則的に欠刻する。 
名前については花が中国原産の岩菲(センノウ)に似て、栃木県日光の千手ヶ浜で発見されたためといわれており、中国産の岩菲に似るとして同じくガンピの名のつくオオシマガンピ、サクラガンピ、ムニンアオガンピなどがありますが、これはアオイ目ジンチョウゲ科になります。
マンテマ属にはフシグロセンノウ、マツモトセンノウ、タカネマンテマ、タカネビランジなどがあります。



ほとんど終わりかけてしまっていて花弁の感じがうまく撮れませんでしたが、可憐で繊細な感じのお花です。



参考までに本州中部以南で市街地や海岸などにみられる外来種のマンテマもナデシコ科マンテマ属になります。





○カキラン(キジカクシ目ラン科カキラン属)
亜寒帯〜暖温帯の日当たりの良い湿地に生える。地上茎は30〜70㎝。6〜8月黄褐色の10あまりの花がつく。
花の色が柿の実の色に似ている事が名前の由来ですが、まれに花色が黄色で紫条がない、茎の下部も紫色をおびないものがあり、キバナカキランといわれます。また、唇弁が側花弁と同型のものが九州南部と琉球列島に知られていて、こちらはイソマカキランと名づけられています。
同じカキラン属にはアオスズランがあります。






園内にある湿原の復元区では見つけられませんでしたが、今回は初めてカキランを見る事が出来ました。花の色は思った以上に鮮やかで華やかなランでした。
また、白いお花も夏の林や草地を爽やかに涼しげにしてくれます。どちらも魅力的です。😊


参考文献  大橋広好・門田裕一・木原浩・邑田仁・米倉浩司編(2016)改訂新版 日本の野生植物 平凡社

箱根湿生花園の花々 〜7月末〜 ②

2020-08-07 09:46:34 | お出かけ
箱根湿生花園の花々 ①の続きになります。(出来るだけ調べてはいますが、表現、情報に間違いがありましたら申し訳ありません。)

○チダケサシ(ユキノシタ目ユキノシタ科チダケサシ属)
根茎がある多年草。明るい林床から林縁、山麓の湿った草原に生える。葉は2回奇数羽状複葉〜4回奇数羽状複葉状深裂。
チダケサシ属には他にもトリアシショウマ、アカショウマ(広義でトリアシショウマの分類とする見解もあり。)、アワモリショウマ等がありますが、とても見分けが難しそうです。
また、ショウマとついてもサラシナショウマやイヌショウマ、オオバショウマはキンポウゲ科サラシナショウマ属。レンゲショウマはキンポウゲ科レンゲショウマ属。キレンゲショウマはアジサイ科キレンゲショウマ属に属します。





雄蕊は10個、花弁は普通淡紅色で雄蕊より長く、花軸には腺毛があります。
お花は1つ1つ見るととても可愛いです。



チダケサシの頂小葉の先端は普通鈍頭とありましたが、確かに鈍頭です。トリアシショウマやアカショウマは先端が尾状になるそう。



下は参考に高尾山にて、アカショウマと思われます。アカショウマは花序の側枝の最下のもの以外は分枝しないようです。トリアシショウマは分枝します。



小葉の先端が特にチダケサシと違います。






○ヒメトラノオ(シソ目オオバコ科クワガタソウ属)
林縁や草地に生える多年草。茎は短毛が散生し、葉は対生する。花冠は4裂する。クワガタソウ属は雄蕊は2本。
やはりクワガタソウ属にヤマトラノオという花がありますが、違いがよくわかりません。ヤマトラノオ(ヒメトラノオ)などとも記載があり、ヤマトラノオとの差があいまいということなのでしょうか。





○ヌマトラノオ(ツツジ目サクラソウ科オカトラノオ属)
オカトラノオ属の仲間です。湿地に生える多年草。葉は互生で披針形または倒披針形狀長楕円形で、柄はない。茎は円柱形で点状の毛が散生します。
オカトラノオとヌマトラノオの雑種をイヌヌマトラノオといい両者の中間の性質を持つそうです。








ヒョウモンチョウの仲間も来ていました。ちょっと調べてみたところウラギンスジヒョウモンかオオウラギンスジヒョウモンかな?



