桜を見に山へ――
行ってきた。
お弁当を作る予定だったけれど
午後の出発になったので、
つまみを入れた鍋を抱えて。
快調に走っていた車が止まった。
「ここ?」
山の奥の奥に行く、
軽トラックしか通らないような
細くて急な坂に目が丸くなる。
ゆっくりゆっくり進んで、
着いたのは陶芸工房。
あるじがいなくなって今は荒れている。
それを復活させたいらしい。
車を降りると、
連れがレンガを並べ始めた。
いもが食べたいとは言ったけれど、
ここで焼きいも!
懐かしいと体が勝手に動く。
燃えそうな草や木を集めて、
火を点けて、
いもをアルミホイルに包んで、
火が落ち着くのを少し待って、
埋める。
曇り空に桜が満開だ。