京の昼寝~♪

なんとなく漠然と日々流されるのではなく、少し立ち止まり、自身の「言の葉」をしたためてみようと・・・そんなMy Blogに

「スイート・ホーム」/原田マハ

2021-09-08 | Book


宝塚の高台の街にある小さな洋菓子店「スイート・ホーム」。

店を営む幸田ファミリーを中心に、常連客や友人とのささやかな
日常を切り取り描かれていく。それは起伏のあるものではなく、
誰もが過ごすごく普通の日常生活の欠片。

何気ない日常のひとこまひとこまが優しくて温かくて少しほろ苦い。

主人公・幸田陽皆(ひな)を中心に、家族・友人・店の常連さん等々、
日々の関わり合いの中で、少しずつ誰しもが経験し、
試行錯誤を繰り返しながら生きてゆく過程と、
それぞれの人間が成長していく姿を描き出していく。

何冊か原田さんの作品を読みましたが、この本は、
人としての優しさと温かさ、
そして、街の香りと
スイーツの匂いを堪能することが出来ました。

実際、原田さんも大学時代、宝塚市に近い西宮で暮らしていたそうだ。

横浜の山手とはまた違った色合いと雰囲気が、
宝塚の山手はあるような気がします。
阪急宝塚駅から花のみちを通って「手塚治虫記念館」に
行ったことのことを思い出しました。 

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「チキンラーメンの女房 実録 安藤仁子」

2019-01-31 | Book

 

現在、NHKで放送されている朝ドラの「まんぷく」。
そのヒロインのモデルとなったのが安藤仁子。 
日清食品創業者・安藤百福の妻だ。
もちろん、TVは観ているが、書籍が出ているというので並行して読んでみた。

安藤百福との出会いはまさに波乱万丈の人生で、
何度も何度もどん底生活に経験しながらも、
まさに読んで字のごとく「七転八起」の人生そのもの。

TVで描かれている福子(仁子)とこの本で読んでいる仁子は
若干違っている印象だが、何事にも夫を信じて支えとなっている部分は、
まさに「内助の功」そのもの。」
安藤百福のその後の成功は、はやり仁子の“忍”の一字のおかげ。
夫唱婦随、二人三脚の夫婦見本だろう。

さて、ドラマはどんなふうに終わらせるんだろう(笑)

 「カップヌードル ミュージアム」/横浜

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「フォルトゥナの瞳」/百田尚樹

2015-05-13 | Book

「フォルトゥナの瞳」/百田尚樹

 
図書館で予約して、半年かかってやっと借りることができました


幼い頃に両親と妹を亡くした木山慎一郎には、友人も恋人もいない。
一日中カーコーティングに終始して働き続け、帰って寝るだけの生活。
夢も自信も持てない孤独な人生だった。 その日までは・・・。


もし、人の「死」が予見できたとしたら、貴方ならどうしますか?
そしてそれが自分の大切な人だとしたら、
或いは前途ある子供たちだったとしたら、
自分の命を削ってまで、あるいは自分の命と引き換えに、
その人たちを救うことが出来ますか?


― この本を手に取った瞬間にあなたの「運命」が、
変わるかもしれません。 ―


筆者のこの言葉はまぎれもなく、貴方を試すことでしょう。
そして、最後の最後の仕掛けも秀逸です。

“運命”であれば、仮に変えることが出来たとしても、
“宿命”というものはそうそう変えられるものではないでしょうけど・・・。

あなたならどうする~♪って歌がありましたが、
この本を読んで、あなたならどうしますか(笑)?