○エゾイヌゴマ(シソ目シソ科イヌゴマ属)
箱根の湿生花園の情報ではエゾイヌゴマと紹介されています。同属のイヌゴマは湿地に生える多年草。4稜で稜に下向きの刺毛があり、葉は披針形でごく短い柄があります。下面の中肋に短い下向きの刺毛があります。こちらのエゾイヌゴマは茎や葉や萼に開出する剛毛を密生するらしいのですが、見えますでしょうか。仙石原にはイヌゴマもあるということです。



穂状のお花は良く見ると可愛い花たちです。ですが何の花かを調べるとき、葉で見分けられないものは、小さくて見分けが難しいです。花柄や毛の有無や花序の分枝の仕方なども種類によって差があるので良く観察しないといけなくて、後から「あーー、観察し忘れた!」と思うことも多いです。💦

参考文献  大橋広好・門田裕一・木原浩・邑田仁・米倉浩司編(2016)改訂新版 日本の野生植物 平凡社

箱根湿生花園の花々 〜7月末〜 ①

2020-08-04 18:57:06 | お出かけ
箱根湿生花園 7月末の花々とその花の仲間など備忘録も兼ねて。(できる限り調べましたが、素人なので情報・表現に間違いなどありましたらすみません。)


○カセンソウ(キク目キク科オグルマ属)
オグルマ属の日当たりの良い草地などに生える多年草。葉は柄がなく互生。
オグルマ属のオグルマとはよく似ているが、カセンソウの葉が表面にややが光沢あり、固めなのに対し、オグルマは葉が柔らかい。
また、痩果にカセンソウは毛がなく、オグルマには毛がある。頭花の総苞片の長さがオグルマの方は均一という説明もあるが、痩果による見分けが一番確実らしい。
ちよっとわかりにくいです😅







湿原復元区にて。


○クサレダマ(ツツジ目サクラソウ科オカトラノオ属)
山中の湿地に生える多年草。葉は柄がなく、2から4枚が対生または輪生する。花冠は黄色で5裂、花糸は基部で広がり、互いに合着して短い筒を作る。
オカトラノオ属は他にはオカトラノオ、ヌマトラノオ、ハマボッス、コナスビ、ツマトリソウなどがあります。



わかりにくいですが、雄しべも5本です。



クサレダマの果実。





○サワギキョウ(キク目キキョウ科ミゾカクシ属)
山地の湿原に生える多年生草本。葉は互生。茎は中空で50〜100㎝で分枝しない。花は特徴的な2唇形で上唇は2深裂、下唇は3戦列し裂片の縁に長い毛がある。
ミゾカクシ属は他に、小笠原のオオハマギキョウ、ミゾカクシ、マルバミゾカクシ(絶滅危惧ⅠA類)、タチミゾカクシ、(絶滅危惧ⅠA類)マルバハタケムシロ(絶滅危惧ⅠB類)があります。
園芸種のロベリアといわれるものとも同属です。





確かに花の裂片に毛が見えます。



小笠原のオオハマギキョウ。花でなくてすみません。
常緑性の1回繁殖型小高木で小笠原の海岸近く草地に稀に生える。絶滅危惧Ⅱ類。(VU)
小笠原と本土の植物の進化の違いとしてサワギキョウと大きさや、木本化する事でも比較されます。葉も強い太陽光に耐えられるように光沢があり、厚いです。

○ツチアケビ(キジカクシ目ラン科ツチアケビ属)
地生の多年草。光合成を行う葉を持たない菌従属栄養植物。(木材腐朽菌のナラタケとラン菌根を形成。)
花の特徴としては黄褐色で、唇弁にラン科に多くある距がなく、その基部は蕊柱を包む。果実は裂開しない。
通常ラン科植物は非常に微小な種子を大量に風に乗せて散布しているとされるが、2015年、京都大学により、ヒヨドリなどの鳥によるツチアケビの種子散布が明らかになっており、世界で初めてのラン植物における動物の種子散布の報告になっています。





初めて会いましたが、その姿には驚き。





ツチアケビ属Cyrtosiaのシノニム(異名)としてGaleolaがあり、ツチアケビの他にタカツルラン(別名ツルツチアケビ)(タカツルラン属)が同じくシノニムにGaleolaを持ち、屋久島以南に知られている。
難しいですが、近い仲間の可能性があるということでしょうか。
つる性で高さ5mにも達するラン。絶滅危惧ⅠA類(CR)(木材腐朽菌と共生とありましたがナラタケ?)

