これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

金運アップ! 高尾山

2015年10月29日 21時46分38秒 | エッセイ
 同僚の幸枝と高尾山に行った。
「えっと、ケーブルカーの切符売り場はどこ~?」
 彼女は当たり前のようにケーブルカーに乗る気でいたが、私は視界良好のリフトにしたかった。
「リフトにしない?」
「へ? リフト? 別にいいけど」
 いやあ、これですよ、これ。



 小さな子供や高齢者には勧めないが、普通に動ける人なら断然こっちでしょ。
 寝ぼけた頭も、山の空気に触れてシャキッと目覚める。山上駅につくと、ハスカップソフトが待っていた。



 少々酸味があって爽やかである。暑い時期に食べたら、もっとありがたく感じたかもしれない。
 先に進むと、情報誌に載っていた「たこ杉」があった。何とユニークな形をしているのやら。



 分岐を右に曲がり4号路へ。ハイキングコースはいくつもあるが、このルートにはつり橋があり、幸枝のリクエストだ。



 しばらく登っていくと、山頂にたどりつく。



「わあ、キレイ~!」
「晴れてよかった」
 雨女2人の割には天気がよく、幾重にも重なった稜線がくっきり見える。



 遠くに浮かぶのは、大好きな富士山。しばし見とれてしまった。



「ねえ、ビール飲みたい」
「いいねぇ」
 時計は10時半を回ったところだ。まだ食事には早い。売店でポテチと柿の種を買い、つまみにした。



「それじゃ、そろそろ行きますか」
 一杯飲んだあとは下山する。帰りはおみやげを買うため、高尾山薬王院のある1号路を選んだ。



 高校受験を控えた甥のため、合格祈願の「置くとパス」に向かう。木製のタコを持ち上げ、静かに置くと願いが叶うのだとか。めでたく志望校にパスしたら、何かご褒美をもらわなくては。



「お姉さんたち、さっき天狗が飛んでたけど、見たかい?」
 何の前置きもなく、老紳士2人組が突拍子もない話を振ってくる。
 それもそのはず、こんな標識が立っているのだから。



 ところで、この薬王院には、恋愛運と金運アップのご利益があるそうだ。
 幸枝は迷わず恋愛運を選んでいたが、私は金運しか眼中になかった。



 八大龍王堂には浄財用のザルがあり、すかさず1万円札を洗う。これを大事にとっておくと、どんどん増えていくらしい。ああ、楽しみだ!
 金運アップのお守りも購入し、お金がやってくるのを待つ。



 薬王院を出て、さらに下っていくと、桑ジェラートなる看板が目に入った。希少価値のあるものには弱い。



 しかし、売店のお兄さんから渡されたのは、おそろしく不格好なソフトクリーム。味は悪くなかったけれど、もっと練習してもらいたい。



「まだ入るから、次はごま団子ね」



 これもなかなか。団子の割には軽くて食べやすかった。調子に乗って、天狗焼きにまで手を出す。



 1個140円。焼き立てで、皮はパリパリ、餡はホカホカ。その日食べたうちでは、一番美味しかった。
 帰りはリフトに乗らず、高尾山口駅を目指して歩く。10分もすると、すねやお尻に負荷がかかり、下りのほうがきつかった。
「あっ、蕎麦屋さんが何軒もある!」
 高尾山の名物はとろろそばである。あれだけ食べても、何やら物足りなくて、天ぷらつきの蕎麦にした。



「うまーい」
 この瞬間に「幸せだなぁ」としみじみ感じた。
 山頂での素晴らしい景色、美味しい食べ物、荘厳なお寺、心地よい疲労感、かすかな酔い……。家と職場の往復だけでは得られない、非日常の世界は何と充実しているのだろう。
 次の日からはまた仕事が待っているが、この幸福感さえあれば、しばらくは頑張れそうだ。来てよかった。
「じゃあ、また明日」
「気をつけて」
 幸枝とは帰るルートが違う。早々に別れて帰路に就いた。
 翌日。出勤してレターケースをのぞくと、手紙が入っていた。
「笹木砂希様。勤続25年の特典として、旅行券が支給されます」
 えっ、もうご利益あったの?!