一気に読めます ぜひ、ご一読を~

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「肉小説集」/坂木 司

2015-02-10 | Book

「肉小説集」/坂木 司(KADOKAWA)

 

【肉小説集(2015/2/6読了)】


豚足×会社を辞めて武闘派として生きる元サラリーマン。
ロースカツ×結婚の許しを得るべくお父さんに挑むデザイナー。
角煮×母親に嫌気がさし、憧れの家庭を妄想する中学生。
ポークカレー×加齢による衰えを感じはじめた中年会社員。
豚ヒレ肉のトマトソース煮込みピザ風×片思いの彼女に
猛アタックを試みる大学生。
生ハム×同じ塾に通う女の子が気になる偏食小学生。
肉×男で駄目な味。

今までとちょっと違った坂木さんの切り口の小説でしたが、
坂木さんが肉を買いに肉屋さんに行ったとき、
豚の部位の写真を見てこの小説を書いてみようと思ったそうです

特に中年会社員のくだりと、
ハムに拘る小学生に哀愁と寂寞の思いあり(笑)
小学生の頃、放課後珠算に行く前に肉屋さんに寄り、
どうやったらこんなに薄く切れるのだと思うほど、
ペラペラに切って揚げられたハムカツの味は今でも
忘れられないし、中学生の頃に初めて食べた生ハムは、
擦り傷で血を舐めたときの血の味にソックリ(笑)

それぞれに、姿形は違うのだけど、
どこか人物描写の根底とそのキャラクターに、
ホリデーシリーズの面々の影が見え隠れしたりして(笑)

装丁を見て、馬の部位も思い出しちゃいましたよ

馬んざい

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「御松茸騒動」/朝井まかて

2015-02-04 | Book

「御松茸騒動」/朝井まかて



算術が得意な江戸育ちの尾張藩士・小四郎はそれを活かして
藩財政の立て直しを夢見ていた。 しかしながら、身内に、武士でありながら
刀を盗まれるという一大事。 そのせいで「御松茸同心」を拝命。 
今までと180度違う生活に戸惑いながら、ノルマは殿への
上納2000本。 尾張の山守に助けられながらも松茸不作の原因を
探る日々が始まった。 やがて小四郎は、山に魅せられ、
自分の生きる道を切り開いてやがて、幕府に蟄居を命じられた
傾奇大名・徳川宗春公の幻影までちらついて。

今までのまかてさんの小説のテイストは十分活かされていましたが、
今までの作品に登場するキャラクターに比べると、
やや強烈な個性が出ていない分、変化の無いものになっていました。
「御松茸同心」ってどころの着眼点はユニークでしたが、
小四郎の苦心、苦学、体得等、そしてそれに纏わる
彼を取り巻く人たちのキャラが、残念ながら活かされきれずに、
最後の最後の作品の山を築けず静かに終わったという感じ。
彼女の文章力は、思わず惹き込まれてしまう不思議な力を
持っているにもかかわらず、今回は割りと平坦で、
すんなりと結ばれた感じで。
今までが凄すぎたのかもしれないなぁ(笑)

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「神様の休日-僕らはまためぐり逢う-」/岡本貴也

2015-01-15 | Book

「神様の休日-僕らはまためぐり逢う-」
岡本貴也(幻冬舎)

 
 

 これが事実にそった話だと聞いて、
あの日、あの時、自分も電車の中に閉じ込められ、
1時間かけて家まで歩いたときの、
今までに感じたことのない寂しさをまた思い出してしまった・・・。

すべてを失った主人公は、生きるために、
復元納棺師となって、数々の死と対面する。

22歳のフリーターの彰紀は、地元の美容師・えり奈と出会う。
初めて愛に触れた彰紀は、周囲の反対を押し切りえり奈と結婚。
家族を守るために漁師になって必死に働き出す。
長男も生まれ、二人目の出産を控えた幸せの最中、東日本大震災が起こる。
長期間の漁のため、船に乗っていた彰紀が初めて次男を抱いたのは、
泣くことも、笑うこともできない冷たくなった我が子だった。
すべてを失った彼は、故郷を離れ、ひとり死ぬことを考える。
死ぬこともできなかったある日被災地でボランティアとして
働いている復元納棺師の存在を知る。
死ぬ前に、自分にはできることがあるかもしれない、と弟子入りする。