いつか会ってみたいものです。😄

参考文献  大橋広好・門田裕一・木原浩・邑田仁・米倉浩司編(2016)改訂新版 日本の野生植物 平凡社

金沢自然公園②

2020-08-03 10:51:19 | 日記
金沢自然公園①の続きになります。

公園の整備された区域に戻ってきました。

今日はマメ科のような花がよく目に入ります。
でもこちらのマメ科はツル性ではなくしだれない木です。



○キハギ(マメ目マメ科ハギ属)
落葉低木で、日当たりの良い丘陵地や低山地の岩の多いところに生育するようです。



葉は3出複葉で2列に互生します。



他のハギより木質化しているのでキハギなのでしょうか?


もう1つマメ科のネムノキの花が満開でした。
○ネムノキ(マメ目マメ科ネムノキ属)



このピンクの花に見えるのは雄しべで下の緑の部分が花冠になります。10から20個の花が集まってできています。



私も今回初めて知ったのですが、この写真で少しわかるかもしれませんが、花序を作る花の頂端に着く花(頂生花)が1花序の中で1から2個あるそうなのです。確かに中心に他と見た目が違う花が1つ見えています。頂生花は萼と花冠が他の花(側生花)より少し大きくて雄蕊は中部まで合着、離生部分は開出し、雄蕊はやや短いようです。不思議。


ヒガンバナも咲き始めていました。




○ヒガンバナ(クサスギカズラ目ヒガンバナ科ヒガンバナ属)
日本には中国から有史以前に渡来したものと考えられており、各地で野生化しています。地下の鱗茎に強い毒性がある有毒生物であり、日本で繁殖しているヒガンバナはほとんどが染色体の基本数が3倍の三倍体なので一般に種子で増えることはできないらしいです。繁殖は球根を株分けして繁殖させます。


ののはな館に戻ってきました。
前の花壇に見た事のない種子(果実)をつけた植物があったので、早速職員の方にうかがってみました。館内にはその植物のドライフラワーが飾ってあり、合田草(ルナリア)という名前を教えて下さいました。ののはな館ではこのドライフラワーを使ってリース作りなども行なっていたそうです。(現在はコロナの影響でやめているそう😔)



○ゴウダソウ(別名ルナリア、ギンカソウ、ギンセンソウ)(アブラナ目アブラナ科ゴウダソウ属)
越年生の植物で、一年生植物ないし二年生植物の宿根草。ゴウダソウの名前は、フランスから日本に種子を持ち込んだ東京美術学校の合田清教授に由来するそうです。ギンカソウは銀貨のような果実のつけるから、、、。😅
栽培種が野生化して一部が帰化植物として道ばたなどで育成します。



乾燥させて種子と両面にある果実を剥がしたところ。綺麗なドライフラワーになります。


最後にもう1つののはな館で初めてみた植物がありました。



○ツノゴマ(シソ目ツノゴマ科ツノゴマ属)
ツノゴマ科に属する植物で、若い果実はオクラのように蒸して食べたりするそうです。
また、種子からとれる油も栄養価が高いそう。ちなみに普通のゴマはシソ目ゴマ科ゴマ属になります。
この花は黄色いのでキバナノツノゴマかもしれません。
このキバナノツノゴマは近年食虫植物という見方もありますが、まだ結論を出すには至らないそうです。(ツノゴマは食虫植物とする見解はないそう。)



マメ科について、種子について色々な発見ができた公園めぐりでした。

参考文献  大橋広好・門田裕一・木原浩・邑田仁・米倉浩司編(2016)改訂新版 日本の野生植物 平凡社