ミステリ本編集者の女性が、ベストセラー作家の最新作の原稿を
読むところからお話ははじまります。
上巻まるまる一冊がそのミステリなのですが、ラスト一行で
探偵が「犯人が判った!」というので、急いで下巻を開いてみると
なんとなんと、続きの原稿が行方不明・・・。
編集者も読者も途方に暮れる(笑)という前代未聞な筋立てなのです。
その未完のミステリ、タイトルが「カササギ殺人事件」なのですが、ややこし、
アガサクリスティのオマージュに満ちた・・という解説とおり
ファンにはたまらない仕掛けになっています。
小さな英国の村が舞台、牧師館や貴族の住むマナーハウスがあり、古いホテルと
パブ、骨董品屋さん等々、それにポワロを彷彿とさせる探偵が出てくるのですから。
いよいよ犯人が判明かという所で腰を折られる格好で、現実世界にもどされ
少々欲求不満状態の中、続きの原稿を探す編集と読者は気持ちの上ではぴったりリンク(笑)
そうこうするうちにこのミステリの作者が死んでしまうという事件が起こります。
自殺か他殺か・・。
続きの原稿をさがしつつ、作者の死の真相も探りながら、作者をとりまく怪しげな人々に
接触していく編集者。
現実世界の人間関係とミステリ本のそれが、微妙に重なりつつ進行していくので
読む方は一種迷宮に入ったような不思議な心持になります。
ラストではもちろん二つの(現実のと本の中でのですが)殺人事件の犯人が明かされますが、
(続きの原稿も意外な所から見つかります・・・灯台もと暗しか)
一粒で二度美味しい・・という形容しか今は思いつきません(笑)
以下少々ネタバレになります^^
池でおぼれた弟が引き上げられてるのに、兄はなぜ池に飛び込んだのか・・・
読んだ時違和感があったものの、まあ~弟の惨事に気が動転したのね・・と早合点したワタクシ
やっぱりあれは偽装だったんや!
あと、ほとんど登場していないのに、最初のページの登場人物一覧に名前が載っていた秘書・・
これは何かある!と思っていたら、やっぱり重要人物でした。
しかし最後までまったくわからなかったのは、息子の異常さに気付いていた母親の行動・・
気をつけて読むとあちこちにヒントはちりばめてあったのになあ。。
年末のいろんなミステリの賞を総なめした作品ですが、それも納得です。
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