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自家製カーボン

2015年10月25日 18時23分34秒 | エッセイ
「お母さん、カーボン紙持ってない?」
 昨夜、娘が困った顔で尋ねてきた。
「ないよ。使わないし」
「なら、明日ダイソーで買うしかないか。何時オープン?」
「10時」
「遅い」
 どうやら、明日が友達の誕生日だから、仲間内でアルバムをプレゼントをするらしい。娘は友達の名前と誕生日を、アルバムの表紙に貼りつける係なのだという。パソコンで打ち出した文字をアクリルシートに写すとき、カーボン紙がないとできないことに気づいたようだ。
 時計は午後11時を指しており、店はとうに閉まっている。もっと計画的に準備すればいいのに、平成生まれは時間の感覚が足りない。
「どうしよう」
 あるもので何とか工夫するのが昭和生まれである。私には、すぐに解決策が浮かんできた。
「2Bの鉛筆持ってる?」
「うん」
「これで紙に色をつけて、自家製のカーボン紙を作ってみたら」
「え?」
 いらない紙で十分。芯を寝かせて何度も往復し、広い面積に線を描く。



 これをアクリルシートの裏側に挟み、カーボン代わりに使ってみる。文字の輪郭を、ボールペンなどの硬いものでなぞってみると……
「あっ、写った! すごいすごい」
「でしょ」
「これで明日の朝までにできるよ。お母さん、ありがとう」
「どういたしまして」
 夜中に作業を終え、朝方にはプレゼントが完成していた。
 実は、子どものとき、好きなキャラクターを写すためにやったことがある。
 たとえば、こんなキャラクター。



 娘が作った自家製カーボンを使い、せっせとボールペンを動かした。
 昭和の時代、100均はおろか、携帯やパソコンも存在しなかった。知恵と工夫で、やりたいことを実現するしかなかったのだ。そんなことを思い出しているうちに、写し絵が完成した。



 こんなチャチいカーボン紙でも、十分機能するのだ。
 キャラの選択にも、昭和テイストが漂っているでしょ。


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群馬でナイトサファリ

2015年10月22日 21時03分04秒 | エッセイ
 ナイトサファリ目当てに、大学1年の娘と群馬サファリパークへ行った。
 入場券の販売は午後4時半からだが、4時過ぎから行列ができるほどの人気である。
「お客様は5時50分発のバスとなりますので、10分前に集合場所にお集まりください」
 出発は日没後なので、夏季は7時くらいになるそうだ。園内をうろつき、時間つぶしをした。
「お母さん、リクガメだって」
 ちょうど、係員がエサをやっている時間だった。



 旺盛な食欲で、バリバリと平らげていく。見ていて気持ちがよかった。
 ここは、愛想のいい動物が多い。
 


 不意をついて出現したガンダムの乗り物……。



「なにこれ~!」
「超ウケる!」
 ガンダムファンとしては、乗りたがるチビっ子がいたら、頭をナデナデしてあげたい。
 誰も見ていなかったら、こっそり乗っちゃうかも……。
 ソフトクリームも食べた。



 買ったあとでわかったのだが、バナナとチョコの「タイガーソフト」がイチ押しだったらしい。チョイスをしくじった。
「お待たせしました。5時50分発のバスの方、こちらにお集まりください」
 あたりはすっかり暗くなっている。いよいよである。
 まずは、草食動物から。
 見事なヒップだが、こちらを向いてくれないシマウマ。



 残念ながら、写真を撮れないまま通り過ぎる。
「次はトラのエリアになります」
 猛獣とあって、ゲートは二重である。入ってすぐのところに、大きなトラがドーンと寝そべっていた。



「わぁっ!」
 こんなに近くでトラを見るのは初めてかもしれない。ふさふさした毛並みまでがくっきり見えて、とても美しかった。



 あらら、まぶしかったのかしら。



 揃えた前足が、行儀よくしつけられているように見える。
「うえーん!」
 突如、赤ちゃんの泣き声がした。大人が喜んでいる傍らで、乳幼児は至近距離のトラが恐ろしかったのだ。
「あははは、泣いてる」
 車内がドッと沸き、ますます大人は盛り上がる。気の毒といえば気の毒だが。
「次はライオンです。トラは単独行動をしますが、ライオンは集団行動をします」