通勤電車の中でこの本を読んでいたのだが、
何度も涙が出るのを堪えられなかった。
実際にあの地震や津波を経験し、
やっとえり奈と出会って人を愛し信じることを覚え、
二人目の子供が産まれてすぐに、
愛する妻と可愛い子供は津波にのまれてしまった。
東日本大震災のほんの一部の家族の物語かもしれない。
きっとこんなストーリーがあの後、たくさんあったのだろう。

十分な復興も無いままに、それでもその地に残り、避難生活を
送っている人たちの気持ちはわからない。 だけど、この中で、
まだ見つからずに見送ってやることができないから
この土地を離れられずにいる。 それが事実。

そして自分の悲しみを乗り越えて、愛ある送り人になった主人公。
ふと、忘れそうになっていた『おくりびと』を思い出した。

今年も3.11が来る。 あれから4年・・・。

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「阿蘭陀西鶴」/朝井まかて

2015-01-09 | Book

「阿蘭陀西鶴」/朝井まかて(講談社)



恋歌」で直木賞を受賞した朝井まかてさんの新作。
江戸前期に俳諧師・浮世草子作者として活躍した井原西鶴。
言うまでもなく、「好色一代男」、「世間胸算用」、「好色五人女」等の
浮世草子で知られている。 俳諧師としては、大矢数俳諧を敢行し、
一昼夜に多数の句を吟じ、23,000句を休みなく発する興行を
打ったこともあるが、その異端ぶりから、「阿蘭陀流」とも呼ばれた。
そんな西鶴の立身出世を、盲目の娘おあいの心象風景を通して描いていく。

あおいは9歳で死別した母みずゑから、盲目でも憂き世を生きられるよう、
音と匂いと手触りで生活する術を叩き込まれる。 なので料理も裁縫も、
健常者以上になんなくこなすのだった。
大きくなって、西鶴に習い、ひらがな五文字も書けるようになる。
亡くなった母と名を馳せた父に愛されながら、
ハンディをもったおあいは健常者以上に何でもこなし、
またハンディがあるが故に様々な部分で敏感で繊細な心を持つ。
また、あおいと女中・お玉のやりとりも面白いし、弟子たちとの係わり合いも
涙と笑いもものがたり。

さらに松尾芭蕉との確執や近松門左衛門との交流。
創作に一切妥協なし。 傍迷惑な天才作家・井原西鶴の人となりを、
娘・おあいの感性あるフィルターを通して描いていく。
このあたりは作者の他の作品にも共通する、
温かい血の流れを感じずにはいられない。

関西と関東の趣向の違いや芸の違いが、
人間づきあい同様、面白おかしく描かれているところは秀逸だ。

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最近読んだ本

2014-12-22 | Book

 「殉愛」/百田尚樹(幻冬舎)

 大学時代にたかじんのライヴを見たことがある。
 今、世間ではこの本の真意とさくら夫人の履歴がネット上で氾濫している。
 プライバシーのない恐ろしい世の中になったものだ。
 百田氏が仮に脚色して美談に仕上げているかもしれないが、
 過去にどんなことがあったとしても、この身を削ってでも徹底的に
 看護した彼女の生き方には頭が下がる思いだ。
 この本を本当に読んだ人だけが感じ考えればいいだけのことだ。
 でも、たかじんが死んだことで関西のTVは面白くなくなって
 いることは否めない事実だ。 「ドクターX」でも登場しないと(笑)

 

 「死に支度」/瀬戸内寂聴(講談社)

 瀬戸内寂聴(当時晴美)さんの書籍は大学生の頃良く読んだ。
 もちろん寂庵にも行ったことがある(ベルボトムのジーンズが殿中でござる状態で)。
 著者が「90歳を機に、どんな死を迎えるべきか考えようと書き始めた」という物語。
 だが中身は91歳の誕生日を目前にした寂聴さんと、寂庵で長年付き添った
 女性スタッフたちとの、共に過ぎ去り日を振り返り、改めて自身の足跡と人との
 係わり合い、スタッフの共栄等々、それを面白可笑しく語っている回想録のようなもの。
 永らくの(作家としての)ライフワークと寂聴式エンディングノートのような。


