これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

鈍感な足裏

2023年03月26日 18時01分53秒 | エッセイ
 写経がだいぶたまったので、お寺に納めに行きたくなった。
 めざすは武蔵野三十三観音霊場である。実は、まだたったの3カ所しか巡っておらず、暑くならないうちに残りの30カ所をと思っているところだ。時間と体力を考えて、その日は6カ所を回る計画を立てた。
「えーと、まずは西武球場前に行こう」
 このルートの観音霊場は、9時から16時までが御朱印をいただける時間なので、8時50分到着を目指して西武線に乗る。



 まずは、所沢の金乗院。
 そこから東大和の圓乗院。
 東に向かって、東村山の徳蔵寺。
 さらに東に行って、清瀬の全龍寺。
 南に下って、東久留米の多門寺。
 最後は西東京市の如意輪寺というルートで歩き、納経をして回った。
 勾配はほぼなく、道中は平坦な道ばかり。トレッキングシューズはいらないだろうと決めつけ、ウォーキングシューズを履いていったのだが、これは大きな間違いだった。











 それぞれのお寺から次のお寺まで、平均して60分前後かかる。3つ目あたりから、足の裏がピリピリしてくるダメージを感じた。
「トレッキングシューズだったら、中には厚手の靴下を履くから、クッションになったんだろうな。薄手の靴下だと摩擦で痛くなるってことか」
 靴下の役割に気づき、失敗したと悔いたが、歩けないことはない。帰ったらやりたいこともあったし、あまり細かいことは考えずに、時計を見ながらさらにピッチを上げた。
 結局、9時から15時まで、ほぼ歩き詰めとなった。疲れても、美しい観音様を見れば元気が出て、ラストの如意輪寺から自宅までも歩いた。





 家に着き、靴下を脱いでビックリする。
「うわ、何だ、この爪の色」



 おそらく、爪の先端が靴に当たったまま、長時間歩いたせいだろう。中指が内出血していた。
「そんなに痛くなかったんだけどねぇ。結構ひどい」
 足の裏には水膨れもできてしまい、しばらくはよちよち歩きしかできなくなった。
 ああ、情けなや……。
 足は負傷したが、歩いた距離は28.6kmと、なかなかのものである。



 消費したカロリーは1263kcalだそうで、画面を見た瞬間に「おおっ!」と歓声を上げた。



 トータルで40951歩。



 よく頑張ったと自分を褒めた。
 いただいた御朱印も巡礼の張りになる。







 次は4月を計画しているが、必ずトレッキングシューズを履かねばと心に誓った。
 絶対に、絶対に!

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私だけのペーパーウェイト

2023年03月19日 16時02分45秒 | エッセイ
 昨年までの職場は風が強く、窓を開けると机上の書類が飛んでしまうことがあった。
 今の職場は換気設備が整っているため、窓を開けることがないのだが、ペーパーウェイトにしかできないものを手に入れてしまった。



 後ろから見るとこんな形をしている。
 そして、前から見ると……。



 ギャッ! 歯だ!!
 これは石膏で作った私の歯型である。何でそんなものを持っているかをお話ししよう。
 私は子どもの頃から、寝ているときに歯ぎしりをする癖があり、ぐっすり眠れず困っていた。大人になってから、歯科医に勧められ、歯ぎしり防止のマウスピースを作ったおかげで、熟睡できるようになった。
 マウスピースは、規格品ではなくオーダーメイドである。歯科で歯の型を取り、それにフィットするものを注文する。何年かは使えるが、消耗品なので、7~8年後には作り直すことになる。先日、2個めが使えなくなり、3個めを作ってもらったときに、おまけで石膏の歯型がついてきたというわけだ。



 こんなものをもらっても、使い道がない。でも、歯医者さんはもっと使い道がない。だから、私が引き取るのが理にかなっている。わかっちゃいるけど邪魔だ。だったら捨ててしまうこともできるが、自分の一部のようで、粗末に扱うことには抵抗がある。
「総入れ歯になったとき、懐かしく思い出すかもしれないから、ひとまずしまっておこう」
 とりあえず保管する場所は決まっている。リビングの緑の収納庫に入れようと、引き出しを開けたらすでに先客がいた。何年か前にも同じことを考えて、ぶち込んでおいた過去の歯型である。
「これは少々ホラーかも」
 積み上げてみた。



 ハンバーガーに似ているな、とひそかに笑った。
 さて、これ以上、歯型を増やすわけにいかない。3個めは大事に使わねば。
 歯型の入っていた引き出しから、昔の同僚からいただいた、カードホルダーにもなるペーパーウェイトを見つけた。