 うん、たしかに全然違う。
 バスが近くを通っても、誇り高き百獣の王は身じろぎもしない。「フン」といった一瞥を投げかけただけだ。
「うええええ」
 さっきの幼児がまた泣いた。夢に出てこなければいいが。
 厳重な警戒の猛獣ゾーンを抜けて、のどかなエリアに入ってきた。
「ヒトコブラクダです」
 バスと並行するように、ラクダはポクポクと走っている。



「わあ、まつ毛が長~い」
 窓際の娘は、疾走するラクダの新たな一面を見つけたようだ。砂が目に入らぬよう、砂漠仕様のつくりになっているのかもしれない。
 シカの家族もいたが、またお尻でご挨拶。



「アジアゾウです」
 ん? 頭がかゆいの?



 ナイトサファリの終盤には、動物とふれ合えるエリアで自由行動がある。バスを降りて、6時40分の出発まで気ままに過ごした。
 ライトアップされたフラミンゴはピンクが映える。



 ラマ。100円でエサを買い食べさせてみたが、娘は「つばはき、かみつき注意」という看板に警戒していた。



 バスに戻ったあとは、サルなどを見て終わりだ。
 楽しく過ごして終わったけれど、万一トラやライオンが逃げたら、ジュラシック・ワールドと同じ状況になる。
 決して、ペットじゃないんだよね、と自分に釘を刺した。


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プレゼントを探せ

2015年10月18日 21時04分11秒 | エッセイ
 今日は私の誕生日である。
「はいっ、お誕生日おめでとう!」
 仲良しの幸枝から、パスケースをもらった。



 落ち着いた色、シックなデザインである。ひと目見て気に入った。
 だが、家族からは何ももらえなさそうだ。
「お母さん、ゴメン。プレゼント買いに行く時間がないよ。来月でいい?」
 娘は何かと忙しく、私のことは後回し……。
 どうせ、どうせ。
 夫にいたっては、「おめでとう」のひと言すらない。はたして、私の誕生日という認識があるのかどうか。
 ためしに、話しかけて確認してみた。
「夕飯なんだけど、ミキが遅いっていうから、池袋でデリを買ってこようと思って」
「ふーん」
「昨日、腹具合が悪いって言ってたけど、大丈夫なの」
「うん」
 ダメだ、こりゃ。思った通り、私の誕生日だということを忘れている。
 でもまあ、認知症みたいなものだから、さほど腹も立たないが。
 少々虚しくなり、「いっそのこと、自分でプレゼントを買ったろか」と思いつく。そういえば、デパートのお買いものポイントが32000円分たまっていたではないか。
 ちょうど、冬に買ったバッグがくたびれてきたところだ。今度はもっと頑丈なものが欲しい。
「池袋までいってきまーす」
 頭の中は「どんなバッグにしようかなぁ」でいっぱいになり、スキップするように駅まで歩いた。
 雑貨売り場は、見ているだけで楽しい。あまり時間がないので、カバンだけに絞ったが、本当は財布や靴も見たかった。
「こちらは持ち手が皮になっております。軽くて丈夫ですよ」
「色違いが3色ございます。どうぞ、鏡の前でご覧ください」
 どれも悪くないが、決定力に欠ける気がする。何か、パンチ力のある商品はないものか。
 売り場を2周すると、さすがに飽きてくる。私は長時間の買い物に耐えられないのだ。「あれか、それか、これにしよう」と腹を決め、さらなる比較に入った。
「こちらはデニムでできていますので、一年中使えますし、かなり丈夫ですよ」
「汚れたときのお手入れはどうするんですか」
「濡れた布などで拭いていただければ」
 比べているうちに、だんだん気に入ってくる商品もある。それがこれだった。
「お荷物が少ないときは、両端の金具を合わせて、コンパクトにすることもできます」
「いいですね、これにします」
 32000円では足りなかったから、差額分はクレジットで。



 バッグが決まったあとは、夕飯を買って帰宅する。
「ご飯だよ」
 デリを温めて並べるだけ。本当は夫にやってもらいたいが、失敗されては元も子もないので、あきらめて自分でやる。
「ああ、うまそうだ」