 「ミッキーは谷中で六時三十分」/片岡義男(講談社)

  ・ミッキーは谷中で六時三十分
  ・三人ゆかり高円寺
  ・酔いざめの三軒茶屋
  ・お隣のかたからです
  ・タリーズで座っていよう
  ・吉祥寺ではコーヒーを飲まない
  ・例外のほうが好き

 片岡義男といえば代表作「スローなブギにしてくれ」。
 映画化もされたが、どちらかというと主題歌を歌った
 南佳孝の楽曲の方が記憶に残っている。
 ここでは、喫茶店を中心に、色んな人間模様が繰り広げられ、
 その中で人間同士の“化学反応”を起こさせる。
 谷中、高円寺、祖師ヶ谷大蔵、三軒茶屋、経堂、下北沢、吉祥寺、渋谷と
 東京のあちこち町での出会いを描き出していく。 あくまで片岡義男の流儀で。

 

 「この部屋で君と」/朝井リョウ・坂木司他(新潮社)

  ・それでは二人組を作ってください/朝井リョウ  
  ・隣の空も青い/飛鳥井千砂  
  ・ジャンピングニー/越谷オサム  
  ・女子的生活/坂木 司  
  ・鳥かごの中身/徳永 圭  
  ・十八階のよく飛ぶ神様/似鳥 鶏  
  ・月の沙漠を/三上 延  
  ・冷やし中華にマヨネーズ/吉川トリコ

 人は誰かと出会い、そしてその延長線上で“一つ屋根の下”に暮らすようになることもある。
 そこで様々なドラマが展開される。 腐れ縁の恋人たち、趣味の似た女の子同士、
 傷心の青年と少女、出張先の先輩と後輩、住みついた妖怪と僕等々、8人の作家が
 それぞれの感性で、また様々なシチュエーションで描いているオムニバス小説。
 この本を選んだのは、坂木 司さんの書いたものが読みたいと思ったのがキッカケ。
 今では当たり前の夫婦生活も、元を質せば別々の男女。
 ふと、自分たちの足跡を思い返したりして(笑) 

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「地図のない場所で眠りたい」/高野秀行・角幡唯介(講談社)

2014-12-19 | Book

「地図のない場所で眠りたい」
高野秀行・角幡唯介(講談社)

 
W大学探検部の先輩後輩で、現在作家が生業の二人が、
自分たちの生い立ちと探検部の面々の出会いを面白おかしく
語った対談集がこれです。

タイトルの「地図のない場所で眠りたい」ってところに
興味を持って読んでみた作品でしたが、実に面白い
久しぶりに昔のクラブの連中と会って、あの頃はどうの、
あいつはどうのって昔話に花咲かせる他愛のない思い出話に、
二人は探検(冒険)というテーマを主軸に据えて語り合っている。

二人がそもそも探検家になるきっかけとなった子供の頃に夢中になったものや
W大探検部で出会った個性豊かな(変わり者)OBたちの様子、また
旅先で起こったエピソード等々、新鮮に伝わってきます。

そして、何故“冒険”ではなく“探検”なのか
また、探検部には何故作家が多いのか
自分たちが読破したお薦めの探検本や自身の著書を紹介しつつ、
何とはなく、頭の中に地図を置きつつ、旅してる気分になる一冊です。
川口探検隊の話なども出てきたりして(笑)

第1章 僕たちが探検家になるまで
第2章 早稲田大学探検部
第3章 作家として生きること
第4章 作品を語る
第5章 探検の現場
第6章 探検ノンフィクションとは何か 

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「鑑定士と顔のない依頼人」/ジュゼッペ・トルナトーレ

2014-12-17 | Book

「鑑定士と顔のない依頼人」/ジュゼッペ・トルナトーレ
訳:柱本元彦(人文書院)

