J B Press 2020年7月1日付記事
「連日の50人超、「東京アラート」とは何だったのか
インパクト重視で借り物ばかり、独創性薄い東京都のコロナ対策」
(作家・ジャーナリスト:青沼 陽一郎)
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/61135
「東京アラート」なるものが解除されてから、東京都内の感染者数が増えている。
6月26日から30日までの5日間は連続して50人以上が確認されている。
東京アラート発令期間中よりも、明らかに増加傾向にある。
だが、小池百合子東京都知事に、再度の東京アラートを発令する構えはない。
東京アラートの発令には、いくつかの基準があった。
1日あたりの感染者数(1週間平均)が20人以上、
感染経路が不明な人の割合が1週間平均で50%以上、
週単位の感染者数の増加率が1倍以上、などというものだ。
すでに東京都の状況はこの基準をいくつか上回っている。
だが、それでも「東京アラート」を発令しないのは、
そもそも東京アラートになんの効果もないことを、小池都知事自ら告白したに等しい。
なぜなら、30日の会見で、
新しいモニタリング指標の変更を打ち出して、「東京アラート」の今後の発令はない、としたからだ。
代わって、医療体制のと状況把握を重視して、週1回の専門家会議を開催するとしながらも、
休業要請や警戒を発する具体的な指数の基準を明確にしなかった。
実に、曖昧な対策に後退している。
「感染者増でもなぜか積極的対策はなし」
新型インフルエンザ等特別措置法に基づく政府の「緊急事態宣言」が、最終的に解除されたのは5月25日のことだった。
これを受けて東京都では、休業要請の解除行程を3段階で示すロードマップの「ステップ1」に移行。
6月1日からは、さらに緩和した「ステップ2」に移行した。
ところが都内では感染者が増加。
そのため6月2日に東京アラートが発令され、6月11日に解除されるまで続いた。
しかも、解除と同時に「ステップ3」に移行し、
翌6月12日には小池都知事が「コロナ対策が一段落した」からと、
東京都知事選挙への再出馬を表明している。
さらに6月19日には、休業要請を全面的に解除。
それでアラート発令中より、ここへきて日々の感染者が増加して高止まりしている。
感染状況と都の対策の、このチグハグぶりは何なのだろうか。
そもそも東京アラートには、なにかを制限したり、自粛を要請したりする機能はない。
ただ、感染者増加による警戒を呼びかけるだけのものだ。
そのシンボルとして、東京都庁とレインボーブリッジがライトで赤く染まった。
それだけだ。
小池都知事は、ただ、それをやりたかっただけのことではないのか。
「連日の50人超、「東京アラート」とは何だったのか
インパクト重視で借り物ばかり、独創性薄い東京都のコロナ対策」
(作家・ジャーナリスト:青沼 陽一郎)
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/61135
「東京アラート」なるものが解除されてから、東京都内の感染者数が増えている。
6月26日から30日までの5日間は連続して50人以上が確認されている。
東京アラート発令期間中よりも、明らかに増加傾向にある。
だが、小池百合子東京都知事に、再度の東京アラートを発令する構えはない。
東京アラートの発令には、いくつかの基準があった。
1日あたりの感染者数(1週間平均)が20人以上、
感染経路が不明な人の割合が1週間平均で50%以上、
週単位の感染者数の増加率が1倍以上、などというものだ。
すでに東京都の状況はこの基準をいくつか上回っている。
だが、それでも「東京アラート」を発令しないのは、
そもそも東京アラートになんの効果もないことを、小池都知事自ら告白したに等しい。
なぜなら、30日の会見で、
新しいモニタリング指標の変更を打ち出して、「東京アラート」の今後の発令はない、としたからだ。
代わって、医療体制のと状況把握を重視して、週1回の専門家会議を開催するとしながらも、
休業要請や警戒を発する具体的な指数の基準を明確にしなかった。
実に、曖昧な対策に後退している。
「感染者増でもなぜか積極的対策はなし」
新型インフルエンザ等特別措置法に基づく政府の「緊急事態宣言」が、最終的に解除されたのは5月25日のことだった。
これを受けて東京都では、休業要請の解除行程を3段階で示すロードマップの「ステップ1」に移行。
6月1日からは、さらに緩和した「ステップ2」に移行した。
ところが都内では感染者が増加。
そのため6月2日に東京アラートが発令され、6月11日に解除されるまで続いた。
しかも、解除と同時に「ステップ3」に移行し、
翌6月12日には小池都知事が「コロナ対策が一段落した」からと、
東京都知事選挙への再出馬を表明している。
さらに6月19日には、休業要請を全面的に解除。
それでアラート発令中より、ここへきて日々の感染者が増加して高止まりしている。
感染状況と都の対策の、このチグハグぶりは何なのだろうか。
そもそも東京アラートには、なにかを制限したり、自粛を要請したりする機能はない。
ただ、感染者増加による警戒を呼びかけるだけのものだ。
そのシンボルとして、東京都庁とレインボーブリッジがライトで赤く染まった。
それだけだ。
小池都知事は、ただ、それをやりたかっただけのことではないのか。