 そりゃそうでしょう。シェ松尾だもの。
 お店で食べるときとは比べ物にならないが、美味しかったし、これはこれで満足だった。
 まあ、たまにはこんなディナーもいいかしら。
 娘に「このバッグどう?」とメールを送る。
 ほどなく、「カッコいいじゃない!」と返ってきた。よしよし。
 メーカーを見てギョッとした。「ディーゼル・ジャパン」と書いてあったからだ。
 私はつい、フォルクスワーゲン社の排ガス不正事件を連想した。まったく無関係なのに、マイナスイメージが浮かんでくるとは、フォルクスワーゲン社も罪深いことをする。
 そんなこんなで、誕生日が過ぎようとしている。
 母が私を生んでくれたことに感謝しなくては。


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目の保養「ブルガリ展」

2015年10月15日 21時37分31秒 | エッセイ
 時間があるときは、どこかの展示にフラフラと行きたくなる。
 シルバーウィークで散財したおかげで、ピカピカキラキラしたものが恋しくなった。ここは「アート オブ ブルガリ」展がよいだろう。
「ブルガリ? 悪くないわね」
 ひとりでも構わなかったのだが、姉が好きそうだと思って声をかけると、乗り気の言葉が返ってきた。
「目の保養にいいかと思ってね」
「目の毒かもしれないよ」
「アハハ」
 目が飛び出す、なんていう言葉もあったっけ。値段を見たら、そうなる予感がする。
 会場は、東京国立博物館の表慶館である。



 この建物に入るのは初めてだ。西洋風の小じゃれた雰囲気は、まさにブルガリ展のために建てたように見える。もし、「東大寺大仏展」だったりしたら、違和感ありすぎだろう。
「いらっしゃいませ」
 係員の女性も、黒いパンツスーツに身を包み、シックないでたちであった。いかにもバイトです、という職員は、この博物館で見かけることはない。
 会場は、私たちを含めて、中高年の女性ばかりであった。展示品が小さいので、数人集まればショーケースが見えなくなってしまう。でも、みんな和やかに、譲り合って列を作っていた。もっとも、美しいものの前では、醜い争いはできないのかもしれない。
 さかんに宣伝されていたものの一つに、富士山をモチーフにしたブローチがある。



 ヘビの腕時計や



 エリザベス・テイラーが愛用していたコレクションも公開されていた。



 だが、私が一番気に入ったのは、ブルガリの歴史をたどった展示品である。ルビーの赤、サファイアの青、エメラルドの緑、イエローダイヤモンドの黄、オニキスの黒、マザーパールの白、ターコイズなどをたっぷりと使い、色彩豊かに組み合わせたネックレスやブローチは、目がくらむほど光り輝いていた。
 時代とともにデザインが変わり、宝石でここまで美を表現できるのかと驚くほどだ。展示会場はさほど広くないが、内装も素晴らしいし、じっくり見て楽しめる作品ばかりだったので、下手な絵画を見るよりよほど満足できる。
「ああ、ステキだったわね。誘ってくれてありがとう」
 姉もうっとりしている。一人で来なくて正解と、親指を立てたくなった。
 実は、もうひとつ見たい展示があった。東洋館で行われていた「博物館でアジアの旅」というイベントである。
「中国、韓国、日本の衣装体験ができるんだって」
 私はコスプレが大好き。沖縄では琉球衣装、小田原城でも和装にチャレンジした。ここでは、清朝最後の皇帝、愛新覚羅溥儀の妻が着たというデザインの服を選ぶ。お目汚しにならぬよう、写真の顔はへのへのもへじに変えた。



 どうです、豪華でしょう?
 しかし、アップが終わり、「名前をつけて保存」しようとしたら家族に話しかけられ、うっかり「上書き保存」を押してしまった。
「あああああ~」
 その瞬間、記念写真は、へのへのもへじにすり替わってしまった……。
 目も当てられないって、このことかしら。


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パンダ愛

2015年10月11日 22時41分43秒 | エッセイ
 7年ぶりに上野動物園に行った。
 前回のお目当てはゾウ。(関連記事「いいもの見たゾウ♪」はこちらから)
 今回はパンダである。寝ていないで、起きていてちょうだいよ、と前日から念じた。
「夕方、パンダ舎に行ったら、元気に動いていました」というブロ友さんの記事を思い出し、14:30頃行列に並ぶ。



