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1日8000歩で「死亡リスク半減」という研究:あなたはどれだけ歩くか?

2020-08-05 08:26:40 | 健康

1日8000歩で「死亡リスク半減」という研究:あなたはどれだけ歩くか?

「1日8000歩」をめぐる日米2つの別々の研究結果を以下にご紹介したい。

最初はアメリカの研究報告で、JAMA 掲載の論文の紹介である。JAMA(The Journal of the American Medical Association、「米国医師会雑誌」とも呼ばれる)は、米国医師会によって年に48回刊行される、国際的な査読制の医学雑誌である。同誌は世界で最も広範に読まれている医学雑誌である。

日本ではすでに 「1日8000歩のうちの20分は速足が望ましい」 という細かい注文をつける研究報告があるが、今回のアメリカの研究では、「歩く速度は関係がない、ただ歩けばよい」 としている。

しかし、日米双方の研究も “1日8000歩” を大きな目安としている点で一致している のは、双方の説の大筋を相互に裏付けていると考えられる。

歩数と身長から “距離” を出す計算式がある。この紹介記事では強引ではあるが、身長170cm の人の場合として、おおざっぱに 約7.6km  として話を進める。読者諸兄には、ご自分の身長からの+-を勘案してお読み頂きたい。

 

どうやら “1万歩” という区切りのいい数値が理想とは限らないようだ。「歩数が多い人の特徴」 として、「食事の質が低い」 と 「学歴が高い」 が並んで出てくるのは奇異に思える。しかし、「併存疾患(糖尿病、心臓病、がんなど)の有病率が低い」 が挙げられているのは、「歩く人ほど死亡リスクが低い」 という今回の調査結果の基本テーゼと整合的であるように思える。

 

 

 

以下の表の見方は、“1日4000歩(約3.8km)の人” を基準に比較する: 

2000歩(約1.9km)しか歩かない人は:1日4000歩の人よりも、総死亡リスクは51%上回り、つまり約1.5倍である。がん死亡リスクは、1日4000歩の人よりも23%上回る、つまり1.23倍ということである。

逆に1日8000歩(7.6km)のひとは:1日4000歩の人よりも総死亡リスクは51%下回り、つまり約2分の1である。がん死亡リスクは、1日4000歩の人よりも33%下回る、つまり3分の1ということである。

 

 

 

さて、以下は日本の研究報告であるが、奇しくも上掲のアメリカの研究報告と同じく 「1日8000歩」 をキーワードとしている点が興味深い。

厚生労働省も 「1日8000歩」 を目標歩数に設定しているが、ほとんどの日本人はこの水準からはほど遠いのが現実のようだ。厚生労働省というおかみが設定した目標などにこだわる必要はないとも言えるが、上掲の海外の研究報告とも大筋で符合しているのであれば、まったく根拠のない数値とは言えないだろう。

さて、この日本の記事は、厚生労働省や民間の東京都健康長寿医療センター研究所の唱道する 「1日8000歩」 にしぼった14万人対象のアンケート調査 をした結果である。

 

 

日本人がどれだけ歩いているかを都道府県別に見ると、たしかに首都圏や大都市圏の人たちが通勤のために(のおかげで?)比較的よく歩いていることがトップ5位に反映しているようにも思える。

逆にボトム5位を見ると、雪国の県では1日の歩数が大幅に下回っているのも、なるほどという感じもする。しかし、四国の3県では “歩かない女性” が突出している印象がある。これには何かしらの説明が必要であろう。女性の就業率が関係しているのだろうか。ちなみに女性の就業率は2018年で約70%に達している(https://business.nikkei.com/atcl/report/16/021900010/091300076/)。しかし、以下のように統計で見ると、四国の女性の就業率が際立って低いわけではないのだ。むしろ、神奈川、千葉、埼玉、といった首都圏、大都市圏の方が女性の就業率は低い傾向があるhttp://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/h29/zentai/html/zuhyo/zuhyo01-00-03.html)。

 

そもそも、非就業者よりも就業者のほうが1日の歩数は多いに違いないという思い込みにどれだけ根拠があるのだろうか?いくらサラリーマンでも電車通勤と会社のデスクでのPC作業という就業形態で、1日に8000歩(約7.6km)をクリアするのは至難の業であるはずだ。

もしかしたら、単に都会の人間の方が健康意識が高くて、8000歩や1万歩を歩くことを目標にして行動している人間が比較的多いだけなのかもしれない。そういう健康オタク系が休日や祝日に歩数計を着けてせっせと歩いて平日の “不足分” を埋め合わせているのかもしれない。

また、現役の労働者よりも定年退職者たちや年金生活者たちのほうが1日の歩数は意外に多い場合もあるだろう。

同じ8000歩でも身長(厳密には歩幅)の差によって距離は異なってくる。逆に言えば、歩幅が違う同士がいっしょに同じコースを歩いた場合は、距離は同じでも両者の歩数はとうぜん違ってくる。もちろん歩幅の狭いひと(一般的には身長の比較的低い方のひと) のほうが歩数は多くなる。この紹介記事では、わかりやすさを優先して、あえて強引に身長を 170cm として、

8000歩で 約7.6km、

4000歩で 約3.8km、

2000歩で 約1.9km、としている。

1万歩なら、約9.5km  である。

さて、あなたは1日に何kmくらい歩いているだろうか?

 

 

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