現実 対 虚構 ~ シン・ゴジラ

2023-05-06 22:17:43 | 映画

 この連休の間に観ようと思っていた映画の一つ。
映画館で何度も観て、DVDも買って、今でも時々、観る。
何が”現実”で、何が”虚構”か。
この三年間のウイルス騒ぎを追体験するようでもある。

一作目の「ゴジラ」を観れば、
実は「シン・ゴジラ」が似ている事に気が付く。
ゴジラが殆ど出て来ない、
当時の浮かれた世相を揶揄する描写、等。
「ゴジラ」の制作の動機には厭世観もあったと、
何かに書かれていたようにも思う。

全体に溢れる「エヴァンゲリオン」の雰囲気には、閉口した。
楽曲の使い回しに至っては、言語道断。
ゴジラを駄目にしたと憤る方も居られるだろう。
ここぞという場面で御気楽な曲が流れて、
目が点になる事も、ある。

チャンネル桜で取り上げられた際に、
藤井先生が「皇居ですよ。」と仰っていた。
それは、東京駅前であれだけの状況を描きながら、
天皇や皇居や皇室に全く触れていない事を批判した
発言だったと記憶している。
私も初めて劇場で観た際、「皇居、皇居、」と思ったが、
最後の場面を正に、
”現実”対”虚構”の最たるものとして表現して、
「どうするんですか?」と問い掛けていると思った。
加えて、日本を蹂躙する”虚構”を、
日本そのものである天皇という”現実”が押し止める、
とも解釈した。

しかしながら、
映画全体に整合性を感じられないところからすると、
全体の造りを他人事感の溢れた”虚構”にし、
”現実”として対処しているつもりが、
実際には現実それ自体も”虚構”と化していないか、
と問うているのが本筋とも思える。
”現実”の”虚構化”。
それが、「シン・ゴジラ」の問題提起かも知れない。



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