 子どものときは、ランランとカンカンだった。一度見たきりだが、その後何代も入れ替わり、今はシンシンとリーリーになっている。
 行列が進み、まずはシンシンの部屋の前に来た。残念ながら何もいない。
 しかし、リーリーが期待に応えて、ガラスの前にいてくれたのだ。



「笹を食べてる!」



 パンダはゴキゲンな様子であるが、観客はそれ以上に浮かれていた。



「可愛いッ!」



「こっち向いてえ~」



 とびきりの愛くるしさに、「着ぐるみじゃないよね?」などと疑う声も聞こえてきて、失笑が漏れる。
 もちろん、私もエキサイトした。
 パンダは、そこにいるだけで喜ばれる存在なのだ。食べたり遊んだりしているだけで、大いに人の役に立つのだから羨ましい。生まれ変わったらパンダにならなければ。



 パンダが終わり、園内をぶらついてカメラの練習をした。
 やたらと愛想のいいナントカ鳥。



 寝起きのライオン。



 同じところを行ったり来たりするトラ。



 シンクロナイズドスイミングを始めるペンギン。



 パンダの次に面白かったのがニホンザルである。
 彼らはよく動くし、小ザルから大ザルまで、それぞれのドラマを持っている。
 チョロチョロと、すばしこく走り回る小ザルたち。



 こちらのサルはうたたね中。



 葉っぱをむしり、食べていました。



 イチャイチャ、ラブラブ~!



 とにかく、見ていて飽きない。
 あっという間に閉園時間がやってきた。
 上野動物園、また来ます!




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「印象、日の出」のある部屋

2015年10月08日 22時52分16秒 | エッセイ
 大学1年の娘は印象派が好き。
「モネが『印象、日の出』を公開したとき、未完成の絵みたいだとバカにされて、印象派と呼ばれるようになったんだって。中学の美術の先生が言ってた」
 その「印象、日の出」が21年ぶりに日本にやってくるのだからたまらない。
「やった、やった! 絶対見に行こう」
 場所は、東京都美術館。オシャレなレストランが2つ、カフェが1つあり、ショップや美術情報室も充実した居心地のよいところである。



 9月19日から始まった展示だが、10月に入ってからも混んでいた。ただし、作品数は90点のみなので、並べば近くでじっくり堪能できる。
 リーフレットから、いくつか気に入った絵を紹介してみよう。
「トゥルーヴィルの海辺にて」



 左の女性はモネの妻であるが、水着を着ていない。当時はなかったのだろう。
 私の感覚では、泳がないなら海に来る意味がない。でも、この時代の人々は、寄せては返す波や、果てしなく広がる青い海原を見て、十分楽しめたようである。
「オランダのチューリップ畑」



 この絵は、水平線の高い位置、色彩などから浮世絵の影響が見てとれるそうだ。私は緑の空が印象に残った。
 クライマックスは、やはり「印象、日の出」



 モネ展は12月13日まで開催されるが、この絵は10月18日までしか展示されない。
「朝日のオレンジ色には、希望とかワクワク感が詰まっているよね。だから好きなんだ」
 娘は興奮して、絵を見る人の列に加わった。最初は近くで、次は離れたところから心ゆくまで。
 モネは「モティーフの狩人」と評されたという。さまざまな風景の中から、絵になる景色を素早く切り取り、形にする能力が高かったとか。きっとこの絵も、迷わず構図を決め、勢いよく絵筆を走らせて、イメージ通りに仕上げたのであろう。
 とりわけ、透明感のある淡い色づかいには惹かれる。娘のみならず、私も見ることができてうれしい。
「バラの小道、ジヴェルニー」



 一方で、最晩年の絵はよくわからない。展示のラストであったが、ここは足早に通り過ぎた。
 おみやげに、「睡蓮」のクリアファイルと



「印象、日の出」のA4ポスターなどを購入した。きれいな額縁を買って、部屋に飾りたいと娘にねだられたのだ。美しいものがあれば、乱雑な部屋も多少は片づくかもしれない。
 ランチは美術館内のレストランで、モネ展期間限定コースをいただいた。



 素敵な絵を見て、美味しい料理を食べる。何とぜいたくな一日だろう。
 公園口から駅に入ると、カフェがあった。急にカフェラテが飲みたくなり、呼ばれるようにドアをくぐる。
 ここのカップは上野らしくパンダ、ラテアートはクマである。



