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音楽大好き男の徒然なる日記

「JR北海道私ならこう立て直す!!」いすみ鉄道社長の場合(2)

2020-04-23 | 鉄道
「週刊プレイボーイ」2017年16号
特集「JR北海道、私ならこう立て直す!!」より
「乗降客ゼロの駅を観光地に変えたJR九州に学べ」
いすみ鉄道・代表取締役社長 鳥塚亮さん



鉄道マニアのサラリーマンから、いすみ鉄道の公募社長になり8年。
グルメ列車「レストラン・キハ」の運行や「訓練費用自己負担運転士」など、
多彩なアイデアで路線廃止の危機を救った。
会社の規模は救えど、JR北海道もいすみ鉄道も「元国鉄」。
彼のノウハウは通用するはずだ!


(聴き手)――JR北海道がこういう状況になってしまった理由を、どう考えますか。
鳥塚「交通体系が変わって駅に人が来なくなったことと、
 石炭と林業と漁業という基幹産業がダメになったことですね。

 あと、北海道の人たちが従事しているほとんどの仕事は“B to B”なんです。」

  ↓
「ブログ主注」 “ B to B ”
 (Business to Business)、「企業間取引」を意味し、企業が企業に向けて商品やサービスを提供する取引を指します。
 BtoBはターゲットが限定されており、また取引先も固定されている場合が多いため、
 TV広告などのマス向けプロモーションは適していません。


鳥塚「取れたものは農協や漁協に納めればいい。 
 国が予算をくれる、補助金も出してくれる。
 自ら商品を付加価値をつけてお客に届けましょう、ということをやっていない。
 依存型の社会になってしまったんです。
 だからJR北海道に関しても『行政やJRがなんとかすべき』が地元の感覚だと思います。」


(聴き手)――どこか他人事だと。
鳥塚「JR北海道としても、厳しい自然の中をとにかく一生懸命、安全に列車を走らせればいいと考えていた。
 でも気がついたらお客さんがいなくなっていた。」

(聴き手)――まじめにやっていたけど。
鳥塚「インフラというものを民間に投げてしまった国の責任も大きい。
 そして国土交通省の指導に30年ちゃんと従ってきた結果、こうなってしまった。

 だから、“あの時の経営者が良かったとか悪かったとか”でなくて、
 JR北海道を取り巻く構造の問題なんです。
 そこにメスを入れないと。

 これが国土交通省じゃなくて経済産業省だったら面白いことになったかもしれないけど。」

(聴き手)――新しいお金の稼ぎ方を考えられたかもしれない?
鳥塚「そう。 あとは仕組みの問題です。
 分割民営化の際、JR東日本とJR東海とJR西日本に新幹線を持たせたんですが、
 そのとき新幹線は別会社にすべきだった。

 そこで稼いだお金で国鉄時代の借金を返せばよかったんです。」


(聴き手)――確かに。 
どうしてそうしなかったんでしょう?
鳥塚「民営化の成功事例を作るためです。
 絶対に儲かる仕組みにしたんです。
 電電公社から民営化してNTTになった後、今も利用者はユニバーサルサービス料を払って、
 赤字の公衆電話などの費用を補填している。
 同じように新幹線の売り上げから一人当たり100円でもいいから、
 『JR北海道やJR四国に渡る仕組み』を作るべきだった。

 今、JR東海は “俺たちの収入だから、お前たちには関係ない。 俺たちはリニア造るんだ” となっている。


(聴き手)――JR北海道は路線を維持するために、沿線自治体にお金を出してくれ、と言っています。
鳥塚「でも自治体の人たちも素人で、今まで鉄道と関わったことなんてないから、
 請求書の根拠がわからない。
 例えば “1km1000万円なので、おたくは10kmで1億円” と言われてもキチンと反論できない。

 夕張市はJR北海道から言われた金額は払えないからと、いち早くバス転換を決めてしまいましたよね。

 スゴイ話なんだけど、廃止された奥白滝駅にバラックみたいな駅舎があって、
 地元の人が“これを保存したい”と。
 それで地元の大工に見積もりを取ったら300万円。
 しかし、JRに相談したら、“それは鉄道敷地内だから、うちで工事をやらないといけない” となり、
 見積もりは1000万円と言われたんです。
(聴き手)――金額がまったく違う!

