新古今和歌集の部屋

歌論 正徹物語 上 41、42



41
戀哥は女房の歌にしみ入りて面白きおほき也。式子内親王の
生きてよも (恋歌四 1329)
我のみしりて (恋歌一 1035)
などの哥は、幽玄の哥と也。俊成の女の
みし面かげも契りしも (恋歌五 1390)
宮内卿が
聞くやいかに (恋歌三 1198)
などやうに骨髄にとをりたる哥は、通具、攝政などもおもひよりがたくやあらん。

42
俊成女の

哀れなる心長さのゆくゑともみしよの夢をたれかさだめん (新宮撰歌合)

極まる幽玄の哥也。其夜の蜜事をば、其人と我ならでは知らぬ也。只獨り心長く待ち居たるをも人がしらばこそ、有りし契りをも夢とも定めずれといひたる心也。
生きてよも(恋歌四 1329)
の哥も人にいひかけたるにてはなき也。只獨り居て生きて明日までながらふべき心地もせず、とふべきならば今夜とへかしと歎きゐたるにてある也。
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