 飲むのがもったいないくらい可愛いし、味もいい。
「あっ」
 さらに驚いたことに、壁には「印象、日の出」のポスターが、額縁に入って飾られているではないか。



 そうそう、これこれ。
「印象、日の出」のある部屋は、明るく照らされている。


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キッコーマンで学ぶ醤油作り

2015年10月04日 20時13分35秒 | エッセイ
 千葉県野田市には、キッコーマンのしょうゆ工場がある。



 東武野田線「野田市」駅から徒歩3分と、非常に交通の便がよいので、見学を申し込んでみた。時間帯は9時、10時、11時という具合で1時間刻みになっており、午後もある。私は11時の回にした。
 入口で受付をすませ、駐車場を歩いていると、レトロな建物が目に入る。



 朱塗りの橋まであって、しょうゆ作りが始まった江戸時代を再現しているようだ。



 入口は小さいが、中は相当広い。



 エントランスでは、特大のしょうゆ差しがお出迎えしてくれた。



 9時、10時の回では小学生の社会科見学を実施したようで、たくさんのちびっ子たちに会ったが、11時の回では、リタイア後のおじいさん軍団と一緒だった。家でゴロゴロせず、仲間と連れ立って勉強に出かける行動派は貴重であろう。うちの夫に見習わせたいものだ。
「ではまず、しょうゆ作りの映像からご覧ください」
 見学はDVD鑑賞からである。最初は話し声が聞こえたけれど、「ほら、始まったから静かに」とリーダー格のおじいさんが合図すると静かになった。統制がとれた集団らしい。
 15分ほどで映像学習は終了した。
「それでは、館内をご案内いたします。段差がありますので、お気をつけてお歩きください」
「はーい」
 おじいさんたちは、どっこいしょと腰を上げ、係員についていった。先ほどDVDで予習したことを、今度は実物で確認していくのだ。
「しょうゆの原料は、大豆・小麦・塩です。1リットルのしょうゆを作るに必要な量は、これだけです」



 容器は、左から大豆、小麦、塩の順に並んでいる。3種類を合わせると、容器の8分目あたりまで届きそうなので、意外に量が多いとわかった。同じものがエントランスにもあったが、「食べないでください」の注意書きがあったことを思い出す。見学の大半が子どもと高齢者のせいか、面白半分に味見されることがあったのかもしれない。
 しょうゆの作り方をわかりやすく解説してもらった。大豆と小麦を加熱し、混ぜ合わせたところに麹を入れる。3日間培養したら食塩水を加え、数カ月かけて発酵・熟成させて、「もろみ」を作り出す。発酵が終わったら、黒ずんだもろみを布で包み、ろ過してしょうゆを取り出すそうだ。
「しょうゆかすは牛や魚のエサになりますので、ゴミにはしません」
 ちなみに、このしょうゆかすを乾燥させて板状にしたものを見せてもらった。手に取ると、クラッカーのような軽さである。「匂いを嗅いでみてください」という言葉のあとに、またもや「食べないでくださいね」と付け足され苦笑する。おそらく過去には、しょうゆの香りに食欲をそそられ、「結構イケるよ、ムシャムシャ」などなった見学者がいたに違いない。
 搾り取ったあとのしょうゆは加熱し、酵素の働きをとめれば完成となる。普段、何のありがたみもなしに使っているしょうゆだけれど、長~い時間が必要なのだと理解した。
「こちらは、歴代のしょうゆの容器です。江戸時代は樽でしたが、その後缶になり、瓶、ペットボトルへと変わっていきます」



 私の目は、一升瓶に釘付けとなった。そうだ、子どもの頃は、しょうゆといったら大きな瓶だった。母におつかいを頼まれたとき、しょうゆの重さに閉口したことをおぼえている。見なくなって久しいが、こんなところで再会できるとは思わなかった。
 このあとは、ろ過後に加熱処理をせず、酵素の働きをとめただけの「生しょうゆ」をおみやげにいただいて終了となった。時間にして50分ほどだったろうか。



