主はエジプトの地でモーセとアロンに言われた。
「この月をあなたがたの月の始まりとし、これをあなたがたの年の最初の月とせよ。（1～2）
イスラエルの民の新しい出発である。それを出発前に聴くことは、神に拠る将来の保証である。「さあ、これから新しい出発だ！」と万軍の主に聴くなら、出発への確かな望みに満たされて力を得るのだ。
イスラエルの全会衆に次のように告げよ。この月の十日に、それぞれが一族ごとに羊を、すなわち家ごとに羊を用意しなさい。（3）
あなたがたは、この月の十四日まで、それをよく見守る。そしてイスラエルの会衆の集会全体は夕暮れにそれを屠り、
その血を取り、羊を食べる家々の二本の門柱と鴨居に塗らなければならない。（6～7）
その羊は感謝の捧げものであり、旅を守る力でもある。その血は鴨居に塗られて印しとなり、裁きからいのちを守るものである。神がその血を見てその家を過ぎこされ、死は通り過ぎるからである。
イエスは彼らに言われた。「まことに、まことに、あなたがたに言います。人の子の肉を食べ、その血を飲まなければ、あなたがたのうちに、いのちはありません。（ヨハネ6：53）
その羊はキリストを象徴して、今信じる者を滅びの死から守られることを現わしている。
屠られる子羊イエスから目を離さない者は救われたのだ。キリストの肉も血も信じる者のいのちとなる。
あなたがたは、次のようにしてそれを食べなければならない。腰の帯を固く締め、足に履き物をはき、手に杖を持って、急いで食べる。これは主への過越のいけにえである。（11）
神の御力を経験した者は、何時でも従う備えをしていなければならない。神はそのためにご自身を経験させてくださるのであり、神のご栄光を現わすためのものである。
その夜、わたしはエジプトの地を巡り、人から家畜に至るまで、エジプトの地のすべての長子を打ち、また、エジプトのすべての神々にさばきを下す。わたしは主である。（12）
反逆の民の長子を打ち、神々を裁くお方は創造主なる神であり、王の王、主の主である。唯一真の力ある神は、万物を創造されたお方であり、万物を正しく裁く権威をもっておられる。
その血は、あなたがたがいる家の上で、あなたがたのためにしるしとなる。わたしはその血を見て、あなたがたのところを過ぎ越す。わたしがエジプトの地を打つとき、滅ぼす者のわざわいは、あなたがたには起こらない。（13）
新約の今はキリストによって律法は完成されてある。キリストの従順の血によって、神の御前に完成してくださったのである。
それゆえキリストを受け入れる者は、何時でも誰でも、信仰によって救われ永遠のいのちに守られる。まことに今は恵みの日である。
神は言われます。「恵みの時に、わたしはあなたに答え、救いの日に、あなたを助ける。」見よ、今は恵みの時、今は救いの日です。（Ⅱコリント6：2）
その血によって、家の中に居る者は人柄や行いには拠らず、長子が打たれることはなかった。それは、神の口から出たことばに拠ることである。唯一なすべきことは家に留まる従順である。
この日は、あなたがたにとって記念となる。あなたがたはその日を主への祭りとして祝い、代々守るべき永遠の掟として、これを祝わなければならない。（14）
神はエジプトを脱出する前に永遠までの掟を定めて命じられた。人が記念とするものはことが起こった後であるが、神は脱出の前に将来への指針を示し掟を定められた。
彼らがエジプトに滞在した期間は４３０年であり、彼らは此処で生まれて生きて来たのである。
ヨセフに導かれた家族から始まり、今や男だけで６０万人という大軍団である。その民が一つ心になってエジプトを旅立つことは生易しいことではない。
しかも、彼らは決して従順な民ではなく、道中で「エジプトは良かった。」と言い出す民なのだ。
それゆえ、ファラオの頑なさが用いられたのである。彼らが繰り返し繰り返し神の奇跡を経験して、イスラエルの民への格別な神の愛を味わったからこそ、神に信頼して一斉に、慣れ親しんだ地を旅立つことが出来るのである。
