今日、長野県阿智村へ、住民自治と住民主体の村づくりについて伺いました。阿智村は飯田市の南西部に位置する人口約6,700人の村です。観光業を基幹産業として位置づけています。住民主体の村づくりに向けて、住民自治を高めていく取り組みの実践例、議会の役割を中心に説明を受け、質疑応答、懇談を行ないました。自治組織(自治会)を村と対等な立場と位置づけ、任意団体として組織されています。地域課題は地域住民、自治組織が解決に取り組み、村は課題解決への取り組みを支援することを位置づけ、各自治組織で地区計画を策定し、地区計画で挙げられた事業について村が対応する取り組みが進められています。その土台となるのが阿智村を含め、公民館における社会教育活動と地域づくりに向けた取り組みがすでに出来上がっている中での住民自治であり、その差を感じざるを得ませんでした。
村の予算編成に向けた取り組みでは、8つの自治会で地区計画が策定されていること、住民個人、NPOなど団体でも予算要求できる仕組みがあります。予算編成過程は明らかにし、11月中には各自治会要望が出されて各所管課が予算できるものは予算化し、回答を各自治会に1月までに送付して、2月に行なう自治会懇談会に意見が出せるようにしているとのこと。2、3月で最終査定し、議会にも予算編成、査定の過程を示しています。この時期は毎日予算案が変わるそうです。それが3月の議会に上程され可決された場合には、今度は議会が8つの自治会に議会の議決事項を報告し、懇談しています。そのため、議員自身が地域の様々な要望を行政に持っていく「ドブ板要望」というものは行なっていません。
議員の役割は、村の将来展望についての議論、村民が国政の影響で不利益にならないようにするための議論のために、しっかりと合議体としての役割を発揮するために取り組んでいる様子を伺うことができました。TPP反対や改憲反対、秘密保護法反対などの国への意見書を提出に向け、ギリギリまで議論を尽くし、調整しているとのことでした。議案にしても意見書にしても調整をした上で上程されるため、議会側の調整過程など、村民への説明責任が課題のようです。
住民一人一人の力を高めるための不断の努力が欠かせないことを阿智村で学びました。自治体の規模の大小はあると思いますが、この住民自治の基本は離さず持っていなければならないと感じました。
写真は、全村民に配布される事業計画書です。計画事業の目的、内容、期待される効果、課題、改善点などが示されています。
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