今日の本紹介

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

本紹介56「最後の命」

2021-04-20 13:56:00 | 日記
再開一発目ということで、今回は一度に2冊紹介します!

秘密基地の合い言葉は「世界が終わる」。小学2年生のとき、そこで起こったある事件。以来、何かが起こるきっかけはいつも彼だった。最後に会ってから7年。ある事件がきっかけで疎遠になっていた幼馴染みの冴木。彼から「お前に会っておきたい」と唐突に連絡が入った。直後、私の部屋で1人の女が死んでいるのが発見され、疑われる私。部屋から検出される指紋。それは指名手配中である、冴木のものだと告げられる。(講談社文庫) 


最後に会ってから七年。ある事件がきっかけで疎遠になっていた幼馴染みの冴木。彼から「お前に会っておきたい」と唐突に連絡が入った。しかしその直後、私の部屋で一人の女が死んでいるのが発見される。疑われる私。部屋から検出される指紋。それは「指名手配中の容疑者」である、冴木のものだと告げられ--。 

悪とは何かを問う中村文則三部作のうちの一冊。これは文章で表現するよりも実際読んでみた方が感覚として分かると思う。是非読んでみてください。

『最後の命 (講談社文庫)』の感想

背徳感に飲まれてしまった者と背徳感に飽くまで逆らおうとする者。二通りの道をそれぞれ歩んだ友人達の人生の断片が重なる悲哀さは妙な爪痕を残していた。
幼少期に見た闇は当人の人生観や生き方に多大な影響を及ぼす。それを無かったことにはできないが、それとどう向き合っていくかがターニングポイントであると感じた。

#ブクログ




本紹介55「リセット」

2021-04-20 13:34:00 | 日記
少しお休みしていましたが、満を持して再開しましたのでよろしくお願いします!!
再開一発目にちなんだ本紹介ははまさに再スタートを切るにふさわしい一冊!


ぼんやりした不安と不満を抱えながらも、平凡に暮らしていた三人の女性が、突然、高校時代にタイムスリップさせられてしまう。 "未来の想い出"がリプレイされる毎日は、彼女たちの意識を少しずつ変えていく。 そしていま、再び新しい人生へ! 人生は変えられるかもしれない……長編if小説。

人生はやり直しが効かないからこそ、日々考えながら生きていくことが大切だと思った。そしてその考えた結果が如何なるものであろうとも、自ら決断したのであれば、後悔はないはずである。自分は自分として生きることが何よりな幸福である。

『リセット (双葉文庫)』の感想

他人の芝生は青く見えるという言葉がよく分かる内容。どんな人間にも苦悩や欠落感を抱えながら生きている。そんな精神状態では、他人の光り輝く側面ばかりが目についてしまう。
だからこそ、他人と自分の人生を比較することは無意味であり、自分の人生を精一杯生きるだけで素晴らしいのだということを教えてくれた。
自分の人生も悪くないと思わせてくれる一冊。

#ブクログ




本紹介54「月光」

2021-02-19 14:12:00 | 日記
同級生の少年が運転するバイクに轢かれ、美しく優しかった姉が死んだ。殺人を疑う妹の結花は、真相を探るべく同じ高校に入学する。やがて、姉のおぞましい過去と、残酷な真実に直面するとも知らずに……。ピアノソナタの哀切な調べとともに始まる禁断の恋、そして逃れられない罪と罰を描く衝撃のR18ミステリー。

人間の本性及び赦すとは何かを描いた作品。甘い誘惑には誰しもが惑わされ、そこに倫理は無力である。しかしその代償として悪魔に身を捧げる生活が始まる。
主人公の姉は禁断の恋の誘惑に負け、その結果、弱みを握らせ陵辱されてしまうが、そこで、自分の罪ごと曝け出して助けを求められる強さがあれば皆救われたのかもしれない。厚い人望が皮肉にも彼女を孤独に追い込み、そして破滅を招いた。最期まで周りからの期待に縋り、自らの穢さを曝け出すことが出来なかったという点では、彼女は不幸でもある。
繰り返しになるが、自らの穢さを曝け出すことができる人間は真の強者だ。また、それを赦し受容できる強さを我々は持つべきだと思った。

『月光 (中公文庫)』の感想

どんな人でも弱みや欠点はある。ただ、それを曝け出して助けを求めることができるかどうかは当人次第であり、助けを求めることができる人間は恵まれているのだと思う。

#ブクログ




本紹介53「カラマーゾフの兄弟 上」

2021-02-09 23:29:00 | 日記
物欲の権化のような父フョードル・カラマーゾフの血を、それぞれ相異なりながらも色濃く引いた三人の兄弟。放蕩無頼な情熱漢ドミートリイ、冷徹な知性人イワン、敬虔な修道者で物語の主人公であるアリョーシャ。そして、フョードルの私生児と噂されるスメルジャコフ。これらの人物の交錯が作り出す愛憎の地獄図絵の中に、神と人間という根本問題を据え置いた世界文学屈指の名作。 

東大教授が新入生に進める本No. 1。
全ての哲学が、三部作にて余すことなく網羅されている。
上では、宗教という概念が比重として大きなウエイトを占める。
血縁と宿命の因果関係にも注目である。
残りの2冊は後日紹介する。

『カラマーゾフの兄弟〈上〉 (新潮文庫)』の感想

人間の本性を嫌というほど全面に押し出した作品。宗教談義は脳内翻訳に一苦労するが、信仰心が人の心の大部分を占める西欧特有の文化を学べたのは非常にためになった。

#ブクログ




本紹介52「友だち幻想 人と人のつながりを考える」

2021-02-08 04:03:00 | 日記
人付き合いのルールを知り少しの作法を身に付けるだけで、複雑な人間関係の中で必要以上に傷つかず、しなやかに生きられるようになる処方箋のような本! 
友だちは何よりも大切。でも、なぜこんなに友だちとの関係で傷つき、悩むのだろう。人と人との距離感覚をみがいて、上手に“つながり"を築けるようになろう。 
「みんな仲良く」という理念、「私を丸ごと受け入れてくれる人がきっといる」という幻想の中に真の親しさは得られない! 人間関係を根本から見直す、実用的社会学の新定番書。 
これでもう、「みんな仲良く」のプレッシャーとはさようなら。 

「集団」「人間関係」という切り離せない社会的動物としての理を成り立ちや経緯、時事ネタと結び付けてある社会学本の代表格。
学校ではよく一人で行動する者を「ぼっち」と揶揄する風潮があるが、それは弱さの裏返しであり、一人でも強く生きられる者への羨望の眼差しなのだと思った。
なぜなら、集団からくる愚かさというものがあるからである。ある意味一人とは賢さの選択のその最たる例でもある。
コロナ禍は集団性を壊し、個人性を際立たせた。この本における人間関係の在り方は、まるでこれを預言していたようにも感じる。

友だち幻想 (ちくまプリマー新書)』の感想

人間関係からくる弊害を多数盛り込んでおり、誰しも経験したことがあるだろう。
群れることが悪いとは言わないが、群れることが原因でしなくてもいい苦労をすることもまた事実である。


#ブクログ