「あら、なかなかオシャレじゃない」
 歯型のあとだから、余計にそう感じる。
 しまい込んでいたら、もったいないかしら。

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いつかは餃子のランクイン

2023年03月12日 21時36分39秒 | エッセイ
 那須塩原に住む母からメールが届いた。
「冷凍餃子をたくさんもらって食べ切れないから送ろうか」
 餃子は好きだ。そういえば、このところ全然食べていない。渡りに船に違いないと察して返信をした。
「欲しい! 宇都宮餃子かな」
 那須塩原に行くときは、家族から「宇都宮餃子を買ってきて」と頼まれることが多い。皮が薄めで大きさもちょうどよく、肉や薬味のバランスがとれており、まさに餃子の王道を極めた逸品だからであろう。これをこんがり焼いて、焦げ目がカリッと音を立てたりすると、食欲が止まらない。いくつでも食べられてしまうのだ。
 もっとも、浜松や宮崎というライバル市の餃子は食べたことがない。餃子について語ることのできる経験値を上げなければと引け目を感じる。
 返信の返信は意外な内容であった。
「違うよ。大宮の餃子。じゃあ待っててね」
 え。
 大宮って、餃子の街だったっけ?
 一応、私はさいたま市出身である。しかし、練馬に引っ越してから25年が経っており、最近の様子は知らない。
「餃子の一世帯当たりの年間購入額ランキングに入ってるとか?」
 調べてみたが圏外のようだ。単に餃子の向上があるというだけかもしれないが、だんだん気になってきた。
「こんにちは~、宅急便です」
 来た来た。
 箱を開けてみると6種類もの餃子が入っていて驚く。
 まずは、おさかな餃子。



 オーソドックスに見えたので、まずはこれからいただいた。
 それから生姜餃子。



 家族はどう思っているか知らないが、血行がよくなる生姜はとてもありがたい。
 シュウマイも入っていた。







 最後に、得体のしれない「とうもろこし入りぎょうざ」なるものを発見する。



「うーむ、こ、これは」
「想定外の組み合わせだね」
 種類の豊富さに、一本取られた感もある。大宮は侮れないぞ。
 パッケージの製造元を確認した。



「さいたま市西区?」
 調べたら、大宮駅から西に位置する地域で、指扇(さしおうぎ)の辺りらしい。
 そこで密かに、年間購入額ランキングへのランクインを狙っていたりして。
 私は応援しますよ。

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リアルおひな様

2023年03月05日 20時27分09秒 | エッセイ
 年々ひな祭りのお祝いが雑になっている。
「お母さん、ミキがひな人形出すから、ひな壇作って」
「うん」
 娘が26歳になり、成長を祝う歳ではなくなったからであろう。ここ数年は仕事が忙しいことを口実に、30分以内で完成するひな壇の組み立て係に専念し、人形やお道具の配置は娘に頼んでいる。
「ママ、3月3日はちらし寿司を作るからね」
「ありがとう」
 夫もこの日ばかりは頼りにされ、海鮮たっぷりのごちそうを作ってくれてありがたい。
 今年の力作。



「すっごく美味しいよ! マグロなんてとろけるような味わいだし」
「ホント、最高!」
「よかった、ハハハ」
 夫は鼻高々だ。毎年褒めちぎっているせいか、確実に進歩している気がする。
 その調子でヨロシク!
 もう少し役に立とうと、おひな様のお菓子を買ってきた。単なるあられではなく、チョコひなあられである。しかも、すみっこぐらし。
 どうだ!



 まあ、おひな様は「イエ~イ」なんて喜ばないから、満足したかどうかわからないけど。
 先日、また國學院大學博物館に行ってきた。



 17世紀に作られた『源氏物語』が公開されているので、目の保養をしたかったのだ。金箔が光り、赤や青、黄、橙という豊かな色彩で描かれた絵柄に惚れ惚れした。『伊勢物語』『竹取物語』も公開されていて、素晴らしく贅沢な本が一気に見られるところに驚く。なのに入館無料。お近くだったら、ぜひご覧になってはいかがだろうか。
 ここには、リアルな女房装束も展示されていて撮影ができる。当時の単(ひとえ)の解説もあり、勉強になるのだが、正面からだとちょっと怖い。



 ひいっ。
 右に回り込んだが、こちらも大差なかった。
 リアル過ぎてもどうかと思う。



 しかし、左からだとソフトになる。



 うん、美人美人。キレイ。
 髪型のせいではないだろうか。この時代は、三人官女のように結い上げていなかったのかもしれない。
 最後に、わが家のきめ込みおひな様を見ていただきたい。



 何だか、やたらと安心してしまった。
 人形はリアルじゃない方がいいってことかな。

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