 

映画好きでなくてもトルナトーレ監督の名前は聞いたことがあるだろう。
名作『ニュー・シネマ・パラダイス』を観たことがない人は
ある意味損をしているかもしれない。

 映画の感想はこちらで 『鑑定士と顔のない依頼人

トルナトーレ自身の初小説。 ただ、これは映画の台本でもノベライズでもない。
監督自身がこの本の中で、「きちんとしたシナリオの完成を待つあいだに、
主要な登場人物を演じる俳優たちの関心を高め、最初の協賛金を募り、
プロデューサーとの合意事項を決定し、配給会社に支払う前金を
確保するために書かれたものだと言っている。
つまり1本の映画を作り上げるためのベースになる本がこれだ。
映画を観て感動しただけに、何もかもが無駄がなく、どんどん映画とは
別の感覚で惹き込まれていく。 むしろ、要約されているが完成されたもの。
今までのトルナトーレの作品が、こういうベースを軸に製作されて
きたのだとすれば、これと同様に読んでみたい気がする。

主人公ヴァージルは美術と骨董の世界に暮らす初老の鑑定士であり
オークショニア。 姿を現さない鑑定依頼人の若い女性クレアの物語。
想像の世界でなく映像として勝っている部分はやはり彼の女性の
絵のコレクション。 あれがなければ成立しない。
映画のラストシーンは観る者にある疑問を投げかけたままで終わる。
その疑問は、この本を読めば明らかに理解できるのだ。
映画を観た人も是非読んで欲しい。

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「ハリウッドと日本をつなぐ」/奈良橋陽子

2014-12-15 | Book

「ハリウッドと日本をつなぐ」/奈良橋陽子(文藝春秋)

 

これは映画を好きな方ならぜひ読んでおいたほうがいい本ですよ
日本ではあまり馴染みのないキャスティング・ディレクターの
第一人者と言っていい奈良橋陽子さん。

最近は『ラスト・サムライ』、『SAYURI』、『バベル』、『47 RONIN』等々に参加。
また自ら『終戦のエンペラー』をプロデュース。
渡辺謙や菊地凛子、桃井かおり、真田広之などを国際俳優にする
きっかけをつくった人としても知られている。
また、その昔はゴダイゴのヒット曲を作詞したりも手がけたりしていた。

彼女自身は少女時代をカナダで過ごし、ニューヨークで演劇を勉強した。
そしてその後俳優養成所「アップス・アカデミー」を設立。 別所哲也、
川平慈英、藤田朋子、今井雅之、オダギリ・ジョーなどを育ててきた。
彼女が今まで様々な角度で映画に係って来た経歴が、実に楽しく
描かれていて、ハリウッド俳優との接点も多く語られている。
この本を読んだうえで、もう一度、彼女が携わった作品を観たら、
違った感想が持てるかも・・・。

そうそう、現在放送中のNHKの朝のドラマ、「マッサン」のヒロインである
シャーロット・ケイト・フォックスを発掘してきたのも彼女です

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「癒し屋キリコの約束」/森沢明夫

2014-11-27 | Book

「癒し屋キリコの約束」/森沢明夫(幻冬舎)

 

森沢さんの小説に触れたのは、先日公開された、
ふしぎな岬の物語』の原作、「虹の岬の物語」。
これは氏の新作だったようなので即図書館に予約して入手

昭和歌謡を流す純喫茶「昭和堂」の有村霧子。
四十路の容姿端麗な女性だが、金にはがめつく、性格はだらしない。
営業中でも、お気に入りのロッキングチェアに腰掛けて、
漫画片手に昼間からビールを飲むのが日課。
雇われ店長として働く20代の女性・カッキーと、愉快な常連客たちが
居るから、なんなく店は成り立っているようなもの。

実はこの「昭和堂」の霧子、やや怪しいものだが、
巷の人々の悩みを解決する、なんと「癒し屋」という側面を持つ。
いや、むしろこっちが本業(笑)
依頼者が持ちかける無理難題に、霧子の奇想天外なアイディアで、
悩みを解決していく。 そんなある日、店に霧子への殺人予告が届く。

