武弘・Takehiroの部屋

万物は流転する 日一日の命
人生は 欲して成らず 成りて欲せず(ゲーテ)

塩野七生さんと桐島洋子さん

2024年04月03日 04時52分59秒 | 芸術・文化・教育

<以下の記事は2010年7月20日に書いたもので、時制はそのままにしてあります>

ふと女性のことを書きたくなった。と言っても私は女性に詳しくないので、かつて面談したことのある人の中から、印象に残る2人について書いてみたい。前もって断っておくが、ろくな文章にはならないと思うのでお許しを(笑)。
 さて、20年ぐらい前だったか、私が某テレビ局の夜のニュースを担当していた時、キャスターの木村太郎さん(現在も活躍中)と相談して、毎晩“時の人”をゲストに迎えいろいろ話をしてもらったことがある。大抵は政治家や財界人などの男性が多かったが、時には文化人、評論家、作家らにも出てもらったりした。その中にはむろん女性もいたのだが、今でも印象に残る人が2人いる。それが塩野七生(ななみ)さん桐島洋子さんだ。
 拙文を書く前に、経歴でも知っておこうと下調べをしたら笑ってしまった。お二人とも1937年(昭和12年)生まれの73歳で、なんと桐島さんが7月6日、塩野さんが7月7日の誕生日で一日違いなのだ。偶然とはいえ、これには驚いた。
 
さて、20年も前のことだから、お二人が話した内容などほとんど忘れてしまった。ただし、2人とも実に“雰囲気”が良かったのを覚えている。全く違う雰囲気(オーラ)だったが、塩野さんは優雅な中にも毅然とした佇まいがあった。
 作家の彼女は『ローマ人の物語』などで有名だが、当時はたしか世の男性たちを叱咤激励するエッセイを書いて話題になっていたと思う。調べてみたら、『男たちへ フツウの男をフツウでない男にするための54章』というのを書いていた。このエッセイが話題になったから、ゲスト出演してもらったのだろう。
 その本は読んでいないが、塩野さんの話ではたしか、日本の男性は柔弱で臆病でプライドがなく、要するに“男らしくない”のが多いというキツイお叱りだったと思う。普通の男である私なんか耳が痛くなるが、塩野さんはジュリアス・シーザーやチェーザレ・ボルジアなど、いつもローマの英雄ばかりを語っているから、情けない日本人男性に活を入れたくなったのだろうか。日本の男よ、強くなれ! ということだが、時代も国柄も違うので、そうはいかないよと塩野さんに反論したいところだが、墓穴を掘るから止めておこう(笑)
 
一方、桐島さんは当時50歳を超えていたものの、独特の女らしさを醸し出していた。はっきり言って、女の“色気”を感じさせる人だ。彼女は「シングル・マザー」の元祖みたいに言われ、その破天荒な生き方は世の女性たちの憧れの的だったらしい。ちょうど、男女雇用機会均等法(85年法)が施行されて間もない頃だっただけに、桐島さんの生き方が注目を集めていたのだろう。
 調べてみると、彼女は50歳過ぎを“林住期”と位置づけ、『華やぎの午後のために』といったエッセーを書いているが、人生の秋を迎えてもまことに“華やいだ”雰囲気に見えた。桐島さんのような女性は珍しい。一種の女傑だ。普通の女性が真似をしようと思っても、ヤケドをするから止めた方が良いのではないか。
 自由奔放な生き方をした桐島さんも、45歳で12歳年下の男性と結婚した時は、世のシングル・マザーたちはショックを受けたという。これを“クロワッサン症候群”と言うのだそうだ。まあ、50歳を過ぎても艶っぽい女性というのは少ないだろう。
 以上、心に残る2人の女性のことを書いたが、ご健在であることを祈りたい。(2010年7月20日)


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