広々とあか抜けた大通りよりも、
ひとつ中の道をゆっくりと歩きたかった。
一方通行で、狭くて暗くて、
上を見るとごちゃごちゃしてる。
でも。
小春日和に茂みの中に隠れていることほど
帰ったという気がすることはない。
隠れているが、所在を隠しているわけではない。
ええ、ここに隠れているのです、という
開き直った安定感。
(梨木香歩『ぐるりのこと』)
これ、茂みじゃなくて電線だけどね。
交差点の信号は赤。
ビルに見られたと思ったら、月だった。
いつもの交差点で
見上げた丸い窓は
うす汚れてるぎりぎりの
三日月も僕を見てた
(スピッツ『ロビンソン』)
つい歌ってしまうけれど、
窓丸くないし、三日月じゃないし。
8月だ。
急いで生きる意味はあるのかと
ファドの調べ響く
迷路みたいな路地で見上げた
Agostoの空の月
(ブロ友さん『アルファマの月』)
さてと。
何処へ帰ろうか
何処へ行こうか