イサクは言った。「見なさい。私は年老いて、いつ死ぬか分からない。
さあ今、おまえの道具の矢筒と弓を取って野に出て行き、私のために獲物をしとめて来てくれないか。
そして私のために私の好きなおいしい料理を作り、ここに持って来て、私に食べさせてくれ。私が死ぬ前に、私自ら、おまえを祝福できるように。」（2～4）
イサクは長男のエサウを祝福しようとして命じた。エサウの取って来る肉を好み「私のために」という言葉を繰り返して、私のためにエサウを神の選びとする準備を命じた。
「二つの国があなたの胎内にあり、二つの国民があなたから分かれ出る。一つの国民は、もう一つの国民より強く、兄が弟に仕える。」（25：23）
イサクが主に願ってリベカは身ごもった。彼女が双子に悩んで祈った時、主はご計画を伝えられた。主が弟のヤコブを選んでおられることはイサクも聞いているはずである。
イサクとエサウは同じ弱さを持っていた。二人とも食べ物によって失敗をしている。
エサウは空腹の時に、料理と引き換えに弟ヤコブに長子の権利を売っていた。
ヤコブが「今すぐ、私に誓ってください」と言ったので、エサウはヤコブに誓った。こうして彼は、自分の長子の権利をヤコブに売った。
ヤコブがエサウにパンとレンズ豆の煮物を与えたので、エサウは食べたり飲んだりして、立ち去った。こうしてエサウは長子の権利を侮った。（25：33～34）
人が自由に動いて選択する中で、神の初めからのご計画に至ることがあるのは、神は一人ひとりを知り尽くしておられるということなのだろう。このことは、主に信頼する者にはとても平安なことだと思う。
イサクの計画を知ったリベカは、素早くヤコブを兄エサウに化けさせ、料理を持たせて、目の衰えた父を偽り長子の祝福を得るようにと勧めた。母の計画を聞いた時ヤコブは父を偽ることを恐れた。
「もしかすると父上は私にさわって、私にからかわれたと思うでしょう。私は祝福どころか、のろいをこの身に招くことになります。」
母は彼に言った。「子よ、あなたへののろいは私の身にあるように。」（12～13）
「呪いは私の身にあるように」リベカは即座に、ヤコブの恐れを引き受けた。
すべては言葉に在る祝福を得ようとしているのである。「のろい」という言葉も同じように重いのだ。しかし、リベカが躊躇することがなかったのは、神のご計画を覚えていたからである。
イサクは、母によって変装したヤコブをエサウと思い込んで祝福した。
「神がおまえに天の露と地の肥沃、豊かな穀物と新しいぶどう酒を与えてくださるように。
諸国の民がおまえに仕え、もろもろの国民がおまえを伏し拝むように。おまえは兄弟たちの主となり、おまえの母の子がおまえを伏し拝むように。おまえを呪う者がのろわれ、おまえを祝福する者が祝福されるように。」（28～29）
イサクの祈りは実現する。ヤコブによって人類は豊かな祝福を受けて増えていった。彼を通してキリストの家系とされたことは、ヤコブの神の祝福に対する執着が、神に受いれられたことである。
エサウは煮物を求めたが、ヤコブはキリストの家系を求めて、神の初めの選びに応答したのである。
求めなさい。そうすれば与えられます。探しなさい。そうすれば見出します。
だれでも、求める者は受け、探す者は見出し、たたく者には開かれます。（マタイ7：7～8）
祝福を失ったエサウの怒りはヤコブを殺そうとするが、リベカはヤコブを逃がそうとして、イサクに言った。
「私はヒッタイト人の娘たちのことで、生きているのがいやになりました。もしヤコブが、この地の娘たちのうちで、このようなヒッタイト人の娘たちのうちから妻を迎えるとしたら、私は何のために生きることになるのでしょう。」（46）
イサクは、リベカとヤコブによって図られたことを知った時、神のご計画を思い出したのであろう。ヤコブに神のみこころが成るように祝福して、彼を逃がした。
イサクはヤコブを呼び寄せ、彼を祝福し、そして彼に命じた。「カナンの娘たちの中から妻を迎えてはならない。
さあ立って、パダン・アラムの、おまえの母の父ベトエルの家に行き、そこで母の兄ラバンの娘たちの中から妻を迎えなさい。
全能の神がおまえを祝福し、多くの子を与え、おまえを増やしてくださるように。そして、おまえが多くの民の群れとなるように。（28：1～3）
夫婦は神の御前には一体であり、信仰も一つである。互いにみことばを分かち合うことは、家族の平和のためにとても大切なことである。
