あの日。気がついたら、その子は話しはじめていた。コアラのぬいぐるみのはずなのに。
それ以来、彼はそのことを20年間秘密にして、生きてきた――。
STORY:小さな出版社で校正の仕事をしている森星太朗は、幼いころ他界した作家で母の文子が残してくれたコアラのぬいぐるみを大事にしていた。そのぬいぐるみは、母が亡くなったその日、しゃべりだし、以来、無二の親友になっていたのだ(もちろん、世間には内緒にして)。そんなある日、しゃっくりがとまらなくなった星太朗に大きな転機が訪れる... (「BOOK」データベースより)
短編映画『くらげくん』や長編映画『1/11 じゅういちぶんのいち』『たまこちゃんとコックボー』などの片岡翔監督による小説デビュー作です。「きらら」という大きな書店に置いてある無料の本に連載されていて今月(6月)1冊の本になりました。その「きらら」は全部持っているのですがまとまってから読みたかったので...すみませんっ。←おいおいっ
私にしてはめずらしくイッキ読みしちゃいました。とても読みやすく、映画監督なだけあって読みながら頭の中に星太朗とムッシュとのやりとりが映像で浮かんでくるようでした。読む前はムッシュとはなんぞや?と思いましたが、
なんとコアラのぬいぐるみ!!
しかもしゃべる!!
片岡翔さんの映像作品にはたくさんのぬいぐるみが登場します。一見、ファンタジーな世界かと思うのですが実は現実的だったりします。この小説もコアラがしゃべるというファンタジーっぽいおはなしなのですが、主人公の星太朗に訪れた大きな転機は現実的なものでしたが、コアラのぬいぐるみのムッシュと共にその時が来るまでにやりたいことをノートに書き出して、ひとつずつクリアしていくのでした。
ムッシュと星太朗のやりとりが人間の親友同士のようで微笑ましいです。ムッシュがしゃべることは他の誰にも内緒なので秘密を覗き見してる感じで楽しかった。ムッシュはどうしてしゃべるのかと思うと、星太朗のお母さんが亡くなったその日にしゃべりだしたという....きっと星太朗を残していくのが心残りでムッシュに想いを託したのでしょうね。
突然の転機が訪れた星太朗もムッシュがいたからこそどんなことも頑張れたと思うし、ムッシュも星太朗だから心を持つことができたんだなーと思います。何かあった時に誰かがそばにいてくれるということは大切ですね。最後にムッシュが書いたやりたいこと....泣けました。そして、ある女の子との出会い、ラストのムッシュと星太朗.....とても悲しく切ない物語なのにどこか温かさがありました。読み終わった後は優しい気持になれる、小説だけど童話のような素敵なおはなしでした。
片岡翔さんの作品はとても繊細なものが多く今回の小説も変わらない繊細さがありました。
映像作品でも観てみたいですね。これからも映画に小説と応援していきたいと思います!!
ムッシュがしゃべることを組織に知られたら人体実験(コアラだけど)されちゃう....というくだりツボでした 笑
さよなら、ムッシュ | |
片岡 翔 | |
小学館 |
嬉しいな〜先日はわざわざ上映会もありがとう!!
素敵なレビュー。今後も応援してくれると励みになる、、、、翔にも伝えるね
先日はお世話になりましたー
久々に会えて少しだけどお話できて良かったわ♪
これからもガンガン応援します!!
また機会があったら教えてね~行きます。