前作と同様舞台は喫茶店。
前作の悦子さんも本作の霧子さんも“癒し”が共通項。
でも、180度違う体質(性格)。 そこが逆に面白いテイストを生んでいる。
様々な人たちの悩みを癒していく半面で、ある深い傷を追っている霧子。
最後は仲間たちに逆に癒されて、ホロッとさせる小説だ
騙されて読んでみたらハマります、きっと(笑)

そして、
昭和の時代の楽曲の1フレーズもサブタイトルで 

プロローグ
【あなたを連れてゆくよ 手を離さないで】
 (YES-YES-YES/オフコース)

第一章
【探すのをやめた時 見つかる事もよくある話で】
(夢の中へ/井上陽水)

第二章
【いつかは誰でも 愛の謎が解けて 一人きりじゃいられなくなる】
(サムデイ/佐野元春)

第三章
【しあわせは誰かがきっと 運んでくれると信じてるね】
(想い出がいっぱい/H2O)

第四章
【浅い夢だから 胸をはなれない】
(初恋/村下孝蔵)

第五章
【時間旅行が 心の傷を なぜかしら埋めてゆく 不思議な道】
(異邦人/久保田早紀)

第六章
【幸せになりたい 気持があるなら 明日を見つけることは とても簡単】
(元気を出して/竹内まりや)

第七章
【京は倒れた旅人たちも 生まれかわって歩き出すよ】
(時代/中島みゆき)

エピローグ
【ああ日本のどこかに 私を待ってる人がいる】
(いい日旅立ち/山口百恵)

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「死ぬときに後悔すること25」/大津秀一

2014-11-20 | Book

「死ぬときに後悔すること25」/大津秀一
(致知出版社)

 
定期的に検眼に行っている院長(女医)から薦められた一冊です。

人は死を前に必ず自らの人生を振り返り“後悔”するという。
むしろ後悔しない人生を送れたら最高の人生なのだろうが・・・。

これは、終末期医療の専門家である著者が、
1,000人超の患者たちと死の直面に対峙し、
彼らがそれぞれに吐露した「やり残したこと」を紹介しています。
人には誰もが当然に最期を迎えます。
エンドレスノートではないですが、
まだまだ自分には先があると思っている若い方々に、
この本を走り読みしてもらえばと思います。

 1. 健康を大切にしなかったこと
 2. たばこを止めなかったこと
 3. 生前の意思を示さなかったこと
 4. 治療の意味を見失ってしまったこと
 5. 自分のやりたいことをやらなかったこと
 6. 夢をかなえられなかったこと
 7. 悪事に手を染めたこと
 8. 感情に振り回された一生を過ごしたこと
 9. 他人に優しくなかったこと
10. 自分が一番と信じて疑わなかったこと
11. 遺産をどうするかを決めなかったこと
12. 自分の葬儀を考えなかったこと
13. 故郷に帰らなかったこと
14. 美味しいものを食べておかなかったこと
15. 仕事ばかりで趣味に時間を割かなかったこと
16. 行きたい場所に旅行しなかったこと
17. 会いたい人に会っておかなかったこと
18. 記憶に残る恋愛をしなかったこと
19. 結婚をしなかったこと
20. 子供を育てなかったこと
21. 子供を結婚させなかったこと
22. 自分の生きた証を残さなかったこと
23. 生と死の問題を乗り越えられなかったこと
24. 神仏の教えを知らなかったこと
25. 愛する人に「ありがとう」と伝えなかったこと

そして自分自身も、当たり前のサラリーマン生活の中で、
やり残してもいいから、やっておきたいことを、
ひとつずつ書き出して、つぶしていきたいと思います。
儚い(墓無い)人生のピリオドを打たないためにも。
中でも16、17、25は必ず。

