街への鍵
2015-09-10 | 読む
舞台はロンドン、リージェンツパーク
近くにはマダムタッソーの蝋人形館や
ベーカー街があります。
ベーカー街といえば、シャーロックホームズ!
彼の小説にでてくるアイリーンアドラー、もちろん
架空の人物なんですが、その博物館で仕事をしているメアリを
中心にストーリーは展開します。
この設定だけで、もう~わくわくしてきます^^
白血病患者のために骨髄提供をしたメアリ
理不尽な理由で怒る恋人に愛想をつかし、別れる決心をします。
提供相手レオに会ったメアリは彼に自分と似た何かを感じ
惹かれていきます。
訳ありのホームレス、ローマン、
富裕層の犬の散歩を仕事にする老人ビーン
麻薬におぼれるホブ、
四人の視点、人生模様が丹念に綴られながら
その中に連続殺人も織り込まれていますが
これは犯人探しミステリではなかったですね。
ラストに、おお~!と驚く仕掛けも用意されてはいるのですが
メアリとレオの悲恋ストーリーとしても読めるし
ローマンの再生の物語、また
ビーンみたいな小狡るい人生の哀しき末路
クスリ中毒ホブの、薬のある時ない時の描写は
(なんか551豚まんみたいですが^^)
最高のリアル感がありました。
イギリスで一番美しい公園といわれる
リージェンツパーク・・
って、今回初めて知りましたが(笑)
読んでるだけでも、風景が広がります。
爽やかな並木と甘い薔薇の香り、噴水の水音と
動物園をめぐる子供たちの歓声、鳥のはばたき
パークを渡るさわやかな風・・・
これで
ゲートの上にある手鉄製のスパイクに
人間が刺さっていなければ最高なんですが(笑)
裏表紙に「サスペンスの女王」による傑作・・と
ありますが、決して過言ではありません。
こういう豊かな物語がもっと読みたかったですが
ルース・レンデル女史
今年5月に亡くなったそうで・・・残念ですね。
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