人を殺すということはどういうことか。人を殺した人間はどうなってしまうのか。その本質が余すことなく書かれている。どういう訳か、ここでの事象、つまり人間を殺害した人間の陥る精神状態や症状は、他のあらゆる作品に共通している。
全てがリアルで中村文則作品で一二を争う不朽の名作。
#ブクログ
太平洋を望む美しい景観の港町・鼻崎町。先祖代々からの住人と新たな入居者が混在するその町で生まれ育った久美香は、幼稚園の頃に交通事故に遭い、小学生になっても車椅子生活を送っている。一方、陶芸家のすみれは、久美香を広告塔に車椅子利用者を支援するブランドの立ち上げを思いつく。出だしは上々だったが、ある噂がネット上で流れ、徐々に歯車が狂い始め―。緊迫の心理ミステリー。
感想にも書いたことだけど、現状に満足し、精一杯生きている人間は、ユートピアなどないことを重々知っている。
これは、この作品に限ったことじゃないが、現状を必死かつ満足に生きている人間は過去の栄光に縋ったりはしない。逆に過去の栄光(武勇伝)ばかり語る人間は、現状に満足していないか、怠惰な生き方をしているのであると私は思う。
比較論では決して幸福にはなれないことを教えてくれる一冊。
犯罪防止のため、全国民の頭に埋められたメモリーチップ。「記憶削除」を執行する組織MOCの相馬誠は腐敗はびこる所内の権力闘争に巻き込まれていく。実権を掌握しようとする黒宮の真の目的はなんなのか? そして争いに巻き込まれたストリートチルドレンの悲劇とは? 「消えた9時間」をめぐる戦慄のストーリー! 隠蔽、逃走、復讐劇の果てに、感動のラストが待ち受ける! !
SFサスペンスミステリーの王道。事件を巡ってのバトルが見どころ。伏線が多用されてるため、再読にもぴったり!
これを読んで、人間の記憶を消すことがいかに重いかを学んだと同様、我々は嫌でも自分の記憶と向き合って生きていかなくてはならないと悟った。
これも続編があるため、また後日紹介します。
連続通り魔殺人事件の容疑者“コートの男"を追う所轄の刑事・中島と捜査一課の女刑事・小橋。しかし、事件はさらなる悲劇の序章に過ぎなかった。
“コートの男"とは何者か。誰が、何のために事件を起こすのか。男女の運命が絡まり合い、
やがて事件は思わぬ方向へと加速していく。闇と光が交錯する中、物語の果てにあるものとは。
人間の持つ本性や狂気性を極限まで追求した哲学作品。
この本を読み、現代人は皆疲れており、自らの持つ闇に振り回されているように感じる。ジレンマを感じているように感じた。
生きることは辛くても簡単にはのたれ死ねないとのが人間である。
闇や悪はあらゆるものを超越し伝染するが、それに飲まれないよう、色々な経験から知識を蓄積させることが大切だと思う。
生きづらい世界ですが、共に生きましょう。