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音楽大好き男の徒然なる日記

追悼・冨田勲さん(4)いのちの証、そして宇宙へ

2016-06-04 | 音楽
すっかり遅くなりましたが、冨田先生を悼むシリーズ、これで完結編といたします。

時代が'90年代に入って、冨田先生が手掛けた映画音楽「学校」に驚いた方も少なくないのではないか。
作品の内容かもしれないが、音楽が"地味"なのだ。
シンセサイザーもシンフォニック形式でもない。

学校(予告)


学校Ⅱ(予告)
https://www.youtube.com/watch?v=8_Owo2plumM&feature=player_embedded

でも、今ならわかる。
先日、NHK-BSプレミアムにて追悼番組を放送されて、「物語に寄り添う」という表現方法だったのだと。

「学校」シリーズは、ふつうの小学校から高校までに通う学生たちの物語じゃない。
Ⅰの舞台は「夜学」、Ⅱは「障害者学級」、Ⅲは再就職に向かって専門知識を学ぶ「職業訓練校」であり、
Ⅳに至っては「ヒッチハイクの一人旅」が“学校”そのものなのである。
それらは世間体では「日の当たらない」者たちに扱われることが多い。
でも、彼らにも社会で生きたいというまっとうな願いがあり、彼らを否定することは決して許されない。
そして、そんな彼らへの温かなまなざしが冨田さんの音楽から伝わる。
パンフルートを中心としたメロディーの温かさが沁みる。

冨田勲 「幸せっていうのは」
https://www.youtube.com/watch?v=X63Pqrzn_yM&feature=player_embedded

ただ、残念だったのがシリーズ第3弾と第4弾の音楽は冨田先生ではなく、
中島みゆき・ゆずとのタイアップ・スタイルとなってしまった事だ。

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そして、生前最後の大作は宮沢賢治の物語から構想を得た「イーハトーヴ交響曲」。
世間的にはボーカロイド"初音ミク"との共演が話題になったが、決してこれをメインにすべきではなく、
共演するソリストを選考して選考して普通の歌手ではついに適任の人が見つからなかった結果なのだそうだ。

では、その中から「銀河鉄道の夜」を選びました。

冨田勲×初音ミク  「イーハトーヴ交響曲」 銀河鉄道の夜


ますむらひろしが猫のキャラクターをデザインしたアニメ映画「銀河鉄道の夜」も観たが、
宮沢賢治(1896-1933)の作品からは理解者だった妹を病で失ったことから"いのち"の意味と儚さ、
それが唯一無二の存在である事を教えられる。
YMOの細野晴臣氏によるアニメ映画版の音楽もまた鈍い光のような、でも決して忘れられない絶対無二の
深いテーマ曲が素晴らしい。
(今回、あえてリンクは貼りません。 ご了承ください)

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さて、最後になりましたが、シンセサイザー名曲で忘れられないものがあります。
自分もクラシックギターを学んでいた時に部分的に弾いたことのある
ロドリーゴ作曲の「アランフェス協奏曲」第2楽章を編曲したバージョンをお届けします。

アランフェスは世界遺産に登録されたスペイン王室の宮殿と庭園が有名な、スペインの地名ですが、
冨田先生が発表したバージョンには南米・ペルーにある「ナスカの地上絵」を連想してしまいます。
ウィキペディア解説は、
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8A%E3%82%B9%E3%82%AB%E3%81%AE%E5%9C%B0%E4%B8%8A%E7%B5%B5

Isao Tomita - Concierto De Aranjuez


これで、先生の魂が宇宙(そら)へ還っていったように思えます。
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最後になりましたが、改めて冨田勲さんの功績に深い感銘を受けつつ、
ご冥福をお祈りいたします。

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