鳥塚「駅舎だけでこれほど値段が違ってくるんです。
 線路だって、走っている列車の本数が少なければ、傷みは少ないし、もっと安く済むかもしれない。


鳥塚「だから私は “上下分離” を提案したいんです。
 経営と所有を別にする。

 日本の上下分離は、下の線路の部分について、地元の行政がお金を出すことが多い。
 ちなみに、アメリカやヨーロッパでは下の部分は国や公共事業体が出している。
 それはインフラだからです。
 田舎のアップアップな行政が線路を持つなんでムリな話なんですよ。
 しかし、私がここで考える “上下分離” は、JR北海道が「下の線路」のほうをやりなさい、と。
 そもそも、国から何千億円ともらった基金があるんだから、線路の維持管理だけはちゃんとやれ、と。
 一方で「上の部分」、経営がうまくいかなくて客離れを招いたんだから、
 ここに北海道庁や自治体も関われば良い。


(聴き手)――地元の人たちも他人事でなくなりますね。
鳥塚「さらに鉄道がある事で、地域がおいしい思いも出来る仕組みが大切です。
 例えば、JR北海道は乗降客ゼロの駅を廃止にしてますが、
 昨年上場したJR九州は逆に乗降客ゼロの駅を観光地にした。」
(聴き手)――どうやって!?
鳥塚「例を挙げると、肥薩線の真幸駅(まさきえき、宮崎県えびの市)では乗降客が誰もいないのに、
 10分間停車させた。 
 そして地元の人たちに、そこで物を売って良いよ、と。
 地元の人たちは小銭を稼げるし、地域の宣伝にもなる。
 それがだんだん有名になって、テレビに出るようになった。
  乗降客はゼロだけど観光地になったわけです。

「需要を作り出せるか、出せないか。」
 JR九州とJR北海道の違いですよね。
 そのためには「上の部分」を、このままJR北海道にやらせていてはダメなんです。

 みんなで手作り感満載のローカル線を走らせる。
 北海道は「宝の山」ですから、そういうやり方が現実的かな、と。
 要は、どうすれば鉄道が地域に利益をもたらすことが出来るかです。

 ローカル線がある事によって、地域に人が来る、有名になる。
 経済が廻る、雇用が生まれる、
 お金が儲かる。
 そういう仕組みがあれば、ローカル線が残っていて良かったね、となると思いますよ。


(聴き手)――鉄道単体では赤字かもしれないけど、
  地域が潤えばいいと言う考えですね。
鳥塚「そう。 赤字を上回る経済効果があれば良いんです。
 そこから先は行政の話。
 観光客が多い北海道だったらそれが出来る。

  例えば我々は大平原に憧れるけど、多くの北海道の人はその魅力に気付いてない。
  鉄道によって、持っているものを”プラス”に転換する。
  それがローカル線の役割だと思います。
  ただ、JRはそれを“輸送手段”だけにしか使ってこなかった。 
  すると当然、輸送手段だったら車やバスでいいんじゃないかという話になる。


 でも、鉄道に乗りたい人はいっぱいいるわけです。
 そこに対して地域の人たちがきめ細かく対応していくのかが大切です。

 北海道は、行政は“道(どう)”だけ。
 会社はJR北海道だけ。
 本当は物事を決めやすい環境なんですから。 」

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いかがでしたでしょうか。
特に奥白滝駅の話が、JR北海道の 「殿様商法」 「親方日の丸」 的カタブツさを物語っていたと思いました。

だから、ローカル線の駅前にはコンビニなどなく、
徒歩圏ではない何キロも離れたところに、コンビニや道の駅がある。
だからなおさら、地元民も旅行者も鉄道なんてあてにしなくなる。
その結果が「今」なんですよね。

個人的に思うのは、「道の駅」のように、駅に人が来るシステムを民間も管制も作り直すことです。

例えば、鉄道営業法などを改定して、
駅構内に「イートインスペース付きコンビニ」やカフェ等を柔軟に作って、コミュニティーを取り戻す。

重複しますが、車内販売を再開しない、特急列車に「ビュッフェ」も復活しないならば、
特急「北斗」なら長万部駅、「おおぞら」ならば新得駅、「宗谷」ならば名寄駅に「10分停車」を義務付け
駅構内にJA直売所惣菜コーナーなどの売店を設営して、弁当&パンなど飲食物の販売をする。

北海道新幹線は、先の(1)の通りです。
場合によっては、「道の駅」のほうに乗降客の少ない駅を移動する。



そして、北海道は国境の島です。
国境警備や海の向こうの国からの侵攻(有事)も想定して、
稚内~旭川~富良野~帯広~根室、および釧網線などは
戦車運搬にも耐えられるよう防衛省のバックアップ&予算を受けて、
(武蔵野線並みに)路盤の補強をするなどの措置も考えるべきだとも思います。

乗降客のいない駅は「集落の死」を意味して、
やがてローカル線だけじゃなく「市町村→支庁(管内)単位の地域」も死ぬ。

自分も今、札幌・旭川など大都市以外への移動を目的とする旅には、レンタカーが不可欠になりました。

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2020年4月23日付訪問者数:257名様
お付き合いいただきありがとうございました。

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