沖縄県職員、母校ラサール学園で講演「普天間移設でなく返還を」
2018年12月28日 12:05
「沖縄だけに押し付けるのではなく、みんなで考えてほしい」。名護市辺野古の新基地建設を巡り、政府が土砂投入を強行した14日、県知事公室県民投票推進課の平良和也主査(39)=那覇市=は、母校の中高一貫校「ラ・サール学園」(鹿児島市)で基地問題や沖縄の歴史について講演した。県職員として県民投票に関わる今、沖縄の未来を見据え「一人一人が考える機会にしたい」と県民投票の意義についても訴えた。
平良さんは2003年に県庁に就職。今年10月まで辺野古新基地建設問題対策課に所属し、県民投票条例の制定に向けた対応に当たった。11月からは県民投票推進課に所属している。
母校での講演は進路講演の一環で、修学旅行で今年沖縄を訪れた中学1年と進路を考える高校1年の400人が参加。土砂投入を強行した岩屋毅防衛相は先輩で、政治家や官僚を目指す後輩もいる中、話す言葉に力がこもった。「一つ一つ冷静にロジックを積み上げれば、現状はどれだけ理不尽で結論ありきなものを沖縄が押し付けられているかが分かる」
米軍基地の存在が沖縄経済の最大の阻害要因になっていること、海兵隊は抑止力にならないこと、振興予算に対する誤解などを多角的に説明。「沖縄の歴史を知らずに、いきなり今を切り取っても理解はできない」と考え、琉球処分、沖縄戦、米軍統治下の苦難の歴史についても説明した。
普天間飛行場と新基地建設については「沖縄が何ら代替案を示さずに反対を訴えるだけでは無責任との論調がある。そもそも沖縄に責任はなく、歴史認識が不足しているとしか思えない。必要なのは県内移設でなく返還だ」と訴えた。
後輩からは県民投票の意義に関して質問があった。平良さんは「普天間の固定化につながると主張する人もいるが、ありえない。普天間と辺野古を切り離して考えるべきだ」と強調し、改めて呼び掛けた。「新基地建設の賛否や沖縄の未来を一人一人が考えること。そこに意義がある」(社会部・吉川毅)
平良和也さん