 館内には「まめカフェ」というコーナーがある。
 私は、しょうゆソフトクリームなるものに挑戦した。



 受け取って、見た目の美しさに感動する。まるで、店頭にある置物のような巻き具合。これは売り子さんの腕の問題であろう。観光地のバイトと違って、熟練工の仕事という気がした。
 お味の方は、しょうゆの風味が生きているバニラなのだが、好き嫌いが分かれそうだ。血液型O型の私には、甘いのかしょっぱいのか、ハッキリしない味だと感じた。みたらし団子並みに、しょうゆの存在感を押し出してほしかった。
 でも、この微妙さがいいという人も多そうだ。ほんのりと、しょうゆ色に染まったバニラが奏でる微かな甘さ。これが理解できないなんて日本人じゃないわ、なんてね。ぜひ、お試しのほどを。
 ソフトクリームを食べ終わる頃、おじいさん軍団もカフェにやってきて、全員で豚汁を頼んでいた。
 そっちにすればよかったかしら。


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異国の味

2015年10月01日 20時39分08秒 | エッセイ
 何日か前に、ブロ友さんが横田基地のお祭りをアップしていた。
 懐かしい。私も子どものとき、母に連れられて、姉や妹と行ったことがある。
 母は自衛隊や軍艦などが好きなので、横田基地にも興味を持っていたようだ。一般人も入れる日があると知り、当時住んでいたさいたま市から、えっちらおっちら電車で駆けつけた。
「Hello!」
 基地のアメリカ人はフレンドリーだった。軍人だけでなく、その家族も笑顔で手を振ってくる。顔立ちも髪の色も違うし、背が高く体型自体が同じではない。たまに、ドラム缶のような横幅の人もいて、ここまで太れるものなのかと驚いた。
 その日は、少々風も吹いていたが、いいお天気だった。あちこちにテーブルが並べられ、菓子や飲み物、食べ物が売られている。ホームメイドのものばかりだったようだ。
「お母さん、あそこにパンがあるよ」
「どれどれ」
 私たちはパンに目がない。4人でぞろぞろと移動し、パンをのぞきこんだ。
「コンニーチハ」
 小太りのオジさんとオバさんが気軽に声をかけてくる。テーブルの上にはアメリカサイズの、直径40cmはありそうなリング状のパンがドーンと載っていた。まるで横綱だ。こんなに大きなパンは見たことがない。ところどころ、軟らかそうなリンゴが顔を出していて、上には白いシロップがたっぷりかかっている。その存在感に、私たちは完全にノックアウトされた。
「おいしそう」
「お母さん、これ買おうよ」
「みんなで食べられるよ」
「そうだね、これください」
「Thank you」
 日本円で支払いをする。たしか、500円くらいではなかったか。大鍋のような大きさの割に、良心的な価格だったことをおぼえている。しかし、そのあとが大変だった。
「Here you are」
 オジさんは、大きなパンをむき出しのままで渡そうとするのだ。日本だったら袋に入れて当然なのに、アメリカにはそういう習慣がないのだろうか。
「Bag please」
「Bag?」
 オジさんはオバさんと顔を見合わせて、日本人への対応に戸惑っていた。この人たち、何をしてほしいのかしらと相談していたようだ。
「持って帰れナーイ」
 私たちも必死に、身ぶり手ぶりでパンを包むものが欲しいのだと訴えた。やがて、オジさんは納得したようにうなずき、「OK」と明るく答えた。
 彼が自信を持って取り出したのは、未使用の透明なゴミ袋である。
「あっはっはっは」
 たしかに、これならパンが入る。私たちは腹を抱えて大笑いし、オジさん、オバさんも笑顔で両手を広げていた。
「Thank you, bye-bye」
「bye」
 ほんの短時間だったけれど、アメリカ人夫妻との国際交流が終わり、手を振って別れる。
 家に帰ってパンを食べたら、外側はふんわり、リンゴは甘くシャリシャリ、固まったシロップがしっとりで、信じられないくらい美味しかった。こんなにいいものを食べられるなら、アメリカで暮らしたいと思ったくらいだ。
 
 あれから35年ほど過ぎ、今では日本でも美味しいパンが食べられる。早まらなくてよかった。
 今日はハロウィン仕様のパンプキンパイを買ってみた。



 夫も娘も和食派だが、私だけはパン派を貫いている。
 横田基地で買った、あのパンの影響かもしれない。   


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