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「勝ち逃げの女王」/垣根涼介

2014-11-14 | Book

「勝ち逃げの女王」/垣根涼介(新潮社)

  

シリーズ第三作、『張り込み姫 ―君たちに明日はない3―』を、
この本を読む前に復讐・・・もとい復習の意味で読んでおきました

このシリーズの描かれる主軸となるのは、
リストラ請負人(面接者)被面接者の攻防戦

 勝ち逃げの女王(会社更生法が適用された航空会社のCA)
 ノー・エクスキューズ(バブル崩壊の象徴となった大手証券会社の元社員)
 永遠のディーバ(一芸入社枠のある有名楽器メーカー)
 リヴ・フォー・トゥデイ(大手外食レストランチェーン)

面白いのは、単にバッサリとリストラを断行するのではなく、
対峙する被面接者のそこに至るまでの“成り”を描き、事務的な
やり取りで済ますのではなく、人間味を帯びたやり取りの
存在の中にこそ、この小説の味わいの深いところなのだ。

主人公・真介だけではなく、真介の彼女・陽子とのキャッチボール、
また、面接アシスタントの川田嬢のつかみどころのない会話が、
適度に緊張を解してくれる。

前作では「みんなの力」、本作では「永遠のディーバ」が良かった
好きな仕事を継続するための努力や、いいブレーンとのめぐり逢い、
一度は諦めた夢に向って再出発することの大切さ
リストラとは、本来の自分が向うべき道を、
改めて示唆してくれているのかもしれない。

明日は我が身かな(笑)

“ひとはだれもただひとり旅に出て 人は誰もふるさとを思い出す
何かを求めて振り返っても そこにはただ風が吹いているだけ”

なんちゃって・・・(笑)

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「虹の岬の喫茶店」/森沢明夫

2014-10-08 | Book

「虹の岬の喫茶店」/森沢明夫(幻冬舎)

 

小さな岬の先端にある喫茶店。 女店主が入れてくれる美味しいコーヒーとともに、
訪れた人の人生に、まるで寄り添うかの音楽を選曲してくれる。 そしてなぜか
わかりにくいこの小さな店に、引き寄せられるように集まり、わずかばかりの
女店主との何気ない語らいの中で、訪れた人は不思議に心の傷を癒している。

森沢明夫氏の前作「あなたへ」は高倉 健主演で映画化された
(『あなたへ』降旗康男監督)。 そして本作は主人公を吉永小百合が
主演で『ふしぎな岬の喫茶店』と改題して上映予定。
この喫茶店のモデルは実際に千葉県は鋸南町の明鐘岬に実在し、
著者はこの店をモチーフに執筆した作品なのだそうです。

これは6編からなる中篇小説。
喫茶店の女主人、悦子を中心に人が集い、
不思議に訪れた人たちが癒しの時間を与えられる。
妻を亡くしたばかりの夫と幼い娘、卒業後の進路に悩む男子大学生、
やむにやまれぬ事情で喫茶店へ盗みに入った泥棒など、
それぞれ心に傷を抱えた彼らの人生は、この喫茶店と
悦子との出逢いで一転する。そして老いらくの悦子の恋も。

この心に優しいストーリーに感動した。
都会に居たら、そして舞台が海の見える岬の喫茶店だから、もしかしたら、
ゆっくりと自分の人生を顧みることが出来たのかもしれない。
そして、その人生のなかの隠し続けた誰にも言えなかった傷を、
気が付けば初めて会った女主人に包み隠さず話していた。
読み手の心が何ともホットになる、温かい作品だ

もちろん、映画化になるので読み始めたのだが、吉永小百合と鶴瓶しか
キャストを知らなかったので、変な色が付かずに読むことが出来た。
内容について詳しい話はしたくない。 これから映画を観る方も、
この原作を読んでいない方がいたら、是非読んでおいて欲しい作品だ
僕が最近読んだ小説の中では、特にお気に入りの一冊
癒されたくなったら、また読んでみたい作品だ。

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